何度も泣きそうになり、結末近くでとうとう落涙。いいお話だわ。文章に無駄がなく優しいなかに緊張感がある。「おかあさんは、ひとつ、ため息をつくと、てつのなべのふたを、がちんと、とじ、セロのほうにむきなおりました。」なんて、”がちんと、”で心震えたわ。セロのおとうさんはサンタクロース、おかあさんはデパート勤め、もうこの設定で成功は見えている。そこにいい具合にa boy meets a girlの要素が織り込まれ、少年は成長のステップを力強く登る。小さなトナカイの引く小さな橇に乗りサンタの仕事を手伝う、粋な結末。