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2024年10月の読書メーターまとめ

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感想・レビュー
9
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19ナイス

2024年10月に読んだ本
11

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

TTK
松尾芭蕉が奥羽地方をただ一人を連れて旅して、その風物をよんだ数々の傑作の句を「奥の細道」によせたが、もしその時、彼が弟子の一団体をぞろぞろと連れて歩いていたら、彼の句はきっと精彩のないものだったろう。……一人旅こそいちばんうるおいのある、そしてその人にとっていちばん実り豊かな旅にする方法だ。p.22
TTK
2024/10/05 16:54

"ブータン"というのは外国人の呼び名だ。住民たちは、自分らのことをチベット文語体でドルック・パと書く。発音はドッパまたはルッパである。ドルックは竜とかいなずま(雷光)の意味なので、ブータンを竜国とも書く。p.264

TTK
2024/10/05 16:54

ラマ僧が多いのも人口増加を押さえる原因になっている。出家は終生独身を守る。尼になる女も多く、尼寺も諸処にある。ラマ僧対策は人口増加を図る王様にとって大きい問題だ。「僧にも妻帯をすすめようと思うがどうだろう」と首相はまじめな顔でいった。私は「日本の僧はみんな妻帯していますよ」といったら、彼は信じられぬという顔つきだった。p.265

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
9

TTK
結果的にみれば、テト攻勢の失敗による解放戦線の弱体化は、サイゴン解放後、抵抗もなく臨時革命政府と解放戦線を消滅させることに“貢献”したともいえるだろう。……米国市民の間では、政府とその政策に対する不信感が高まり、反戦運動が一段と盛り上がる。これをきっかけに、ベトナムからの撤退の動きが加速した。皮肉なことに歴史的にみれば、テト攻勢の失敗がハノイ労働党にとって大きなプラスになったとも言えるのである。p.309
TTK
2024/10/31 23:43

残った日本人は「新ベトナム人」と呼ばれ、戦場で死んでいった人も多いという。だがベトナム労働党は、民族独立運動における勝利は、ベトナム人民の努力の成果であって、外国人(日本人)の貢献を認めたがらなかったばかりか、その痕跡を消そうとしたフシもみられる。……サイゴンが陥落したあと、「ようやくわれわれの真価を発揮すべき時がきた」と張り切った元日本兵たちの顔がいまだに忘れられない。しかし、結果は、彼らの期待も空しく、革命政権にとって「元日本兵」は、反革命の象徴でしかなかった。p.419

TTK
2024/10/31 23:45

陥落後、サイゴンに“入城”したハノイの軍人や、党官僚たちも、多くの犠牲者を出しながら民族解放闘争を進めてきた南の解放戦線と、その支援者たちにきわめて冷淡であり、一日も早く、新しい体制からはずそうとした。「民族民主の統一戦線」とうたい、ベトナム戦争の渦中では「南の独自性を十分に尊重する」と約束し続けたにもかかわらず、解放後始まったのは「解放戦線の排除」だった。……権力というものは、どんな時代、どんな体制下でも、そしてどんな組織の中でも、そう変わるものではない。p.419

TTK
例えば、ルイス・ブニュエルは劇用の音楽をまったく鳴らさない。つまりあれは非常にシンプルに考えて、古典的なシュルレアリストとして、夢には劇音楽が鳴らない。つまり夢のドキュメントなのではないか。p.144 ▼ 昔は情報時差があったから、洋画なんつって、欧米の映画は総てマジックリアリズムだったんですよね。p.162
TTK
2024/10/31 23:29

しかし、ここでの清水[靖晃]の仕事は、明らかに21世紀における更新を示している。前述の黒澤/大河、以外にも「現代時代劇」は、テレビドラマ、劇映画共に数々の佳作を残してきたが、過去の伝統を踏まえつつ、フランス近代の響きを大胆に導入し、ワールドミュージック以降のエスニズム描写の技法を総て飲み込んだ、悠々たる「時代劇のオーケストレーション」の古典性と斬新さは、清水が我が国最高の映画音楽家の一人に位置される可能性を示していると断言できる。しかし、それが鳴らされる舞台は『さや侍』なのである。p.50

TTK
2024/10/31 23:29

「総ての映画音楽の中で、何が一番好きか?」という難しい質問が、僕は、あまり難しくないんです。『アメリカの夜』の「グランド・コラール」。と即答すれば良いからです。……フィルムカウンターの回転に合わせて「グランド・コラール」のイントロ、ハイドン風の八分音符が走り出すシーンが頻出するんですが、不覚にもその都度その都度落涙してしまいます。p.116

TTK
さらばだ、幼い親なし子よ。おれ自身もそうだったのだ。おまえよりももっと幼くしてな。それがどうしたって消すことのできない怒りの元となった。それがおれを生きながらえさせたのだ。同じようにするがいい。おれを憎め、怒れ、強くあれ、戦士になれ、殺し屋になれ、血の雨を降らせろ、大きくなったらおれを探し出せ。そしておれがおまえの母親に味わわせたむごたらしい苦しみのお返しをしろ。おまえの母親はおれの手にかかって、おれでさえこれまでに見たことがないほどの苦しみを味わわされたのだ。さらばだ、息子よ。さらば。 p.422
TTK
2024/10/23 22:08

おれは延々と続く落下の真実、無限の落下の真実を愛する。おれは回復したりしない。何であれ真に破壊されたものは、おれには回復可能とは思えない。おれは慰めないし、慰められもしない。おれのベルトには「悪」に対する最も効験あらたかなお守りがぶらさがっている。それは真実への欲望だ。真実が死である場合もそこには含まれている。p.424

TTK
2024/10/23 22:09

過去から逃れようとする魂たちは、実際には過去を追いかけているのであり、いつの日か、未来において過去に追いつくものなのだということを。過去には余裕がある。過去はいつだって未来の十字路で辛抱強く待ち受けている。そして過去から逃れたと思っていた人間に、過去はその場所で真の監獄への扉を開く。それは五室の独房からなる監獄だ。死んだ者たちの不滅、忘れられたものの永続、罪を背負うことの宿命、孤独という道連れ。救いとなる愛の呪い。p.457

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TTK
「日々の生活の肌触り」を伝えようとするベイカーの意図は、この作品において、驚異の博識と注意力に支えられて大成功を収めています。[ニコルソン・ベイカー『中二階』] p.145 ▼ 匿名の人物が1人称で語り継ぐというその独創的なスタイルはリチャード・バクーズが次のように断じた⸺1人称の時代⸺を象徴すると言えるのではないでしょうか。[エヴァン・ダーラ『失われたスケッチブック』] p.171
TTK
酔っ払った小関は、沢村追想の意味で「故旧忘れ得べき」を歌おうじゃないかと言った。⸺コキュー?篠原が言った。……小関が小声で歌い出した。⸺「蛍の光」じゃないか。 p.223
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TTK
手話使用者は、新しい驚くほど洗練された方式を発達させて空間を表現する。この空間は、手話を知らない私たちの空間ではお目にかかれないような、新しい種類の空間、形式的空間である。これはつまり、これまでぜんぜん知られていなかった神経学的発達が存在するということにほかならない。それはまるで、手話使用者の左半球が、前例のない仕方で視空間認知の領域を「占拠」し、修正し、尖鋭にし、その領域に新しい高度に分析的で抽象的な性格をあたえ、視覚言語お視覚概念を可能ならしめてしまったかのようだ。p.141
TTK
2024/10/13 12:26

ろうの子どもたちは、自分の家や、健聴者の学校や、健聴者の社会で孤立を深め、ときには自分がうとまれているとさえ感じるかもしれない。しかし彼らは他のろう者と出会うことによって、新しい家族、帰りつくべき家を見つけることができる。……「ある日、姉に連れられ、しぶしぶろう学校に足を運びました。そしてようやくわが家にたどりついたのです。そこで本物の愛情を経験したのです。はじめて私は自分が見知らぬ国のよそ者ではないという気分、共同体の一員だという気分を味わいました」[シャイン『家族はみな他人』] p.267

TTK
2024/10/13 12:26

教育者の気質や禁止措置の相違を超えて、全世界で共通して手話を使いつづけてきたひとつの集団が存在する⸺ろう者に宗教的儀式を施してきた人びとである。司祭その他の聖職者は、口話法をめぐる論争が絶え間なく続いていたそのなかも、世俗の教育現場で<手話>の影が薄らいでしまってからも、協会区のろう者の魂を見捨てたりはせず、<手話>を学んで(ろう者から学ぶことが多かった)、ずっと<手話>を使って儀式をおこなっていた。p.269

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TTK
The arts are not a way to make a living. They are a very human way of making life more bearable. ... Do it as well as you possibly can. You will get an enormous reward. You will have created something. P.24
TTK
2024/10/05 23:44

Humor is way of holding off how awful life can be, to protect yourself. Finally, you get just too tired, and the news is too awful, and humor doesn't work anymore. ... I used to be funny, and perhaps I'm not anymore. p.129

TTK
2024/10/05 23:52

We know so little about life, we don't really know what the good news is an what the bad news is. And if I die—God forbid—I would like to go to heaven to ask somebody in charge up there, "Hey, what was the good news and what was the bad news?" p.37

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TTK
[脳梗塞の病床で]父親が持ってきたノートパソコンを起動し、目の焦点がうまく合わなかったので、キーボードに顔を擦りつけるようにして文字を打ちました。「こんなことではくたばらないぞ」と書いたと思います。3行程度の文章を打つのに1時間くらいかかった気がします。打ち終わり、それが意味の通る文章であることを確認して、私は心の底からホッとしました。文字の読み書きができるなら、私は仕事ができます。文字の読み書きさえできるなら、私は残りの一生を車椅子で生活することになっても構わないと思いました。 p.68
TTK
2024/10/05 17:14

フリーが生きていく要諦は、なにかの仕事が当たったら、そこから「自分の二番煎じ」を続けることに耐えられるかです。二番煎じ、三番煎じを平然とやれて、しかも(ここが難しいのですが)「マンネリ」だと読者に思わせないことが肝心です。p.55

TTK
2024/10/05 17:15

「これまでいろいろな出版社で仕事をしましたけど、出版社がダメになるときっていろいろありますが、ひとつは新社屋のビルを建てたとき。もうひとつはそのビルにガードマンが立つようになったとき、3つ目は首から社員証や入館証をぶら下げられたとき。そのとき出版社は死にますね。」……「あとお金を生むと、社員の給料がよくなるわけです。すると人間は保守的になってしまう。給料をアテにして35年ローンなんか組んでしまったら最後、いざというときにケツまくれないでしょう。」[都築響一] p.226-8

が「ナイス!」と言っています。
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松尾芭蕉が奥羽地方をただ一人を連れて旅して、その風物をよんだ数々の傑作の句を「奥の細道」によせたが、もしその時、彼が弟子の一団体をぞろぞろと連れて歩いていたら、彼の句はきっと精彩のないものだったろう。……一人旅こそいちばんうるおいのある、そしてその人にとっていちばん実り豊かな旅にする方法だ。p.22
TTK
2024/10/05 16:54

"ブータン"というのは外国人の呼び名だ。住民たちは、自分らのことをチベット文語体でドルック・パと書く。発音はドッパまたはルッパである。ドルックは竜とかいなずま(雷光)の意味なので、ブータンを竜国とも書く。p.264

TTK
2024/10/05 16:54

ラマ僧が多いのも人口増加を押さえる原因になっている。出家は終生独身を守る。尼になる女も多く、尼寺も諸処にある。ラマ僧対策は人口増加を図る王様にとって大きい問題だ。「僧にも妻帯をすすめようと思うがどうだろう」と首相はまじめな顔でいった。私は「日本の僧はみんな妻帯していますよ」といったら、彼は信じられぬという顔つきだった。p.265

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/05/25(2740日経過)
記録初日
2017/04/01(2794日経過)
読んだ本
514冊(1日平均0.18冊)
読んだページ
141114ページ(1日平均50ページ)
感想・レビュー
155件(投稿率30.2%)
本棚
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