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2024年10月の読書メーターまとめ

白いハエ
読んだ本
4
読んだページ
1609ページ
感想・レビュー
4
ナイス
26ナイス

2024年10月に読んだ本
4

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

白いハエ
1945年7月におけるベルリンの2日間と、そこに至る戦争の日々を少女の目線から活写した時代小説と読む。微細な描写は群を抜いていて、降伏直後の瓦礫だらけの街、闇市の人いきれ、ひもじさ、寄る辺のなさが、辛いほどにこちらへ迫ってくる。物語の進みはかなり重厚で、どこかを強く掠れば血が滲むように緊密であるが、しかし、通り抜けた後は実にシンプルなアウトラインだったことに驚いた。ラストの罪に対する態度は、懲罰を含めた暴力そのものへの素朴な問いと映る。遠い異国を遥か旅してきたような余韻が印象的な小説だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
4

白いハエ
親のこさえた借金を返すためダンジョンの経営を行うことになる、という筋書きだが、全体的にコメディテイストで、経営判断もメイドにお任せ、ダンジョン構成も一フロアのみと相当にライト、超鈍感男と超有能従者の日常ラブコメとして気楽に読める。善意と善意がすれ違いまくり、誰も悪くないのにバトルに落ちていく様が個人的な見どころ。
白いハエ
なめらかな社会とは、究極的には決断が行われない社会らしい。細胞の化学反応レベルで掌握して通信を行い、自然状態で全てが通じ合う。楳図かずお『漂流教室』の未来のクリーチャーのように……とまで言うとディストピア様を呈してしまうが、断章を読んで否応なしに想起した。ただ、情報テクノロジーと結合した資本主義社会の速度に、われわれの判断の速度も現実的にチューニングしうると、数理的に明かされているらしい。ならば実現しない道理はない。300年先を想定した射程と意識していないと、たやすく振り落とされる議論だと思う。
白いハエ
どんな文章やとりとめのない考えであっても、書き、届けることで、誰かが感銘を受けたり、その視野が開けたりするのであれば、その「誰か」のために生み出された何ものかであると言える。そういう意味で言えば、この本は明らかに私のために差し向けられたものではない。私ではない、どこか、よその、若く、閉じられた語りを持ちたいと願う人のためのものだ。そういう人々の影がちらつく。こう生きるほかないという悲憤も感じられる。何かを継ぐための媒介として必要な本なのかも知れない。
が「ナイス!」と言っています。
白いハエ
1945年7月におけるベルリンの2日間と、そこに至る戦争の日々を少女の目線から活写した時代小説と読む。微細な描写は群を抜いていて、降伏直後の瓦礫だらけの街、闇市の人いきれ、ひもじさ、寄る辺のなさが、辛いほどにこちらへ迫ってくる。物語の進みはかなり重厚で、どこかを強く掠れば血が滲むように緊密であるが、しかし、通り抜けた後は実にシンプルなアウトラインだったことに驚いた。ラストの罪に対する態度は、懲罰を含めた暴力そのものへの素朴な問いと映る。遠い異国を遥か旅してきたような余韻が印象的な小説だった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/01/06(2886日経過)
記録初日
2017/01/06(2886日経過)
読んだ本
555冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
169366ページ(1日平均58ページ)
感想・レビュー
529件(投稿率95.3%)
本棚
0棚
性別
現住所
埼玉県
外部サイト
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