形式:その他
出版社:辰巳出版
「確かに、古代ローマは政治ではギリシャを征服した。しかし、文化においてはギリシャに征服されていたのだ。歴史を振り返ると、いつの時代でもこの様な事は起きてきた。近年の例では、新世界として力をつけたアメリカが、文化的にはヨーロッパの影響を受けていた事が挙げられる」だからハリウッド映画で憧れのパリを描くものが多かったんだね。日本はそのアメリカに長い間憧れていたんだよね。これからは何に憧れるのかなぁ。
110~130年頃のミイラの頭に取り付けられた遺影の様な肖像画が実に写実的で、しかも目が大きくてアイドル画のようだった。『嵐テンペスタ』(ジョルジョーネ画1505年頃)は嵐と授乳しているジプシー女(下半身裸体)と兵士が描かれており、別の想像をしてしまう。1751年『黄金のオダリスク』(ブーシェ)が神話や宗教をテーマに借りず、初めてヌードになった理由を言い訳しないヌード画として書かれた。
1898~1905年『女性大水浴図』(セザンヌ)は主題性ではなく、造形性を追求する近代絵画のターニングポイントになった。主題を読む絵画の終焉。初めにも書いたが、西洋絵画(特に宗教絵画)は寓意を読み取るのが難しかったが、セザンヌは絵としての面白さを見る者に直截に表現しようとしている。セザンヌの代表作ではないが、そう言われてこの絵を見ると確かに三角形の構図や女性一人一人の姿勢の面白さが伝わってくる。
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