形式:単行本
出版社:東京創元社
こんな若者たちがいてくれてよかった。絶望から過激主義へ…、人の生きる権利を脅かす犯罪を起こす人たちに通じる状況だと感じた。読書は人の心を救う役割を持っている。
たしか『めぐりんと私。』の巻末に紹介されてて気になって図書館で借りました。
長兄の死で大統領職を継いだ彼には民主化の期待がかかる一方実力のなさも指摘されていた。その後、「世界最悪の独裁者」ランキングにて第12位に選ばれるようになった。親ロシア政権なので、西側で伝えられることにはかなりバイアスが?とも思う。奥さんは中東のダイアナと言われる、やはりイギリスで教育を受けた人だ。シリアからの大量の難民はISから逃げているのかと思っていましたが、シリア政府軍から逃げている方が多いのかもしれません。(あやふやな理解…T_T)
彼らが読んでいる本がおもしろい。パウロ・コエーリョ『アルケミスト』(批評家の評価高いとは言えないが、彼らにはなじみのある概念:自分への挑戦)、イブン・ハルドゥーン『アル=ムカッディマ』(14世紀のチュニジアの歴史家、アラブ王朝の勃興と衰亡の原因をさぐる)『7つの習慣』(自己啓発本) 著者は中東を専門にしる女性ジャーナリストでイスタンブール在住。著者と4才の娘が楽しみにしているフランス文化センターのお話し会の話が挿話されるが、イスタンブールでも爆破事件が。本のある日常生活との落差が激しい。
【要約】シリアの首都近郊ダラヤにある地下図書館を作り出した若者とフランス人ジャーナリストの交流ルポ。2011年に起きたアラブの春を契機として自由を求めるシリアをアサド政権軍は12年から包囲し攻撃、その中13年末に青年アフマドは瓦礫の中から本を集めアサド政権下では無かった公共図書館を作る。元の持ち主の名が刻まれた蔵書群は希望となったが紛争に苦しむ生活は続き、15年にFBへ乗った写真から著者との交流が開始。フランステロや国連の支援物資輸送失敗も相次ぎ樽爆弾やナパームでダラヤは強制退去となるが心の紙の砦は続く
【雑記】もし現存したならベルリンのベーベルプラッツ(沈められた図書館)の生き残った稀有な形となったのに実に悲しい。陳腐な表現で申し訳ないが図書館という公共物と戦争による自由の搾取の組み合わせは非常にエモいなと再確認。
でも、私自身もその一人。何せシリアの場所を地図で確認することから始めて、この本を読みながら歴史の教科書も見返した。進行形の出来事なのに、知らないことがあまりにも多い。「無関心」は「無知」の賜物。 読書とは何か。置かれた状況によって、その意味は異なる。本が与えてくれるのは娯楽だけではない。
外部の人(著者)に知られなければ私がこの図書館を知ることも出来なかったのだがそれでもどこで漏れるかわからない手の内を晒すことは相当なストレスなのではないだろうか。
「封鎖は逆に私たちを過激化への誘惑から守ってくれていました。ダラヤの精神を生かし続けてくれたのです。四年の間、わたしたちにはわたしたちしかいなかった。常に容易なわけではありませんでしたが、わたしたちは諍いをいつも対話で解決しました。外からの侵入はなかったのです。操ろうとする試みもなく、外国の干渉もなかった。特殊な経験です」
この言葉、紛争地域に生きる人の絶叫じゃない?読後感がすごい苦しい
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