形式:単行本
出版社:東京創元社
ウイリアム・ギブスンの後書きより 「最近ますます、バラードは予言者でもあったのではないかと思いはじめている。亡くなる前の最後のいくつかのインタビューで、未来について訊ねられたバラードは、我々はやがてサイコパスに支配されるだろう、と述べているのだ。」
発表順重視の元本訳で短編全部読めたかと思ったら、晩年近くまで作品キャラ同様の変人と思われていた自分(本当は陽気で愛妻急死後3児イクメン、割と能天気なタイプだったようだ)を、思い切り「ドラえもん」的に戯画化してふざけた「J・G・バ***の秘められた自叙伝」が発表年代少し順番違うと気づく。濃縮小説を主にした80年工作舎刊『残虐行為展覧会』に収められた何篇か、特にその名も「クラッシュ!」などがない。実験的「索引」は入っている。バラード自身にとっての短編小説の定義が何だったのか考えたく残虐…も再読したい(続
ところで著名人、特にレーガン、ケネディなど大統領や超セレブとメディア、大衆との関係にはずっと固執があったバラードは今もしトランプ政権やEU激震を見たらどう思うか(ユーロ導入のずっと前、1989に帰りたくないリゾート民らによる欧州巨大コミュニティの悲喜劇描く)。安易に予言的といいたくないがしかし… さらに「戦争熱」がある日本超有名SFがまんまオマージュ…てかパク…と知り驚愕。前の絶版文庫で初読した際戦争とウイルスの類似性描く鋭さに唸ったがまさか…。元ネタはこっちよと若人に教えたいもんです
あと、やっぱり『残虐行為博覧会』が一番好き。
しかし、久々に読むと「バラードってSFの王道だよなぁ」っていう感想が出てくる。
「時間」に関する物語が特に好き。そこに当たり前にあるものを消して、新しい世界の扉を開くのに、何れだけの儀式めいた手順が必要なことか。命の全てを燃やして考えて考えて、初めて出会える世界の数々。短編全集の後編は戦争のイメージがつきまとったので、何故無くてもよいのにと思うことを軽々と消し去ってしまえないのだろう?それがないと本当に世界はバランスが保てないのだろうか?など考えた。自分と世界の境界のせめぎあい。負けたくないですね。流されたしまいたくない。
『暴走する妄想の物語』『太陽からの知らせ』『宇宙時代の記憶』『月の上を歩いた男』『第三次世界大戦史』『戦争熱』が好き。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます
ウイリアム・ギブスンの後書きより 「最近ますます、バラードは予言者でもあったのではないかと思いはじめている。亡くなる前の最後のいくつかのインタビューで、未来について訊ねられたバラードは、我々はやがてサイコパスに支配されるだろう、と述べているのだ。」