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2024年5月の読書メーターまとめ

跼
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感想・レビュー
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2024年5月に読んだ本
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  • 田中ラムネ
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

跼
構成論的に発展した深層学習を、分析的に理論化する各学説のサーベイとして読める。深層学習は統計学等における既存の理論に矛盾する挙動を示すことがあり、新たな理論が必要とされている(特に二重降下は驚きである)。深層学習は、熱力学・統計力学者も参加してその原理を探求しているという、現在ホットなトピックなのだ。YouTubeにある「深層学習と過剰パラメータの理論、人工知能の理解への試み」は、本書をプレゼンテーションとして理解するのに丁度よい。また、著者が文学部卒であることに驚く。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
16

跼
2020年出版。けいそうブックスの一であり、『現代思想』や『思想』などへの著者の過去の寄稿がもとになっている。けいそうブックスは一つ学術書としてはランクが低いレーベルである。研究のために読む必要はない。私自身は後期ウィトゲンシュタインよりもフレーゲを重視する著者の姿勢に疑問を抱いているし、また著者が手掛けていた日本語の形式意味論についても、2024年の分布意味論が実質的に勝利した現在においてはあまり輝ける研究ではないといえるだろう。
跼
2024/05/28 23:03

日本語学と言語哲学の接合は自然主義的だ。だからといって成功が保証されているわけではない。

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跼
2022年8月出版。IT Text シリーズの一。全11章からなり、大学の科目の教科書を意図としている。RNN や Transformer など、ニューラルモデル以降の技術要素に主眼がある点が特徴である。本書は、マルコフモデルやトピックモデル、クラスタリング、語義曖昧性解消といった話題は含んでいない。arxiv の論文が参考文献として用いられている点を見ると、その点でも革新が起こりつつあることを確認する。ニューラルモデル以降の自然言語処理の要素の一覧として有用な書。
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跼
2022年10月出版。日本の研究者の中では最も穏当な『論考』解釈であり、本書を最初に手に取ることを薦める。解釈が多数提示されている。まず、『論考』が失敗した試みであったという理解が必要である。これは本書には書かれていないが、『論考』(=言語論的転回)がいかなる意図のもとに書かれた著作であるかを確認する必要がある。〈経験の可能性の条件〉としての哲学の根拠を言語に基礎づけようとしたのが『論考』であり、それは後期ウィトゲンシュタインへの転回やドナルド・デイヴィッドソンに見られるように、失敗した試みである。
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跼
推論主義は後期ウィトゲンシュタインに対応し、前期ウィトゲンシュタインに対応する真理条件意味論の対抗馬である。現在の大規模言語モデルの反表象主義・言語的観念論的な側面は、明らかに推論主義的な論理に基づいているといえるだろう。この点で将来有望な理論であるはずだが、なぜか合理主義に基づく規範的語用論やコミットメント等の不必要な概念を盛り込むため、全面的に首肯できる理論ではない。かといって、ブランダム以降のプラグマティストの理論がLLMよりかというとそうでもない。全体的に本書の記述は冗長すぎる。用語集付き。
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跼
2017年出版。京都大学での演習と関西学院大学院の講義を下敷きにしている。道徳に関する自然主義的理論を見てから、自然主義と懐疑論の関係などの一般的な論題にスライドしていく体裁。深層学習にも若干のほど触れられており好感を持てる。生成文法が危うい現在においては、その派生理論である道徳文法学派の理論もマズいのではないかと思ったりした。全体的に文章が冗長で、できれば新書ほどの文量にまとめてほしかった。分析哲学の入門書としてもよいかもしれない。30頁ほどの充実した文献案内付き。
跼
2024/05/24 21:40

科学と伴走しなければならないので、自然主義に属する理論の流行り廃りも早いのかもしれない。個人的には、各哲学者が何を消去しようとしているのかを知ることができたコラム③の消去主義が一番良かった。〈概念〉の消去は大規模言語モデルに還元すれば消去も夢ではないだろう。

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跼
本書は二〇〇四年、放送大学教育振興会から刊行された『科学の哲学』に、「総合人間学」第七号、(総合人間学会編『3・11を総合人間学から考える』学文社、二〇一三年)より「3・11以後の科学技術と人間」を増補し、大幅に改訂を施したものである。題に「科学哲学」と冠されていることとは裏腹に、科学社会学の章が白眉だと思う。多くの文献を手際良くまとめる才能は随一ですね。
跼
著者自身が述べるように、アメリカ哲学の流れをも掴めるプラグマティズムの概説書。龍谷大学文学部での講義およびアメリカ哲学フォーラムでの講演原稿が下になっている。特に現代のプラグマティズムに関する第3章に特徴があり、数学の哲学や女性の哲学者に焦点が当てられている。言語哲学に限れば、ローティやブランダム、プライスに関する節がありがたかった。真理条件意味論と反表象主義の軋轢を知りたかったが、その点に関する記述はなかった。理論が乱立しており、各論者の利点と不利な点を頭の中で整理することが大変な分野である。
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跼
プレミエ・コレクションの一であり、著者の博論が書籍化されたものである。第1〜4章は指示の記述説と因果説の応酬について。本書の下敷きは指示概念に対する疑義を論じた論文であり、第5章が白眉である。第5章では、ローティの反表象主義とハンソンの理論負荷性を用いて、指示概念そのものに対して疑義を呈している。ただ、もう少し掘り下げてほしかった。また、クワインの指示の不可測性についての検討もあってよかった。アフォーダンス的な「〜として見る」を主張するために理論負荷性まで用いる必要があるのかはよく分からない。
跼
2024/05/14 23:37

反表象主義を勉強したい。

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跼
非常に分かりやすい好著。10章あり、大学の1単位と同等の労力で読むことになる。例題や図、まとめ、具体的な例などが盛り込まれているため、トップダウンではない仕方でパターン認識を勉強できる。最尤推定と事後確率最大化推定、ベイズ推定など。ソフトマックス関数が条件付き確率から導けることは興味深かった。線形分離不可能な点群を次元数を上げることによって線形分離可能とするSVM(カーネルトリック)、過度な最適化を抑えるスラック変数(ソフトマージン)、多クラスSVMの計算量の大きさは、なにか認識論的な含意がありそうだ。
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跼
滋賀大学データサイエンス学部の設立が本書が書かれた理由であるらしい。青い表紙の『新装改訂版 現代数理統計学』の著者によるデータサイエンスの啓蒙書である。『SUI MASSIMI DELLE CURVE DIMORFICHE』(Helguero, 1940)にて「平均同士が標準偏差の2倍離れていないと二山にはならない」ことが示されていたことは興味深かった。ただ本当に一般向けの書であるため、読む必要性はかなり低い。
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跼
「現象学って主観性の理論でしょ?」と思っている人は、終章「「現象学」は何をするものだったのか」から読むべきかもしれない。本書は、2015年に提出された博士論文が基になっている。まさに分析的現象学である。『イデーン』ではなく、初期のフッサールの著作である『論理学探究』を下にして、現代的なダメットのフッサール解釈とともに論を進めていく。現象学における最重要概念である〈志向性〉を対象への手続き(=遅延評価)として捉えることが、本論の趣旨である。
跼
2024/05/11 16:18

また論では退けられることにはなるが、フッサールの〈意味〉を可能世界を用いて捉える仕方も、面白いと思った。記述は一貫して丁寧で、非常に読みやすい。新書ほどの労力で読める。

跼
2024/05/11 16:21

超越論的観念論こそ経験的実在論を主張できる、という交叉の話は非常に説得的であった。

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跼
蒸気波に関する批評上の論点が分かる特集。憑在論や加速主義などの分析概念はもはやクリシェとなった感さえある。私としては、鼎談の「円環に留まる倫理」にて述べられる「作家が主体的でなければならないというマスキュリン的暴力性に対する倫理として、蒸気派の匿名性を見る」という視点が非常に面白かった。匿名性はなにも蒸気波だけではなく、(特に日本の)インターネット上の作家に見られる自閉症的性格であろう。匿名性という概念は、当然作者の主体性という概念に依存しているわけで、美学にも繋がりそうな論点だと思った。
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跼
「松王 政浩, 大塚淳著『統計学を哲学する』書評, 科学基礎論研究」にて指摘されていることがすべてであるような気がする。本書は『統計学の哲学入門』ではなく、著者の独自研究に基づく入門書である。だが、なぜ国内で統計学の哲学の本が少ないなか、このような離れ業をしたのだろうか。哲学と統計学のパラレルな関係の指摘は、厳密には(分析)哲学ではなく詩学に属するものである。特に深層学習と徳認識論の接合は立論が上手く行っていないように思われる。
跼
2024/05/05 01:10

今泉の研究を引いているのだから、現在の深層学習についてのパラダイムが構成論から分析論へ移行しつつあることを述べなければならないのではないだろうか。

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跼
構成論的に発展した深層学習を、分析的に理論化する各学説のサーベイとして読める。深層学習は統計学等における既存の理論に矛盾する挙動を示すことがあり、新たな理論が必要とされている(特に二重降下は驚きである)。深層学習は、熱力学・統計力学者も参加してその原理を探求しているという、現在ホットなトピックなのだ。YouTubeにある「深層学習と過剰パラメータの理論、人工知能の理解への試み」は、本書をプレゼンテーションとして理解するのに丁度よい。また、著者が文学部卒であることに驚く。
が「ナイス!」と言っています。
跼
本書は、SGCシリーズ『現代幾何学への招待』の姉妹版を意図して制作されたものである。そのため、ポアンカレ予想までを扱った「現代幾何学への招待」となっている。自然言語処理における双曲空間への埋め込みに興味があり、ポアンカレ計量やフビニ・スタディ計量を知るために、本書を読んだ。私自身は公文式数学V教材でしか微分幾何学を学んだことがなく、ガウスの驚愕定理など代数的な部分は知っているものの、種数等の位相幾何学の部分は知らず、位相幾何学と微分幾何学の接続を知ることになった。難易度を表す米印の付与が適当な気がする。
が「ナイス!」と言っています。
跼
2020年出版。第1〜4章は雑誌『フィルカル』の連載の改稿である。著者の衒学が鼻に付くが、キーワード集や丁寧な注が付いているので、様相実在論への入門書として良書だと思う。フィクションの共同信念世界も面白いのだが、私自身はフィクションを語るために可能世界概念が必要とは思っていない。現代に様相実在論を言挙く必要があるのかは疑わしい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/11/14(2406日経過)
記録初日
2017/11/14(2406日経過)
読んだ本
405冊(1日平均0.17冊)
読んだページ
103678ページ(1日平均43ページ)
感想・レビュー
245件(投稿率60.5%)
本棚
5棚
性別
職業
大学生
外部サイト
URL/ブログ
https://yudukikun5120.me
自己紹介

読書メモ:https://yudukikun5120.hatenadiary.jp/

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