形式:単行本
出版社:集英社
形式:文庫
形式:Kindle版
形式:その他
出版社:情報なし
女を殴る父と、同じ目をした、俺。川辺の町で暮らす17歳の少年。セックスの時に暴力を振るうという父親の習性を受け継いでいることを自覚し、懼れ、おののく…。逃げ場のない、濃密な血と性の物語。第146回芥川賞受賞作。
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【第三紀層の魚】 個人的には表題作の「共喰い」よりこちらの方が好きだった。物語の要所要所で心にぐっときた。小学4年生の信道は早くに父を亡くし母子家庭。同じ市内の祖母と曽祖父の家で面倒を見てもらうことも多い。曽祖父は高齢で寝たきり、若い頃は戦争に参加しており愛国心も強く、勲七等をなくしたことを後悔している。まだ子供の信道は大人の入口のようなものにぶつかり、そこで揺れ動く。
思い込みかもしれないが、象徴的な描写が多い。例えば、曽祖父が戦後当たり前のように釣ったチヌ(クロダイ)を信道は釣り上げることができない、幼い祖父は曽祖父から勲七等をもらうも失くしてしまう、曽祖父の死、信道の母の東京での挑戦などなど。緻密さを感じる一方でちょっとあざとい感じもした。父性的なものが死ぬ点は「共喰い」とも共通している。
エッジがきいてるぜ~ω
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