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未明の闘争

感想・レビュー
60

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ノブヲ
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こうした無謀にとりとめのない作品が、晴れやかにも日の目を見ることのできる世の中に、このうえない幸せを感じる。保坂和志は自身の作家としての立ち位置を、村上龍と村上春樹のちょうど中間点のあたりに定め、ピンポイントで狙い撃ちしている気がした。インモラルを気取ったリアリズム、その日常が不意に破れる兆し、といった感じで。池袋のスクランブル交差点で見かけた今は亡き友人、飼い猫や犬の話、チェーホフやベケット、そうしたものを絶えず横断しながら逡巡を繰り返す。それは「未明」に留まり続けるための極めて個人的な闘争でもある。
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にしざわ
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文庫で読んだ。文庫で上下巻ある、上巻の後半あたりからけっこうずっと感動していた。けっきょくどういう小説なのかわからないし、とりあえずページを最後までめくったというこの行為が果たして読み終えたということなのかどうかもわからないのだが、感動といっていいと思う。やはり最後は猫の話が続いてそのまま終わったのも保坂和志らしくて、ウケつつ泣きそうになった。
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フリウリ
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いくつかのエピソードを細分化して、無作為に並び替えたような構成で、それらに意図があるように、ないようにみせているのですが、その構成自体が作為的(考え過ぎ)に感じられ、果てしない反復に付き合うのは、しんどかったです。自己言及的、タコツボ的な小説は好きですが、バットを振るなら振り切ってもらったほうが、付き合いがいがあると思いました。3
フリウリ

(メモ)保坂氏は人間の記憶のありのままの姿、つまり脈絡なく飛び飛びする記憶、をモデルに小説を組み立てている。その目論みは、音楽や造形ならば可能だが言語では難しい、と普通に考えて予想できることを、わざわざやってみせてくれている、という意味では、興味深い小説である。あと、金に執着する人間を見て、その人間も金も疎ましくなるように、猫(や犬)にあまりに執着する姿に、猫(や犬)までなにか疎ましく感じられてしまったのが悲しいのですが、仕方ないのだろうか。

01/20 09:08
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Meme
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始点から大きな円を描き始め、始点と終点がピッタリと合わさった感覚を最後の一段落で味わいました。人も猫も日常風景が中心です。時間軸も視点も行ったり来たり。柳春の霊魂あたりの話が分からなくて最高に面白かったです。短編映画として見たいですね、これは。
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黒とかげ
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うーん。物語もへったくれもないが、文章は読ませる。その点はものすごいのだが、いくらなんでも長すぎるなぁ。最後まで読めた人はどれくらいいるのだろうか?途中から斜め読みになってしまった……。
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踊る猫
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保坂ワールドは一作ごとに確実に進化/深化している。悪く言えばコアの部分はワンパターンでもある。女性をややエッチな視点から描き、野郎たちのバカさ加減を書き、猫を書き風景を描写する。その筆致は綿密を極めるが決して読みにくいわけではない。読みやすく、ややもすれば退屈さしか感じさせない部分を豊満な情報量を盛り込んだ文体で描き切り読ませる。今回の鑑賞で、やっぱり保坂の世界とフェミニズムは相容れないのではないか、と思った。助平さというかしみったれた欲望があからさまになるあたり、男性の私から読んでも馴染めないままである
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アバラ
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読んでいる途中に読み方が分かった気がした。嘘。猛烈な広がり。
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OHNO Hiroshi
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保坂和志の日常の描写の、作品の好き嫌い。それは猫が好きか、嫌いかにあるのかも知れない。読んでいて、すんなりする時もあれば、そうではない時もあるが、こういう作家はいないので、日記系のブロガー(死語か)とかに特に保坂和志は人気である。一つのお手本。気持ちよく、いつも読める。
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ざーさん
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2年ぶり再読。ずっと漂っていたい、寝ぼけた朝の夢と現実を混同するような心地、回想の中に回想がはじまり、複雑にはなるけれど、人間の想念なんて筋道なんてものはいい加減なように、始めと終わりなんてものなんてないのだろうけど、どこかそうしたものに迷い込んで彷徨うような通読を覚える。とはいえ始めと終わりがつながるような書き方をしているのも良い。村中鳴海たそ〜。初読と違い、猫、富士山、ろくぶてのくだり、カマキリ卵など、登場人物が語る話題がリフレインしてくるのに気づいた。デジャヴじゃなかった。
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アレカヤシ
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ネタバレ1頁めから「私は」という不思議な主語にびっくりする。なんだか変。そのあともずっと「~は」という不自然な主語は出てくる。すごくおもしろかった。物語を追っていくような楽しみではなく、ばらばらとあらわれるエピソードにつかまって自分のなかに入っていくようなおもしろさ。そうであったかも(そうでなかったかも)知れない過去、というあたりで埴谷雄高の未出現宇宙を思い浮かべたけどちょっと違うかもしれない。最後のほう「Ruby's arms」からの、溶けていくような感じ、とても好きだった。この本ぜんたいが、誰かの夢の中みたい
アレカヤシ

(歓喜の瞬間や悲しみにうちひしがれた瞬間が人生全体を駆動させるという遠い手触り、出逢うはずがなかった時間同士を擦り合わさせる接点、蝶番、あるいは──どれもドンピシャリでなくもどかしく・・・)503 (悲しむのは、ここにあたしがいるからだよ)480 (考えるとき人は自分の意志によって考えているのではなく、意志を離れたものによって考えさせられている)36 (この人はわかるためでなくわからなくなるために考えてるんじゃないか)336 (つうか、人間みたいなのが最初から最後まで一度も生まれない宇宙もあんだよ)451

12/29 21:31
アレカヤシ

(・・・最初は言葉によって形容する必要のない気分の中にいたはずだったのにそこにすぐに言葉が入ってきて私の気分を掠めとる。掠めとられたことに私は気づかず座を占めた言葉と揉み合い、もう私の気分でなくただの言葉なのにこの言葉が自分の気分だという錯覚にどんどん足を取られる)411頁

12/29 21:36
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V
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訪れた「青の時間」、なぜかいま読む本に思え、ただただ丁寧に読んだ。作中、「すべてを自分の伴侶として想像する、想像された、想像するもの」という文が思い出される。この本もまた、すべてを即自的な過去として思い出す、思い出された、思い出すものだ。思い出されたものが、思い出すことの連鎖・リフレイン。思い出し、思い出させられている。そのどれもが未だ「いまここ」に辿り着かない、未明の闘争。おかしな日本語は、思考や想起の文法ゆえだ。終盤にひたすら綴られる去勢された猫たちのほろび。それは闘争していた可能性のほろびに重なる。
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takao
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?な小説
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しゅん
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ラスト一段落のグラッとくる感じ、読み終わったあとにくる晴れやかな感情。文章はダラダラ続いていくようで実際にダラダラ続いていくわけだけど、そこにはヒリヒリとした闘争のフィーリングが常に潜んでいる。星川の回想が闘争めいているのは猫の死が強烈な重みを持っているからで、その死の上で生き続けることをどう肯定するかという命がけの思考がある。重要なのはその命がけが苦しいものであると同時に楽しいものであるということではないか。だから、『未明の闘争』と名付けられたこの文章は死なずに生きている。
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横山
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四月から読み始めて九ヶ月漸く読み終えた今日、とても寂しい気持ちになった。今年のベスト。
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かやの
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自分の頭の中の動きを、省略している無意識の領域まで全て言葉にして書き記して行くと、正にこんな風になるのではないかと思う。これを違う思考回路の人が読むと、唐突だったり、脈絡がなかったり、だから何? ってことになるのかもしれないが、私には字面を追っていくのが妙に心地良く、小さな活字で一杯の537ページでも物足りなく感じた。乞う続編。
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りょう
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2015年最初に読んだ本。「小説とは何か」ということをひたすら考えてる人が保坂和志なんだけど、散々考えた結果書いた小説がコレだから、どっかおかしいとしか言いようがない。こんなもん誰にも勧められないし、下手な感想も書けない。活字ジャンキーな友達がいれば「こんな変なんがあるんだけど」と紹介できるんだけど、生憎そんな友達もいない。倒錯モノとか、異世界モノとか、そんなコトを超えて小説として変。とーーーーっても変。と、ここまで読んで興味があれば、是非手にとって最初の一ページを読んで欲しい。一ページ目でおかしいから。
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MG
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芥川賞、谷崎潤一郎賞など各賞を受賞しているベテランの小説家が繰り出す意味不明な小説です。これを読んで何か意味ありげなコメントをすることは非常に不自然に感じます、読者置き去りの作品です。
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kamikusa
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目の前に書かれていることだけをそのまま受け取って、浸れる。小説を読むときの面白さってなんだろうと考えた時に、読み終わった後に自分の行動、思考がその小説に引っ張られることが心地よいのではないかと思っているのだけれど、この小説はまさにそんな心地よさを強く感じさせてくれた。時間をかけてもう一度読みたい。
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紫苑
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文脈としては最初の最初からつまづいた。今までこのような小説を読んだことがなかったが不思議と違和感はなく、過去と現在、現実と追想が交錯するのを面白く読み進んだ。X軸とY軸の間を転々としているような。フラッシュバックであればともかく、サブリミナル効果のように一文だけ挿入されているところもある。一見、野放図とか冗長とか思うが、計算されたものが感じられた。時間軸が入り組んでいるとはいえ、意識下とはいえない気がする。ひとの意識や記憶の混沌と咀嚼、それでいて意識の衰退ではなく、なんとなく生を感じさせられる小説だった。
0255文字
s_i
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時間かかった。
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みず
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目の前に書かれている文章に視線を固定することが難しい。視線は右上を見たり、左下を見たり。それに付随してか、もしくはそうだから視線が付随するのか、意識の方向があちこちにぶれる。過去、現在、未来、知っているようであまり知らない部分に。ただ、これが小説なのだという予感を告げてくれる、暖かい小説。
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記憶が記憶を呼びそれらが絡まり合うこの小説は文法を無視した文章と相まってわかりやすくはないが前衛みたいなものとは違う。人間の思考や記憶はふつうの小説にあるような整然としたものではなく複雑で整理を拒むような力強いものでしかも正しい文法でなされるものではないからリアルであるために必要があってこう書かれていて、そしてそのリアルさの根底には圧倒的なほどの「生」への肯定感がある。これほど「愛にあふれた小説」をぼくは知らない。
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帯のコピーが、うまくこの小説を表していると思う。「やみくもに大切なものを抱きしめたり、ロッド・スチュワートが聴きたくなったり、眠ったり、子供の頃を思い出したり、セックスしたり、叫びたくなったり、何処か知らない所に行きたくなる、富士山と文学と音楽と猫と世界への愛にあふれた小説。」

07/13 00:19
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mnt1983
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ネタバレ未明の闘争。かわたれどきの闘争。彼は誰時の。意識は人物を透過して、語り手は自己を虚しうしてゆき、後に残るのは誰のともつかない言葉。自由間接話法的な小説。引用されたベケット『伴侶』の言葉と、チェーホフ「学生」のモチーフが、この小説の全てを言い表している気がする。誰が誰をどう想像しているのか朧げなままのその想像が至る所で共振する。文体と、猫と生と死を貫いての内容とが見事に一致してる。この小説で作者が言いたかったことを読み解こうとしても恐らく徒労に終わる。が、作者にこれを書かせた動機は確実に切実な気がする。
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shimojik
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書くのを書いて印刷したのがこれ、という感じ。
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ki_se_ki
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太宰治『富嶽百景』で「私」は自らの求める「芸術」を模索し、苦悩しているからこそ、結婚(=「現実」)に踏み切ることもできない。そこで彼は甲府側から富士山を眺める。一方『未明の闘争』。こちらの登場人物たちは「わからなさ」をそのままに「現実」を生きており、そこには『富嶽百景』的な〈近代的自我〉的な苦悩などないように見える。主人公「星川」は同僚で愛人の「村中鳴海」と新宿から甲府、さらにそこから身延線を南下し、逃避行に出る。そして富士宮側から富士山を眺める。結果、『未明の闘争』は裏返された『富嶽百景』といえようか?
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かふ
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保坂和志は初めて読む。それまで名前は知っていたがそれほど興味もなかった。で、どっかでフリージャズを聴きながら書いていたというような。勝手気ままに回想を書いているようにも思えるが後藤明生かと思ったら小島信夫なのかもしれないとこれも勝手な思い込み。時間軸があっちに入ったりこっちに行ったり。犬の記憶が一番古いのか、村中鳴海との情事が最近なのか。猫の話が一番胸打つのはかつて猫を飼ったことがある人ならその最後を看取ったときの心情は共感するものがあるのかもしれない。猫好き文学の一冊に加えてもいいような本。
かふ

確かにブンやピルルやアキちゃんや村中美雪といった固有名のかけがえのない世界が小説なんだろうな。

03/28 19:36
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yogi
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前々から一度手にしてじっくり読もうと思ってた私は作者より若いとはいえ40代であることは間違いないがこの本は空間というより配置だな〜と感服どうしたらこのような素晴らしい本が書けるのか映画が好きな私はカレーも好きだが最近は食べないそして猫は好きだ。会いたい人に会えるそんな気持ちが燃え上がるパワーが沸き起こりながら夢を魅せてくれるありがたい本ありがとうありがとう20年後にまた読みたい。
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硯浦由咲
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久々の保坂さんの小説、堪能しました。説明し辛いけど、この人にしか出来ない切り取り方、表現方法がすごく好き。今回の作品、なんかまたすごいところまで行ってしまったんだなー、と思う。最初、注意深く、本当に集中して読んでいないと、「あれ?何について書いてたんだっけ?」と分からなくなってしまって戸惑ったけど、じきに「小説」を読んでいる充実感で満たされる。文章を読むことに淫する人には堪らないと思う。
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石井透雄
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具体的なストーリーとして描くのではなく、記憶の堂々巡りとして時物を描いている。白血病で亡くなった猫のチャーちゃんへのこだわり、アキちゃんの語るゴーリャトーキンのエピソード、村中鳴海とのやり取りなどなど、さりげなく、こちらの記憶にも入り込んでくる。著者ならではの読後感を味わえる。
0255文字
zipper
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いろんなエピソードが自由自在に積み重ねられ、連なっていく様に圧倒される。 文法的におかしい文章同様、五感に訴えかけてくるものがある。 いつの間にか挿入されるラストの友人のくだりが不思議で、ラストで「そこへつながるのか」という感じ。(つながるというほどのことではないけど) 間違いなく力作であるけど、全体的に自分には少し長すぎたかも。
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nakatta
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連載がスタートして間もない頃に、磯崎憲一郎が「どこまで手荒に扱っても壊れないものか、小説という形式の頑強さを試しながら書いているような印象を私は持った。」と述べていたそう。これが非常に的確な評に思える。すこぶる面白く読めたわけではないけれど、これまでに小説が蓄えられてきたいろいろな方法を試してみました、という印象があった。乱暴に読んで見るのがいいのかもしれない。
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kuukazoo
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言葉で世界を構築するという作家の力わざを目の当たりにしてるような気がした。わかりにくかったり途中退屈になったりもしたが、これだけのものを書くということはすごい。いくつかのエピソードというかある時ある場所であった事の塊のようなものがあって、あっちへ行きこっちへ飛び、戻り迷いしているうちに、理解しようという気は失せ、そのまま巻き込まれてしまおうと読んだ。400ページ以降の謎のグルーヴ感と言ったら(笑)。あとやはり猫のこと書いてるとこはホントすごいと思う。最後の方は猫一族の一大叙事詩と化していた。
0255文字
バーニング
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なるほどこれは。断章の連続として読んだが何が正しいのかはよく分からないな。猫以外だと村中鳴海のエピソードが面白かった。
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あかほ
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保坂さん、ついにこのような小説にたどりついたのだなあ、と感嘆。破綻や飛躍や断裂や堂々巡りがあるのが人間の脳で、それを後から辻褄合わせするところまでが無意識の産物で、だから意識的に書かれた文章にはどうしたって秩序があるのに、破綻を破綻のまま文章として書くという困難を想像すると、ただもう感服。リアルということのひとつの体現。保坂さんの本はいつでもそうなんだけれど、読んでると終わってほしくなくて、このままずーっとだらだらと続いてほしくて困ってしまう。
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コキア
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人生の時間の流れに出逢いや出来事が起こるのではなく、出逢いや出来事が起きるその度ごとに人生の時間が流れてる。。ふむ。 時間をかけてゆっくり読む本でした
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ヤマダ キヨシ
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☆☆☆
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