前二作と変わらず、感情移入全振り状態。長いスランプだった谷原京子は、結婚して渡欧か、新店長になるかで悩むが、最後は期待を裏切らない決断をする。コペンハーゲンに理想の書店を見つけた店長山本猛は、あっさり武蔵野書店を退職し、渡欧するが、言葉や気持ちが通じず、孤独を感じるという、往事の谷原京子状態に陥り、谷原と社長に復帰を願うが、谷原から愛の鞭とも言える言葉を送られるところに、谷原の成長を感じた。今より更に危機的状況に出版・書店業界が陥った時に、「社長がバカすぎて」が我々の前に姿を現してくれるのではないか。

７代将軍徳川家斉の時代、紀州藩士の子畔田十右衛門(後の本草学者畔田翠山)は、幼少の頃から、草木とあるがままの自然を愛し、草木と語らえるまでになるが、反面他人とのコミュニケーションが苦手であり、草木と自然を熱心に学ぶ程に、他の熟成から孤立し、疎まれる。しかし、師匠小原桃洞の庇護やその孫の良直からの無条件の友情により、学問に邁進し、採薬隊を率いるまでになり、天狗や愛する草木から折々に助けられ藩主から信を得る本草学者へと成長していく。ファンタジー色満載の時代物成長譚。美っつい和歌山を再発見。

内面の精神状態と身体の成熟具合とのアンバランスに違和感持ち、時には持て余しながらも、我々は自分の身体と日々折り合いをつけなければいけない。気持ちに身体がついてこないことや、身体は成人だが精神状態は大人になりきれないことはよく感じる。他人の感情に寄り添った言動が取れず、早く年を取りたいと願う２３歳ミナイ、ガタがきた身体に翻弄される、契約図書館司書の４２歳ソメヤ、５０歳の引きこもり息子と二人暮らしをしながらも、人生初めてのひとり暮らしを願う７３歳乙部、の物語。

前二作と変わらず、感情移入全振り状態。長いスランプだった谷原京子は、結婚して渡欧か、新店長になるかで悩むが、最後は期待を裏切らない決断をする。コペンハーゲンに理想の書店を見つけた店長山本猛は、あっさり武蔵野書店を退職し、渡欧するが、言葉や気持ちが通じず、孤独を感じるという、往事の谷原京子状態に陥り、谷原と社長に復帰を願うが、谷原から愛の鞭とも言える言葉を送られるところに、谷原の成長を感じた。今より更に危機的状況に出版・書店業界が陥った時に、「社長がバカすぎて」が我々の前に姿を現してくれるのではないか。

ライトタッチの、酒場をどこかに取り入れた、気持ちに引っ掛かりを残す怖さを感じさせる物語集。