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金融政策の「誤解」: “壮大な実験”の成果と限界(現代経済解説シリーズ)

感想・レビュー
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chayka2
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著者にとっては初の著書とのことだけど、文章が非常に上手くてテクニカルになりがちなテーマにも関わらず専門家でなくても興味深く読める。ゼロ金利下では当座預金と短期国債が等価財となるから金融緩和を行ってマネタリーベースを増やしてもマネーストックは増えないという説明は非常に分かりやすかった。ただ、営利企業ではない日銀の「損失」なる概念を観念することには違和感を感じた。損失分を日銀券で補充することが日銀の仕事では?と。すべては政府の財政赤字の問題でしかなくて日銀単独の損失を考えることにあまり意味は無いと思った。
0255文字
Uz あなぐま
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政策担当者の視点から金融政策の変遷を振りかえる内容は難しい話も出てくるが論点が整理されていて考え込まずに読むことができた。量的質的金融緩和はプラセボに似て「効果はあっても理屈がない」という説明が面白い。リフレ派の誤りを度々指摘していて、日銀内部にいたときには外からの批判に忸怩たる思いがあったのだろうなと想像された。2016年出版の本書で取り上げられた課題が古い話には思えないことにいろいろと問題を感じていたら、読んでいる最中にようやくマイナス金利解除のニュースが流れた。さて、このあとは大増税か金融抑圧か。
0255文字
えちぜんや よーた
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金融政策の是非を論じる本であるが、行き着く先は社会保障(特に医療・介護)と働き方をどのように改革するか。その厳然とした事実に目を向けさせるために、切れ味抜群の専門知識で金融政策にまつわる「誤解」をときほぐしたと言える。短期戦として始まった異次元緩和が、2016年時点で長期の持久戦に変わりつつあることを説いているが、コロナショックによる日銀株支えと財政出動でもはや「出口」など存在しない感じがする。そのうちIMFが日本の金融・通貨当局を占領するような気がしてきた。75年前にGHQが日本を占領していたように。
0255文字
田山河雄
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著者は2012年の安倍政権発足の前後に日銀を去った著名な方々(白川方明・翁邦雄・早川英男)の一人。量的緩和反対で財政破綻且つ出口警鐘の論者。本書はその出口警鐘論を詳述。無意味な量的緩和から日銀当座預金が不必要に積み上がり、為に銀行間市場(短期金利)が機能せず、止む無く日銀当座預金に付利することで日銀は実質短期金利を維持せざるを得なくされる…と。量的緩和から早く脱出(出口)する必要があるが、すればしたで金利の上昇から保有国債との逆ザヤの危険性がある…、最悪、日銀の債務超過を懸念する警鐘を鳴らされている訳です
田山河雄

本書を読む代わりになるかも…の、簡単かつ簡便なコラムがあります。 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h29pdf/201715902.pdf#search

08/23 03:48
田山河雄

自国通貨建ての国債(例えば我国)にデフオルト(債務不履行)が無いように、同国の中央銀行(日銀)にデフオルトはどうも無さそうです。それはそうですよね、日銀の機能があるからこそ我が国にデフオルトが無いのですから。債務超過になったとしても支払い機能に支障が発生しない…。只、副作用は厳しそうです。著者が云うように国債の格下げは日本企業の債務格付けに連動するらしく影響も大とか、又金利高騰なども…。ご異論や賛否も色々あるらしい、初めての事で余りにも不明だらけなのですから。関係各位のご努力に期待と敬意を表します。

08/24 01:22
0255文字
aswk
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再読。執筆当時とあんまり状況変わってない(マネタリーベース目標が実質的になくなったくらいか) コラムに出ていた Eggertsson and Mehrotra (2014)も読んでみたい
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kenitirokikuti
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2016年7月刊行。著者は元・日銀理事である。刊行後の2016年末にトランプ大統領が誕生し、米国株が暴騰し、日経平均もそれに続いた。なので、この19年からは2013〜16年のアベノミクスの評価が見えづらくなってる感じである。15〜16年にNYダウが二回暴落、これは米中間の争い。ファーウェイの件は第2ラウンドかしら?
0255文字
レイノー
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2016年刊。著者は富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー(元日銀調査統計局、同理事)。◆経済政策分析書は経済理論に阿るか、現実やデータに克ち過ぎるか、一般にはどちらかに偏り過ぎだ。ところが本書はその例外で、バランスを取った叙述は稀有。◇大体、80年代は兎も角、21世紀では、理論的にも実証的にも根拠のないことが(特に米国経済で)明確なマネタリズム。これに依拠する古い頭のリフレ派による雑駁な論述とは一線を画し、本書の価値の高さが見て取れる。◆さて本書の主テーマはアベノミクスと平成日本経済の分析。
レイノー

低金利で顕在化していないが、仮にアベノミクス公約のとおり、物価2%上昇達成後の政策金利を2%と予想すれば、毎年6兆円もの逆鞘が発生。他方、野放図な国債発行のツケが社会保障制度の逼迫の関係で更に積み増しされた場合、日銀のバランスシートのマイナスが円信認の失墜に何時つながるか。とても楽観視できない様が語られる。そして、本書ラストのコラムは、ある種の悲観論、ないし現在の常識の根底からの覆滅を意味するものであるが、緻密な現状認知の帰結であって、決して絵空事ではない。そんなことは起こるはずがないとは言えまい。

05/26 14:03
レイノー

◆かように僅少の功、莫大な罪と将来へのツケを齎したアベノミクス。ここで痛恨の極みは、野党自民党時代、谷垣禎一総裁の下で、増税を政争にしないと確約した三党合意を反故にした安倍晋三が政権に就いたことである。アベノミクス・量的緩和政策には多少の同情を見せる著者であるが、この部分に関しては厳しい目を向けている。そして、本書から伺えるのは、このツケを払わされるのは我々国民なのである。◇これを明敏に、実証と理論で解読している本書。経済書では久々に見た好著であり、お勧めできる一書。

05/26 14:10
5件のコメントを全て見る
0255文字
MOMO
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思ったよりも理論的な話まで踏み込んでいて驚いた。それと同時に、自分の経済学への理解がいかにぬるいかを痛感させられて悔しかった。さて、リフレ派の主張には僕も影響された事があったが、直感的に都合が良すぎるだろうと違和感が強かった。それを主流派の立場から論破していたのは小気味良くもあるし、とても勉強になった。いくつか本を読んでみて、日本の主流派で一流の経済学者は、皆一定の危機感があると感じる。弾切れのまま次の景気後退を迎える可能性の現実味は、増してきている。
0255文字
ペンギン伊予守
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読んでいて思わず膝を打つ説得力。じっくり丁寧に読むと、とても繊細なロジックの構成やお人柄が見えてきます。参考文献も詳細なので、とても勉強になります。
0255文字
KAZOO
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日銀出身のエコノミストの中では一番わかりやすい語り口です。白川元総裁や翁さんもかなりな論客でいらっしゃるのですがここまではっきりとはあまり言われてないような感じです。リフレ派の言っていることを論破して小気味いいくらいです。最後の方に書かれているのですが、「出口」戦略をどのようにしていくのかが今後の日銀の真価が問われることになるのではないかと思われます。
0255文字
Mikatas
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狭義のリフレ派に対する違和感をずばっと言ってくれて、すっきりした。低成長の継続、ひっくーい金利環境なんて前人未到の領域なのに、狭義のリフレ派は後出しジャンケンで攻撃してくるので質が悪い。
0255文字
月樹
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課題本。
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おさむ
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日銀きってのわかりやすい語り口で知られていた早川氏。黒田総裁の下で展開された量的質的緩和政策をばっさり両断しています。そもそも短期決戦の政策だったのに、2%の物価目標にとらわれて、引き締めに方針転換できなかった。円安でも輸出は伸びず、企業は儲けても設備投資を増やさなかった。2013年4月の第1弾緩和を真珠湾攻撃、14年10月のハロウィン緩和をミッドウェー海戦になぞらえて失敗を指摘。待ち受けている出口戦略が日銀及び日本経済に大打撃を与えかねないと警鐘を鳴らしています。2016年度エコノミスト賞の良書でした。
0255文字
Hiroo Shimoda
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異次元緩和は偽薬効果。マイナス金利は効果あり(残念…)。日本はデフレではない。地味な表紙に反しなかなか刺激的な内容。
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koji
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平易な語り口ですが刺激的な書です。1度目はじっくり読み、2度目は不明な点を考えながら読んでも、まだ理解できない所が多々あります。明らかに私の勉強不足ですが、制約された時間の中で、ひとまず本を措くことにしました。最も疑問は、筆者の「デフレ脱却は、潜在成長率の低下とQQEの効果が半々」という主張。日銀、内閣府の統計の食い違いも含めて理解が及びませんでした。一方共感点は、QQEの出口戦略(成否はともかく)への言及、イノベーション不足及びメンバーシップ型雇用の是正を主張したこと。いつかどこかで再挑戦したい書です。
0255文字
おおしま
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日銀のチーフエコノミスト(調査統計局長)などを務めた早川氏による金融政策論。本人は反リフレではない、としているが、全体として、リフレ派を批判している。理論的には効果はなく、効果があるとすれば、それは、偽薬効果。そもそも、長期停滞の原因は、金融政策ではなく、潜在成長率の低下のせいである。QQEは、出口のところで、大きな国民負担を背負わせるものであることを考えると、民主主義的に許容できないのではないか、というのが、著者の主な主張です。論点がよく整理されていて、よい本だと思います。
0255文字
yo
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日銀がやってきた量的・質的金融緩和(QQE)の性質や効果を、その後のマイナス金利まで含めて検討する。全体として「QQEは短期決戦で終わらせなければならなかった」「今後はマイナス金利を中心に持久戦に持ち込む必要がある」「日銀はハロウィン緩和やマイナス金利導入の際にサプライズであることを意識しすぎて市場からの信頼を失ってしまったため、史上とのコミュニケーションを再建しなければならない」「出口を探る議論をしていないわけがないのだから内容を公開し議論すべき」といったかんじ。新聞などとは違う論調なので面白い。
0255文字
tacacuro
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最近読んだ中で最も役に立った本だと知人から勧められ、まずは一読。アベノミクス第一の矢、金融政策の成果と限界?についてわかりやすく解説。日本経済再生のためには、「企業価値の最大化」ではなく「企業存続確率の最大化」を目指しがちな企業行動の背景にある、メンバーシップ型の日本的雇用慣行を打破すべき、という主張には全く同感。まさに必読でした。知人に感謝。
0255文字
Daito Sugimoto
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レポート執筆にあたり参考にした。データ引用元の参考にしたり、基礎知識の要点理解に利用したりと満足度が高かった。
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Kei Iwasaki
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8/10:各所の説明の中で過度に単純化され、誤解が生じている概念を丁寧に解読している好著。「出口」論という同じ問題意識を持っていたこともあり、納得感を持って読めた。
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