形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:岩波書店
あるまいし、カントの哲学はデカルトのように第一原理として展開したものじゃないと思うので、著者の本論はあまりピント来なかった。ただ歴史的な経緯や、ポイントポイントの議論の運びはかなりきっちりしていて勉強にはなった
ただ、肝心の「歪み」については、中世論理学の歪んだ受容と自然科学的原理に依拠することで生じる歪みの二種類の歪みが指摘されているけれど、両者の関係がどうなのか、よくわからないところもあった。たとえば第4章では、無限判断から質のカテゴリーの制限を引き出すことにおかしいところがあると指摘されるが、外延的判断から内包的質のカテゴリーを引き出すこと自体がおかしいと主張しているように思える。だとすると、そこから無限判断の扱いに問題があるとは言えないようにも思える。
だから、4章の副題の「伝統的論理学のよくない使い方」は、どこがどうよくないのか、今ひとつはっきりしないようにも思えた。
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