前作に続きAudible格安体験にて。相変わらず我が道を突き進む成瀬が気持ちよい一方、親御さんがどんな超然な人かと思ったら、お父さん実に普通に善良な市民で共感が持てる。著者のローカル愛と京大の描写がやたらリアルで森見登美彦氏や万城目学氏を連想していたところ、著者も京大出身なのね。続編が出るかは分からないが、成瀬はアカデミアの道が向いてるんじゃないかな…

Unlimited格安にて。チェーザレ・ボルジアをモデルとした君主論として有名ではあるが、そもそもマキアヴェッリ自身がめちゃくちゃ有能な官吏じゃね？

著者が神戸大での最終講義で選んだのは、ライフワークとしての分裂病の臨床経験。その緻密な観察に敬意を払う一方、患者当人の苦しさが伝わるよう。幻覚・妄想状態よりもむしろ「世界の関節が外れた」圧倒的な恐怖感（フォビア）・恐怖発作というのは想像するだに怖い。生涯有病率がどこでも1％程度とのことなので自分や身近な誰かが罹患する可能性は十分にあるのだが。「自由度」が低い急性期の辛さ、疲労感・消耗感の自覚が大切というのは、うつ病で休職した自身の体験からも頷ける。こころの産毛を重視したやわらかな治療が広がってほしい。

そのうち本編も読んでみようかなと思いつつまずは青空文庫でコレだけ。ホームズに触発されて、お江戸探偵ものでやってみようと思い立ったのが大正五年。

続けて読むと(50前の死ばかり扱っているからだろうけど)無念の死ばかりで暗澹とする。元日本一有名なニートことphaさんが「誕生日を迎える度にこの本で自分と同い年で死んだ人を読む」って書いてたけど、そのくらいのペースで読んだほうがいいな。ちなみに今の自分と同い年（46歳）で死んだのは、借金にまみれていたボードレールや、神経衰弱甚だしかったシューマン。

複雑な境界や飛地の背景に耕作権や漁業権の影響。令和になってから裁判で境界が確定したエリア（令和島）があるとは知らなかった。

ショゴス怖いよ。こんなのがテケリ・リと音を出しながら追ってきたら正気を失うのも無理はないと思う。

超古代文明を築いた旧支配者、それを伝える書物ネクロノミコン。超生物のビジュアルがヤバい。

今やあちこちでイラストをみるようになったヨシタケシンスケ氏。だってほら本人だもの飽きるわけにはいかんわな、ってそうだよねーと思いつつ、感謝係と肯定係の人に付いていてほしいし、心にはめる軍手もほしいよね。

「生きるべきか死ぬべきか」の他、「この世の関節が外れた」「尼寺へ行け」などが知れた（尼寺というのは修道院的なところだろうけど）。破滅を求めてたようにも見えるハムレットはともかくオフィーリアちゃんは可哀想。

軍服の赤と僧侶の黒。スタンダールはナポレオン政権下で出世するも王政復古で不遇の時代を迎えたとのこと。なるほど。

敗戦で物語は剥がれ落ち人間は堕ちる。だが、その事以外に人間を救う便利な近道はない。

横井さんや小野田さんは有名だが、日本領台湾の出身であった中村輝夫氏というのは知らなかった。経済成長の中に感じる退廃、現状追認的な保守傾向。このへんは40年経ってもあまり変わらないような。　水木先生も日々摩耗し、何回も南の島で現地の人と会いたくなる気持ちもわかる。「正に人生は60から」というのは良いメッセージ。

経済成長は差し置き、結婚しても相変わらず赤貧状態の水木先生たったが、鬼太郎で一気に風向きが変わるも忙しすぎて戦時中の南の島に思いを馳せとうとう現地にも。　　昭和の皇太子と正田美智子さんのご成婚が描かれていたが、先日上皇后さま90歳を迎えられたとのことで、時代の流れを感じる。