何となく『世にも奇妙な物語』みたいだなと思った。そこまで誇張した物語じゃないし、現実に即しているようなんだけど、日常ではないパラレルサイドに誘い込まれたような読後感。どの話にも背筋がひやりとする。特に心に残ったのは美しい女と魅力的な男が結婚したところから始まる『柘榴』で、ルッキズムやらカースト感覚全盛期の今読みたいミステリーだった。この話だけ殺人が起こっていないのも不気味さが増す。全話設定が違うのにどの話にも暗い願いが満ちていて、最終話の小題『満願』に集約されていくのも心地よかった。

自分には何もなくて何の役にも立っていない気がするとき「ウジ虫みたい」って思うけど、それは自分の頭の中でだけであって実際にはちゃんと手足が動いて考えることも出来ることを読んでいる最中ずっと思い知らされる。つまりは甘えているのだということを。両親と妹を養えるぐらいバリバリ働いていた主人公が、ある日大きな虫に変身して家族が崩壊していくなんて悲壮感に満ちた話だけど、虫になった主人公が何故か葛藤もなく自身の姿を受け入れていてなんか笑える所もあり。よく「ありのままのあなたでいい」って言うけど、「ありのまま」って…!?

何となく『世にも奇妙な物語』みたいだなと思った。そこまで誇張した物語じゃないし、現実に即しているようなんだけど、日常ではないパラレルサイドに誘い込まれたような読後感。どの話にも背筋がひやりとする。特に心に残ったのは美しい女と魅力的な男が結婚したところから始まる『柘榴』で、ルッキズムやらカースト感覚全盛期の今読みたいミステリーだった。この話だけ殺人が起こっていないのも不気味さが増す。全話設定が違うのにどの話にも暗い願いが満ちていて、最終話の小題『満願』に集約されていくのも心地よかった。