この本にはある種の説得力がある。この本の中で紹介したテクニックは実際にこの本で使われていて、技術を教えつつその技術で読者を抱き込みにいっている。ものは試しに著者が開いているYouTubeを覗きにいったところ、コメント欄のなんともいえないそれっぽさが本当になんともいえなくて苦笑したとか。これかあ〜って感じ

異性のことばっか考えてるやつの比率が高すぎる、まさしく古典的なアクションノベル。魔界都市ブルースがおもしろかったのでちょいと期待して読んでみたが、時代を超えるほどのパワーはこちらになかった

だいぶ昔に読んだカレル・チャペックの小説をうっすら思い出しつつ一種の思考実験ものとして楽しんだ。本気を出した蟻のカウンター性能の高さをこれでもかと書き連ねる一方、恐竜の美点が設定と結果に終始して描写で示すシーンが少なすぎたのがちょい残念。虫ケラ虫ケラ言ってる傲慢軍人のシーンがほとんどなので、蟻より遥かに優れるとされる好奇心やら創造力やらがイマイチ実感しづらかった。こいつらの頭脳で、あそこまで文明を進めるアイディアを本当に自前で出せたんか？とはなる

登場人物が途中から膨れ上がる１に比べると、１つ１つの事例ごとに数人出てくるだけなので読みやすい……が、最後のオチが妙に弱い。１の例にならえばまだ何か隠してる…？

デキるやつとして描かれているキャラクターほど行き先不明瞭で要領を得ない時間が長く、序中盤は散漫な印象のまま展開する。それが後半になると意図や裏側がじわじわ見えてきて、わかればわかるほどおもしろくなってくる。異なる視界を持って生きる者達が影響を与え合い、視野を広げて腹をくくる物語だった。情報の出し入れ等について釈然としないこともいくつかあるが、トータルで考えると読めて良かった