形式:単行本
出版社:慶應義塾大学出版会
本書を読む代わりになるかも…の、簡単かつ簡便なコラムがあります。 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h29pdf/201715902.pdf#search
自国通貨建ての国債(例えば我国)にデフオルト(債務不履行)が無いように、同国の中央銀行(日銀)にデフオルトはどうも無さそうです。それはそうですよね、日銀の機能があるからこそ我が国にデフオルトが無いのですから。債務超過になったとしても支払い機能に支障が発生しない…。只、副作用は厳しそうです。著者が云うように国債の格下げは日本企業の債務格付けに連動するらしく影響も大とか、又金利高騰なども…。ご異論や賛否も色々あるらしい、初めての事で余りにも不明だらけなのですから。関係各位のご努力に期待と敬意を表します。
低金利で顕在化していないが、仮にアベノミクス公約のとおり、物価2%上昇達成後の政策金利を2%と予想すれば、毎年6兆円もの逆鞘が発生。他方、野放図な国債発行のツケが社会保障制度の逼迫の関係で更に積み増しされた場合、日銀のバランスシートのマイナスが円信認の失墜に何時つながるか。とても楽観視できない様が語られる。そして、本書ラストのコラムは、ある種の悲観論、ないし現在の常識の根底からの覆滅を意味するものであるが、緻密な現状認知の帰結であって、決して絵空事ではない。そんなことは起こるはずがないとは言えまい。
◆かように僅少の功、莫大な罪と将来へのツケを齎したアベノミクス。ここで痛恨の極みは、野党自民党時代、谷垣禎一総裁の下で、増税を政争にしないと確約した三党合意を反故にした安倍晋三が政権に就いたことである。アベノミクス・量的緩和政策には多少の同情を見せる著者であるが、この部分に関しては厳しい目を向けている。そして、本書から伺えるのは、このツケを払わされるのは我々国民なのである。◇これを明敏に、実証と理論で解読している本書。経済書では久々に見た好著であり、お勧めできる一書。
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