コロナ禍にパンデミックで歪になった日常を背景にした6編からなる短編集。 前半は、自由を奪われた日々の息苦しさ、遣る瀬無さを思い出させる不穏なホラー風味のやや後味が悪い物語達でしたが、後半には穏やかに収束に向かった状況に呼応するように、辛い日々にも救いを感じ、幾らかの希望が垣間見える物語に昇華して行き、ジ〜ンとしてしまう、流石の直木賞でした。 BGMは、PINK FLOYDで…「The Dark Side Of The Moon ～ 狂気」🎶🎶🎶

「光秀の定理」「信長の原理」に続く戦国時代物最新刊スピン·オフ。 信長の密命を帯びた光秀は、友垣の愚息·新九郎と伴に、武田·毛利両家の資金源を探る。流通、換金、供給率、持続性等々。金銀を活かす為に必要なものとは？ 戦国武将が自ら解き明かした数学·法則を当て嵌めて綴る歴史冒険活劇。 垣根氏はこのシリーズの他、昨年は「極楽征夷大将軍」で直木賞、「室町無頼」は映画公開間近と、時代物も滅法面白いのです。 BGMは、サザン・オールスターズのアルバムで…「世に万葉の花が咲くなり」🎶🎶🎶

光秀はなぜ信長に破格の待遇で取立てられ、瞬く間に軍団随一の武将と成り得たのか。彼の青春と光芒を高らかに刻み、乱世の本質を鮮やかに炙り出す。 そして…己が変わらなくとも、己以外の世の中(≒理)は変わっていき、やがてその時代の条件に会わなくなってしまう。見栄え良く頭脳明晰で武にも秀でた光秀が、地味ながらも愚直に生真面目に矜持を持って事に当る光秀が…人に対する優しさ·慈しみの心根を持つ生き方を変えられずに、結果…生き残れなかった者の憐れよ。 BGMは、吉田拓郎のアルバムで…「今はまだ人生を語らず」🎶

5月公開同名映画に併せた新装版。1973年秋〜オノヨーコと別居しメイ·パンと過した一年半のドキュメント。失われた週末≒孤独に打拉がれ酒に溺れながらもソロアルバム等の精力的成果も見せた時期。前妻シンシアと離婚以来の息子ジュリアン（ポールがHey Judeと励まし唄った）と4年振の邂逅、ビートルズ法的解散遣取中ポールやジョージとの友情が蘇った再会等々麗しのショット達。天才ジョンを一時支えたメイ·パンの視点で捉えた新たな発見に満ちた物語。BGMは「One Day」～10歳ジュリアンが太鼓を叩く「Ya Ya」🎶

東京〜大阪と巡回している写真展の公式大型写真集。「ジョンはなんてカッコいいんだ？ジョージはなんてハンサムで、おかしな帽子をかぶったリンゴはなんてイカしてるんだ？」と回想するポール。今は亡きジョンとジョージのポートレートを観て「大好きなこの二人が恋しくてたまらない」と呟くポール。台風の目の真ん中に居たあの時代、ビートルズ（ポール）の目から世界はどう見えていたのか?…を映し撮って、魅力満載の未見のドキュメントに釘付けです。BGMは、「恋におちたら」🎶～「ビートルズがやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！」🎶

帯のコピーが全てを言い表しています。「強い光は濃い影を生む。セックス·ドラッグ·DV·宗教etc…熱狂的なブームの裏で起きた4人を巡る事件とスキャンダル。ビートルズ研究の第一人者と気鋭のノンフィクション作家が、埋もれた事実を掘り起しその真相を語り尽くす！」そして結論は、「ビートルズは人を幸せにする」…との藤本氏の〆めの言葉でした。BGMは、勿論 THE BEATLESで…「I'm A Loser」🎶～「Tomorrow Never Knows」🎶～「Happiness Is A Warm Gun」🎶

ビートルズ日本デビュー60周年を記念した和久井さんによる、当時の日本の状況分析〜受け容れられ方〜その後の展開〜等々…数有るビートルズ本とは一線を画した新たな視点での面白い読み物（当時の珍しい写真や広告物等含め）になっています。ポールの写真集「1964年、僕たちは台風の中心にいた」と連動する、世界を動かしたあの年を、今一度見直す事になりました。BGMは、THE BEATLESで…「From Me To You」🎶～「All My Loving」🎶～僕から君へ、有りっ丈の僕の愛を、毎日毎日、君に送るよ🎶

国立新美術館で開催中の大回顧展、膨大な作品群を網羅した図録集。 中学生の時、THE MONKEESの日本盤オリジナルLPに田名網先生が起用されて、これがサイケデリック·アートなのだ！と感動したのが出逢いでした。 回顧展開催直後の8月に88歳で逝去 、NHK TV 日曜美術館の特集と相まって、感慨深い美術館観覧と濃密な読書体験になりました。 BGMは、そのTHE MONKEESのアルバムから…「WORDS〜恋の合言葉」🎶～「DAYDREAM BELIEVER〜デイドリーム」🎶🎶🎶

シリーズも第3弾。今回のテーマは NARRATIVE 〜 一人一人が紡ぐ変化し続ける未完の物語〜を4組5人のゲスト陣が語ってくれます。 印象に残ったのは宮藤官九郎さん、極端に面白い話に頷くこと多し。彼の脚本の秘密が垣間見えるような…。 BGMは、宮藤官九郎作詞作品群から、「潮騒のメモリー」🎶kyon×2、のんちゃん、薬師丸ひろ子のメドレーで…〜そしてNHK幼児向け番組で唄われた傑作「わーわーわー〜はじめてのウソ」🎶🎶🎶〜流石のパンク·ロッカー✕脚本家❗ （これは詩を是非読んで欲しい😄）

現実世界と観念世界の境目を越え、1939年ノモンハン事件〜モンゴル·満洲国境〜45年終戦間際の惨劇…と現在（1990年代）の東京を行き来する不条理な物語。時空·時限を超えて絡み合う複雑な展開に（後の作品にも象徴的に現れる）井戸の底に射し込む光に目も眩み…、人生の深淵と不思議に惹き込まれる圧巻の超大作1,000頁でありました。BGMは、ロッシーニの「泥棒かささぎ」序曲（第一部）🎶～シューマンの「森の情景〜予言する鳥」（第二部）🎶～モーツァルトの「魔笛〜国中に知らぬ者無き鳥刺し男パパゲーノ」（第三部）🎶

感想は最終巻に。 　　　　　　　　　　　　　　　　　第二部のBGMは、シューマンの…「森の情景〜予言する鳥」🎶🎶

村上作品の長編で唯一未読の1994〜5年発表の、何時か読まねばと思っていた三部作、中央図書館に美麗本発見し読了しました。感想は最終巻に。 第一部のBGMは、ロッシーニの…「泥棒かささぎ」序曲🎶

週刊新潮の巻末連載でお馴染みのタブレット純。マヒナスターズの最後のヴォーカリストでデビュー、和田弘逝去〜解散後は歌手活動と並行し寄席·お笑い·テレビ·ラジオに文筆業まで「ムード歌謡漫談」で活躍しています。今回は、医者の息子ながらエレキを抱えて一人GS〜バンド運営中心にタレント〜お笑い〜レポーター〜DJ〜作曲家〜俳優…なんでも出来てしまうエド山口さんに、芸能界を生き延びて来たその歴史に鋭く肉薄しています。実弟のモト冬樹さんが兄を語る、これまた面白い番外編が付いてます。BGMはエド山口で「六本木ララバイ」🎶

コロナ禍にパンデミックで歪になった日常を背景にした6編からなる短編集。 前半は、自由を奪われた日々の息苦しさ、遣る瀬無さを思い出させる不穏なホラー風味のやや後味が悪い物語達でしたが、後半には穏やかに収束に向かった状況に呼応するように、辛い日々にも救いを感じ、幾らかの希望が垣間見える物語に昇華して行き、ジ〜ンとしてしまう、流石の直木賞でした。 BGMは、PINK FLOYDで…「The Dark Side Of The Moon ～ 狂気」🎶🎶🎶

Into the Horizon 〜 紙の上にホリゾン（水平線）を一本引いて、そこに様々なオブジェクトが描かれたイラストレーション…。他の誰にもこの独特な味わいを出せない、唯一無二の水丸さん。眺めているだけで幸せにさせてくれる、誰よりも絵を描くのが大好きなイラストレーターの画詩集であります。 歌詞カードを水丸さん作品の豪華カラー冊子にしたユーミンのアルバム〜「Pearl Pierce」をBGMに美しい世界を堪能…🎶🎶🎶

36歳〜40歳の期間に描かれた、後に「ありのすさび」「象を洗う」「豚を盗む」の連作エッセイ集として発表され、多くの金言·オリジナル格言や短篇小説に当時大いに勇気付けられました。ほぼ全てが再読だと思うんだけど見事にまた感動…大体がその内容を忘れてしまってるからですね。北大中退後、故郷長崎に戻り佐世保在住の同級生作家が、青年から中年に至る時期に何を想い綴ったのか…振り返るに最良の書籍。BGMは作中で唯一取上られた楽曲、吉田拓郎で“僕を忘れた頃に君を忘れられないそんな僕の手紙が着く“と唄われる「春だったね」🎶