学校帰りに夕方まで喫茶店で過ごすタタンというあだ名の女の子。常連さんたちに囲まれて話し相手になったり、新しくやってくるお客さんとの間に印象深い思い出ができたり。温かくて、楽しくて、でも切ない物語。ユニークな人々を見てると心が軽くなってくる。

不倫相手の奥さんが亡くなった事によって家族になった、継母と3歳の娘。コンタクトレンズとギザギザの爪。感情の動きが少なく淡々としていて、質感の感じられる作品だった。あとの二編は入院中のおばあちゃんの夜中のベッドでの出来事、怪談に怯える男の子。どれも面白かった！

プール付き高級ホテルに泊まる老作家と知人になったユーチューバーの男。ダメ元で自分のYouTubeに出てくれないかと頼んでみると快諾してくれて、作家の女性遍歴を語ってもらう事になる。個性的な女性たちにワクワクして、老作家の振る舞いにも惹きつけられた。

東京に出た26歳男性。会社が倒産。派遣の仕事を転々として、借金を背負い、住み込みで過酷な労働。北海道に帰ってもどん底を味わう。行き詰まった時は「今日」の事だけ考える。生きてさえいれば「明日」がくる。やりきれない過去からも「希望」は生まれる。

大卒で就活に失敗。派遣切りでアパートを退去。日雇いバイトで漫画喫茶に泊まるホームレス生活。その先に待つのは出会い喫茶で女と若さを売りにする危険な日々。主人公の心の動きが丁寧に描かれて貧困女子の実態がリアルに浮かび上がる。他人事とは思えなかった。

アメリカ人と日本人の裕福な夫婦に育てられるシリアの女の子。戦争や災害で苦しむ人たちと自分の恵まれた境遇との違いに罪悪感を覚え、自分の存在に疑問を持つ。自分の痛みは自分だけのもの。理解できないから憐れみも成立しない。想像で共に苦しむのが精一杯の誠実。

一編は女子校を舞台にしたもの。もう一編は同棲中のカップル。理解し合うのではなく直感的に相手を「似てる」と感じること。離れがたい感情が決してポジティブなものだけじゃないこと。秘密を共有するのも、隠すのも関係の築き方。人との関わり方の奥深さを見せてくれた。

学校帰りに夕方まで喫茶店で過ごすタタンというあだ名の女の子。常連さんたちに囲まれて話し相手になったり、新しくやってくるお客さんとの間に印象深い思い出ができたり。温かくて、楽しくて、でも切ない物語。ユニークな人々を見てると心が軽くなってくる。

お盆休みの中学生。塾の宿題を写し合いしたり、面白い男子を尾行したり、のんきそう。でも、働かない父に苛立ったり、通販にハマる母をもてあましたり、事情を抱えている。友人宅と図書館を居場所にする中学生と同じ目線で世界を見られるのが面白かった。

高級結婚式場での4組の式。結婚したくない男、入れ替わる双子の姉妹、わがままな新婦、叔母の結婚に複雑な思いの小2男子。みんなの思いが交錯するスリリングな展開。結婚式の一日から過去へも話が広がる。上手く伝わらない思いに登場人物と一緒に騙されて面白かった。

披露宴で出会った新郎の友人と結婚観の違いで言い合い。その男とバーで飲んでまたケンカ😂仕事で出会った漫才作家とは一緒にうどん屋へ。田辺聖子の小説に出てくる女の子は仕事も遊びもエネルギッシュで快活で見てると気分が弾む✨男女の軽妙なやり取りも楽しい😆

58歳会社役員。10年続く愛人と家庭の両方を失いたくない。常務に出世したいし、母の遺産をあてに息子との二世帯住宅での老後を計画。あまりの身勝手さに腹が立つのに、彼が破滅へ向かうと何とかいい道はないかと考えてしまう。妻が入れ込む不吉な占い師の存在も面白い。

連作短編集。不倫、愛人、毒親、ホストクラブ通い。いっぱい傷ついて、傷つけて、自暴自棄になったり、救いを求めたり。女性が受け身な「性」である事を思い知らされる。ぎゅーっと苦しくなるような短編集。人の繊細な部分に触れて、心揺さぶられた。

連作短編集。長男のような夫、若い姑、亡くなった前妻、どこにでもあるような家族の形だけど、そこに一人の男の子が入り込むとホラーが始まる。どの短編もゾクっとしながら読んだ。親子や姉妹の複雑な関係にも触れられていて面白かった。

男子が頼って行った先には男友だちじゃなく、可愛い女子が住んでいた！その正体は「自由で強くて可愛い女の子になりたい」と思って上京してきた男友だち。アパレル系でオシャレ。女子同士のキャッキャした雰囲気が最高。偏見と常に戦ってるのに、キラキラしてて素敵✨

男子高校生がいる50代共働き夫婦。息子の事や田舎にいる父の危なっかしい運転に頭を悩ませる。田舎での車のない生活の不便さ、自分の老後を前に親の介護がのしかかる大変さが丁寧に描かれる。50代、まだまだ若いと思っても、今すぐ自分のやりたい事を❣️

靴紐が蝶々になったり🦋奇妙な効能のお酒が出てきたり🥃 不思議なお話がいっぱいで楽しかった😆ここから話がどう展開するんだろう？ってワクワクしながら続きを読んだ📘すっごく面白いショートショート❣️

医者にもヒエラルキーがある。研究医、勤務医、開業医。最下層の川辺はその鬱憤を晴らすように全身をブランド物でかため、女性宅に忍び込んで性加害を繰り返す。彼の妻は勤務医で救命医と不倫中。被害者達からの復讐が彼を待ち受ける。どんな結末を迎えるのか、ドキドキした。

短編集。結婚する、しない、子どもをもつ、もたない、妊活する、しない、養子を迎える、迎えない。色んな選択肢がある中で親子や夫婦でも温度差があったり、自分の意志が自分でもわからなかったり。どんな未来に繋がっても、みんなに幸せになって欲しい💫

探偵事務所に持ち込まれる依頼は「注文した料理がなかなかこない」「電車でよく足を踏まれる」などのちょっとした憂鬱。(そんなん探偵にどうせえっちゅうねん😂)と思うけど、事務所の二人はちゃんと調査して解決していく。思いがけない所に着地するのがたまらなく面白い❣️

小説講座の講師が教え子から性加害の告発を受ける。被害者はSNSで好奇心に晒されたり、夫との関係が変化したり。加害者の味方につく生徒も失望する生徒もいて、反応は十人十色。タブー視されるテーマを丁寧に描いて、様々な立場の読者が問題意識を持って引きつけられる傑作。

男の死体を見た46歳女性があり金を掴んで整形をして逃亡する。女性を欲望を満たすための道具として扱う男たちを相手に、しぶとく自分の「生」を繋いでいく。おいしいものを食べたり、美しいものに心を動かす事が「生きる事」そのものだと気づかせてくれる。ドキドキの展開。