あまりにもすっぽりと象牙の塔に収まった主人公の倦怠がにじみ出ている。生活に大した不自由はなく、ユイスマンスについての研究で一角の評価を受けている。彼の人生に挫折らしきものは見当たらない。だからこそハッキリ感じる自身の老いに酷く精神をすり減らしている。当然のように女子学生と恋人なってる。性欲に対する固執と衰えへの恐れは著者の他作品にもあったな。代わりに食への亢進を感じる。いつも美味しそうな料理食べてるしワイン飲みすぎ。イスラーム政権の誕生は大きなうねりで、職も恋人も失うことに。しかし風は常に彼へ吹いていた

北極出地の際にいろんな機器が出てきたけど、それがどんな姿で、何を測るものなのかあんまりイメージできなかった。泰平の世が訪れて、前例踏襲ばかりの碁を打つことが仕事の人もいたんだな。真剣勝負をしたい才気あふれた若者にとってはさぞ退屈な世界だろうな。一方で平和だからこそ庶民が算術に高じることもできた。７００年前の暦をいまだに使っているとは。アップデートしなければならないことが神格化して、伝統という名の石化が起こっていた。朝廷は歌と蹴鞠しかやらないのかな。近世のうねりが鎖国幕政日本にも起ころうとしている気がする

あまりにもすっぽりと象牙の塔に収まった主人公の倦怠がにじみ出ている。生活に大した不自由はなく、ユイスマンスについての研究で一角の評価を受けている。彼の人生に挫折らしきものは見当たらない。だからこそハッキリ感じる自身の老いに酷く精神をすり減らしている。当然のように女子学生と恋人なってる。性欲に対する固執と衰えへの恐れは著者の他作品にもあったな。代わりに食への亢進を感じる。いつも美味しそうな料理食べてるしワイン飲みすぎ。イスラーム政権の誕生は大きなうねりで、職も恋人も失うことに。しかし風は常に彼へ吹いていた

うつ病だと思われていたのが、実は適応障害だったというケースがある。日本人は遺伝的に不安を感じやすい人が多く、変化に対してストレスを感じやすい。人は誰しも環境に適応しようと努力をし、自分なりの型がある。中でも回避型は傷つくのを極力避けることで身を守ろうとする。しかしこれではチャンスを逃し抵抗力も育たない。環境を変えるのも方法の一つだが、他にもストレスをいなすやり方はある。思考を切り替えるトレーニングをして、嫌なことはすぐに頭から出すようにしたり、ゴールを明確にして行動に意味を持たせたり。やりようはある。

面白かった。花形の県警担当から左遷された未練たらたらの新聞記者、丸坊主でタンクトップ姿のアマチュア棋士、大人の色気がある小料理屋の女将……とキャラクター性がある。この三人が無理くり共同生活を始めるのだからぶっ飛んでる。掛け合いも軽妙で読んでいて楽しい。でも試合のシーンはしっかり白熱。もう後がない真田の生い立ちは壮絶。両親が各々の理由でいなくなったかと思ったら親戚の家で肩身の狭い生活を送る。牙をむく現実と将棋への情熱で狭き門を突き進む真田。その姿勢は周りの人間も変えていく。将棋を全然知らなくても楽しめた。