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2024年5月の読書メーターまとめ

時雨
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1
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感想・レビュー
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ナイス
94ナイス

2024年5月に読んだ本
1

2024年5月のお気に入られ登録
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  • プロメテ
  • 無題

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

時雨
君主制という世界最古の政治制度の歴史を辿ることは、世界史そのものの通覧に等しいことを改めて実感する。本書では古代から近現代に至る主要な王朝の興亡史を簡潔に紹介すると共に、現存28の君主制国家の行く末を占う。①外敵からの防衛・②領内の豊穣と平安の確保・③社会正義の維持 この3つの役割を中核とする王制が思想的・倫理的正統性を備えて世界各地で同時並行的に定着し、世界帝国の鼎立、啓蒙と市民革命の時代を経て淘汰されていく様は、著者の丁寧な語り口と相まって良質なドキュメンタリーを見る心地だ。2024年3月初版。
時雨
2024/05/25 11:11

敗戦国の日本に君主制が残された理由を、皇帝を奪われた戦間期ドイツの失敗を踏まえて説明するのは通説的理解に基づく説明だろうが、それだけで留めないところが実に著者らしい。戦前の日英王室外交を通じて立憲君主制の薫陶を受けた昭和天皇が、日本国憲法第1条の「象徴」としての地位を受け入れた経緯を説明する一方で、尊厳的部分(道徳的指導)と実効的部分(実務的指導)に分担することで憲政が国民の支持を調達しやすくなるという立憲君主制の長所を指摘し、これらが共にバジョット『イギリス憲政論』をルーツとするという記述は興味深い。

時雨
2024/05/25 11:14

名誉革命を受けて英ジェームズ2世が血縁を頼って亡命したのが仏ルイ14世、そのルイ14世がアジアの巨大帝国から「絶対君主制」の手法を学んでいた可能性を示唆するなど、各国史の列挙に陥りやすいところを繋いで歴史の連続性を示すのが著者は抜群に上手い。自分は『ヨーロッパ近代史』で初めて著者のこの語り口に触れたが、相変わらず惚れ惚れとする出来だ。250頁足らずで実質的に世界史通史を書き上げられたのは、初学者向けのレーベル故でもあるだろうが、君塚先生には本書で飽き足らず今後もしなやかな通史を書いてほしいと願っている。

が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
1

時雨
君主制という世界最古の政治制度の歴史を辿ることは、世界史そのものの通覧に等しいことを改めて実感する。本書では古代から近現代に至る主要な王朝の興亡史を簡潔に紹介すると共に、現存28の君主制国家の行く末を占う。①外敵からの防衛・②領内の豊穣と平安の確保・③社会正義の維持 この3つの役割を中核とする王制が思想的・倫理的正統性を備えて世界各地で同時並行的に定着し、世界帝国の鼎立、啓蒙と市民革命の時代を経て淘汰されていく様は、著者の丁寧な語り口と相まって良質なドキュメンタリーを見る心地だ。2024年3月初版。
時雨
2024/05/25 11:11

敗戦国の日本に君主制が残された理由を、皇帝を奪われた戦間期ドイツの失敗を踏まえて説明するのは通説的理解に基づく説明だろうが、それだけで留めないところが実に著者らしい。戦前の日英王室外交を通じて立憲君主制の薫陶を受けた昭和天皇が、日本国憲法第1条の「象徴」としての地位を受け入れた経緯を説明する一方で、尊厳的部分(道徳的指導)と実効的部分(実務的指導)に分担することで憲政が国民の支持を調達しやすくなるという立憲君主制の長所を指摘し、これらが共にバジョット『イギリス憲政論』をルーツとするという記述は興味深い。

時雨
2024/05/25 11:14

名誉革命を受けて英ジェームズ2世が血縁を頼って亡命したのが仏ルイ14世、そのルイ14世がアジアの巨大帝国から「絶対君主制」の手法を学んでいた可能性を示唆するなど、各国史の列挙に陥りやすいところを繋いで歴史の連続性を示すのが著者は抜群に上手い。自分は『ヨーロッパ近代史』で初めて著者のこの語り口に触れたが、相変わらず惚れ惚れとする出来だ。250頁足らずで実質的に世界史通史を書き上げられたのは、初学者向けのレーベル故でもあるだろうが、君塚先生には本書で飽き足らず今後もしなやかな通史を書いてほしいと願っている。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/04/13(1892日経過)
記録初日
2019/04/13(1892日経過)
読んだ本
584冊(1日平均0.31冊)
読んだページ
146278ページ(1日平均77ページ)
感想・レビュー
543件(投稿率93.0%)
本棚
25棚
外部サイト
URL/ブログ
http://twitter.com/light_snow
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