形式:コミック
出版社:講談社
形式:Kindle版
出版社:情報なし
つまり、真樹こそは叶多が「分岐」させた故に生まれた「可能性の世界」の住人であり、彼の箱への干渉がなければ生まれず、また就職が上手くいかず引きこもりになる、ままならぬ人生を送る事もなかった訳で。そして、叶多が「真奈のいる世界」へと「渡る」事は「真樹のいる世界」からの離脱であり、それは即ち叶多の中で「真樹のいる世界」が不要なものとなる事を意味している。叶多の干渉で生まれ、その都合で放逐される世界と言えるだろう。これに理不尽を感じるな、と言う方が無理な話だ(続)。
真奈との記憶が薄れ、想い出の中の彼女の顔が思い出せなくなるくだりは、叶多にとっては言い知れぬ喪失感と恐怖をもたらすけれど、それとても彼の干渉に起因する現象だ。時間を巻き戻す事など出来ない状況で、それでも「真樹のいる世界」から「真奈のいる世界」へと「渡ろう」とする事は彼の心情としては正しくとも、「箱」を通じて過去の世界に中途半端な神のごとく干渉した事の責任をとったとは言えない。これらを巡るハルさんとのやりとりを図らずも真樹に聞かれてしまい、実に良いところで引き。面白くなって来たなぁ(了)。
叶多にとって真奈はとても思い入れがあるんだろうけど、読者にとっては真奈は叶多の気持ちをなんとなく知りつつも、どっかの適当な男と婚約した女だからなんか別に...ってなっちゃう。
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