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2024年10月の読書メーターまとめ

時雨
読んだ本
5
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感想・レビュー
4
ナイス
23ナイス

2024年10月に読んだ本
5

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

時雨
風評加害者を激しく糾弾した前著に続き、福島県出身のジャーナリストは「弱者性」を笠に着た社会運動の欺瞞性と無責任さを語気荒く告発し、社会正義のナラティブに整合するかどうかで事実認定が揺るがされてしまう時局を批判する。本書はクマ駆除を取り上げた序章、米国BLM運動の大義を相対化した上で善悪二元論の危うさを確認する第1章のほかは、ALPS処理水の海洋放出問題をはじめとした福島第一原発事故をめぐる「情報災害」への怒りに満ちている。なお未読者は前著『「正しさ」の商人』を先に読むことを推奨する。2024年3月初版。
時雨
2024/11/07 13:41

前著から引き続き、風評加害批判のための思考枠組みは整理されて系統立ったものとは言い難いし、脚注リンクはURL掲示でびっちり埋まっていてお世辞にも親切な叙述とは言えない(このURlLは電子書籍で読んだときこそ本来の形で活用されたことになるのだろう)。しかしながら福島の地で現に生活し、科学的根拠に乏しい誹謗中傷に本人が心を痛めるばかりでなく、そうした中傷を苦にして近親者が自殺してしまった一介の生活者の憤懣やる方ない告発に、今なお「善意」から事故被災地の安全性を懸念する人ほど誠実に向き合うべきだと考える。

金北山の麓に生まれ育って
2024/11/11 22:03

正確な読みだなぁと感服、もっと言うとその読みをキチンと言語化出来るところにそれ以上に感服です

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
4

時雨
風評加害者を激しく糾弾した前著に続き、福島県出身のジャーナリストは「弱者性」を笠に着た社会運動の欺瞞性と無責任さを語気荒く告発し、社会正義のナラティブに整合するかどうかで事実認定が揺るがされてしまう時局を批判する。本書はクマ駆除を取り上げた序章、米国BLM運動の大義を相対化した上で善悪二元論の危うさを確認する第1章のほかは、ALPS処理水の海洋放出問題をはじめとした福島第一原発事故をめぐる「情報災害」への怒りに満ちている。なお未読者は前著『「正しさ」の商人』を先に読むことを推奨する。2024年3月初版。
時雨
2024/11/07 13:41

前著から引き続き、風評加害批判のための思考枠組みは整理されて系統立ったものとは言い難いし、脚注リンクはURL掲示でびっちり埋まっていてお世辞にも親切な叙述とは言えない(このURlLは電子書籍で読んだときこそ本来の形で活用されたことになるのだろう)。しかしながら福島の地で現に生活し、科学的根拠に乏しい誹謗中傷に本人が心を痛めるばかりでなく、そうした中傷を苦にして近親者が自殺してしまった一介の生活者の憤懣やる方ない告発に、今なお「善意」から事故被災地の安全性を懸念する人ほど誠実に向き合うべきだと考える。

金北山の麓に生まれ育って
2024/11/11 22:03

正確な読みだなぁと感服、もっと言うとその読みをキチンと言語化出来るところにそれ以上に感服です

が「ナイス!」と言っています。
時雨
最初の被害現場オソツベツの地名と、現場付近で測定された足跡の幅18cmにちなんでOSO18とあだ名された「怪物」──数年来北海道を騒がせたヒグマのあっけない死が報じられて1年以上が経過した。現地でOSO18追跡・捕獲の有志団体を結成した著者による手記では、センセーショナルな報道の裏側で続いていた1匹のヒグマとの暗闘の内実が赤裸々に明かされる。放牧中の牛を襲っては部位を選り好みして貪る、極端な肉食性のヒグマはなぜ生まれたのか。ヒグマの生態に造詣の深い著者が推測する実像は重く苦い。2024年7月初版。
時雨
2024/11/06 15:51

家畜の肉の味を覚えたヒグマがいつ「人食いヒグマ」に目覚めるか分かったものではない──神出鬼没のヒグマを煽情的に語った各位の脳裏には、かの『羆嵐』三毛別ヒグマ事件その他羆害事件の数々がよぎったことだろう。その三毛別ヒグマ事件以来という現地の縄張りを超えた協力体制のもとで、用心深いヒグマの僅かな痕跡からプロファイリングして捜査網を絞っていくさまは、あたかもサスペンス小説のような緊迫した筆致で、物見高い好奇心を満足させてくれた。しかし本書を読み終えたとき、カタルシスなき考察に我々は真顔にならざるを得なくなる。

が「ナイス!」と言っています。
時雨
前著『シン・日本共産党宣言』が党綱領・規約に違反するとして除名処分を受けた元党員の著者は現在、法廷闘争を通じての党籍回復を目指しているという。本書は除名決定に際しての手続上の重大な瑕疵を告発する一方で、処分手続と前後して党ぐるみで展開された反松竹キャンペーンの具体例を詳しく述べ、除名処分と名誉毀損が不可分に結びついていることを主張する。その上で、党員除名処分に対する司法審査の前例である共産党袴田事件の法理を解題し、判例を前提にしてもなお除名処分が覆されるべきであることの立証を試みる。2024年6月初版。
が「ナイス!」と言っています。
時雨
長期の週刊連載を複数経験した漫画家 という異色の経歴を持つ現職の参議院議員(2024年10月現在)が、自身の体験をもとに国会議員の仕事と日常を紹介する。Twitter(現X)の自身のアカウントで発信している1ページ漫画『国会にっき』を一部再録してイラストと共に援用しながら、国会議員になった経緯、職務内容や待遇、院内委員会や法案の党内審査、海外視察などを具体例を挙げて解説。与党政治家としてのポジショントークがないとは言わないが、レーベルにふさわしく平易で簡潔な説明を心がけていると感じた。2024年6月初版。
時雨
2024/11/02 12:33

著者は2022年参院選で当選したばかりの1年生議員でありながら、先の自民党総裁選では選管の一員として総裁選の公報やポスター作成に関わっていたのが記憶に新しい。表現の自由擁護の観点から、与党の内部から政策決定に関与する著者の立場は個人的に支持できるものだし、それを割り引いても好奇心旺盛で勉強熱心、先取気鋭を絵に描いたような姿勢は感銘を受ける。その一方で、漫画家としての著者をある程度知っていた身としては政治家適性にはさほど驚きはないし、誰にでも務まる仕事ではなく替えの利かない存在であると改めて理解させられる。

時雨
2024/11/02 12:46

議員報酬や政治資金パーティ、海外視察など、昨今批判を受けがちな諸々の存在意義についても本書では言及がある。清貧を説いて禁止・廃止を唱える向きがあるようだが、目先のコストカットを進めた末に貧乏人が議員を続ける道が事実上閉ざされてしまったり、金銭的困窮からかえって汚職が増えるリスクがきちんと考慮されているとは思えず、自分は支持できない。かといって不明朗な会計処理で私腹を肥やすような不心得者を是認するつもりはないので、派閥解散のような奇策ではなく資金透明化を徹底して国民の監視に晒すことこそ民主政の正道と考える。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/04/13(2056日経過)
記録初日
2019/04/13(2056日経過)
読んだ本
610冊(1日平均0.30冊)
読んだページ
153053ページ(1日平均74ページ)
感想・レビュー
568件(投稿率93.1%)
本棚
26棚
外部サイト
URL/ブログ
http://twitter.com/light_snow
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