時代を作ったはずの破天荒なロフト、今ではライブハウスの方のロフトでもはて？という顔をされることがある。けど、確かにあの時代から連綿と続けてきたのだろうな。濃密最前線に私も足を運ぶ日はくるだろうか。外から見ているだけだろうか。

去年から先送りした作品だが、読んでみると仕事から注意力を持ってかれるほどの力作。他の作品と比べ無理がないと感じるのは、森先生とのシンクロ率が上がってきたからか。 ミチルのあり方がすべてがFになるや四季の冬から描かれてきたものながらも、本編のミステリーの部分としても独立、いや、疎結合とでも言えよう。森作品をこの順番で読んでいて正解と思いながら、他の順番で読んでもよかったと思うな。これがφの悲劇と、ハギリ先生シリーズの中間とあたまにすっと落ちる音がした。

ここまで濃ゆい学書は、さすがに久しぶりだな。アナルキズムの文脈、働き方の文脈など今の生活に近い著作も多いようだが、鷲田先生の言う通りこちらこそが原点でしょう。人類学が他者の文明を見て、自分たちの豪さを謳うのではなく、むしろ自分たちの習慣や文化のかゆいところに届くツールとしてはかなり有益。そして一つだけの原理頼りすぎない、という通底するテーマもよい。また読もう。