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精霊の王 (講談社学術文庫 2478)

感想・レビュー
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Åkky
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古代日本人がかつて信仰していたシャグジ(ミシャグジ)と呼ばれる精霊は、神道や仏教の台頭により徐々に消えていった。しかし、現代にもシャグジが深く関わる事柄がいくつも存在しており、これらを収集、紐解いたのが本書である。諏訪信仰のミシャグジや摩多羅神の後戸など個別事例は知っていたが、これらが繋がっており、更に蹴鞠や能など芸能の背景に存在していた点は驚きで、非常に惹かれる内容だった。 秘神である摩多羅神が過度の隠匿もあり芸能、宿神や障碍など属性盛り過ぎと感じていたが、元がアニミズム的シャグジと考えると納得できる。
0255文字
ひろ
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能に出てくる「翁」は古来天皇や西洋の王がその主権・力の源泉ないし根拠とした「宿神」「コーラ」と同一の存在であり、それは世俗の王の出現によって現実世界から退き、被差別者などの虐げられた者の中にしか今や居なくなったが、この“王の中の王”にこそ未来の主権のあり方を表す可能性がある、という、ぶっ飛んだ、ロックなことが書かれている。神秘的な何かの神託が権力の根拠、というのはまあわかる。しかし未来の主権のあり方もまたその“王の中の王”に見いだせるかもしれない、というのは、一体どういうことなのか、私には全然わからない。
0255文字
姉勤
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日本に神道や大陸由来の神仏が招来される以前の縄文以来の精霊は、今も神社の片隅に祀られている。その霊妙な働きや力は、古代以降、芸能や技芸の民に奉られ、それを享受する日本人の精神に受け継がれてきた。先人のフィールドワークや発見された古文書を牽き、言語化すると嘘になりそうな感応を想起させる。いわゆる「神ってる」舞台やパフォーマンスを体験して居る時を。巻末に本書でも多く引用された、能の名人で知られる金春禅竹の「明宿集」の現代訳を載せる。
0255文字
●●
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ネタバレ2018年の本。
0255文字
kentaro mori
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⚫︎国家の制度とまったく関係をもたない神として、これほどまで広くこの列島上に分布している神はほかにはない。この神は列島上に国家というものが形成される以前の、古層に属する宗教的思考の痕跡をしめしているものではないか。いままさに民俗学というものを創造しようとしていた柳田国男は、シャグジという神のうちに、国家の思考によってつくりかえられた神道以前の神道の姿を、見通してみたいと考えたのである。
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ますりん
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宿神や石神、佐久神、守宮神等々と表記されるシャグジという神を巡る一大叙事詩。夢みる中沢節はこの本も満開ですが、論点のパースの広さがハンパない。柳田国男「石神問答」折口信夫「翁の発生」からの、金春禅竹「明宿集」と秦河勝伝説を軸に、胞衣をかぶった子供とうつろ舟、天台宗玄旨帰命壇と本覚論、彼方と此方を行き来する翁と、シャグジを祀る猿楽を含めたテクノクラートたち、住吉神社の神々、蛙の背から人の顔が現れた縄文土器まで。個人的にはシャグジに対する信仰の在り方の東日本と西日本での違いのくだりはすばらしく腹落ち。
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ひつじ
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感動した。何も言うまい……今の私がちょうど欲しかったものがあったので満足です。
ひつじ

人の感想を眺めていたら、そもそも論がどうこうだの根拠がないだのとあるが、そもそも歴史を筆頭に学問とは繋がりのないものから繋がりを見出していく作業であって、私たちが義務教育で学んでいる歴史の文脈だって必ずしも根拠があって正しいものではないと言っておこう、右左翼も関係無くね。それに加えてこの本の魅力は関連性を無理矢理つなげていることよりも、そこから古い神への思想をどう探って表現していくかの問題であって、それは作家自身が持つ思想の展開でありある種の信仰心でもあるのかと。

06/27 01:23
ひつじ

まぁ、学問は論拠だけで成り立ってる訳じゃないってことすかね。

06/27 01:24
0255文字
tama
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図書館本 摩多羅神とは?シリーズ。この著者が一番イヤラシイ。「絶対な自分」が好きなのかな。マハーカーラとくっつけたのは「破壊・創造神」という属性ですか。宿神はスクって言ってて底と書いてるので地の下でもいいの?地の底にいる神?遺体は地に埋めるが?姉姫神をシキジと読み宿神とするなら矢奈比売もそうか?シキジって名前の土地が近くにある。大体ユーラシアといいながらブリテン島辺りしか話題にせず、東アジアの呪い師、アイヌの呪い師という一番近いカミ使いは放置?近くのオクナイ神楽の詞に「しゃくじ」の語見つけた。
0255文字
ishii.mg
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蹴鞠から金春禅竹、諏訪大社から春日社へみごとな推理で古代の思考の流れを掘り起こす。朝日の天声人語で中華圏の清明節の記事があり、人々は蹴鞠、闘鶏、ブランコで遊ぶ、と出てきた。同じだ。ただ中沢は朝鮮半島やユーラシアにも一応の目配りをしているが、本書に限れば日本にこだわりすぎている。日本について書いているので文句は無いが、読み手にとっては取扱注意の書物だ。
0255文字
トックン
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神道以前から日本に住む精霊である「宿神(シュクジン)」は、宮崎駿の「トトロ」ではないか。冒頭の路傍の隅に忘れられた石の話から蹴鞠が空と大地の調和を回復する雨乞い儀式の一環であったという記述は、惹きつけられた。宿神の空間をプラトンのコーラになぞらえ「母性」(過剰な受容性)をそこに見る。日本の政治は権力の正統性・全体性を「宿神」に求めるが故、天皇制(文化、芸能)を維持した。クラインの壺状の繋がりが母性の起源であり差別の温床ともなる氏は一貫して母性を日本文化の根底に据えている印象。
0255文字
岡部淳太郎
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素晴らしい。正直読んでいてかなり興奮した。蹴鞠のこと、猿楽のこと、それらには門外漢であって民俗学的興味のみから読み始めたが、それでも読み手をぐいぐい引っ張り無理矢理にでも納得させてしまう筆致は見事。宿神、後戸の神というキーワードから独自のコスモロジー発見にまで至る。個人的には金春禅竹の六輪一露の解釈が特に面白い。ここからいくらでも新しい想念が涌き出てきそうで、その意味でもありがたい書。
0255文字
でろり~ん
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とても興味深い一冊でした。素晴らしい温故知新の手引き。断定的に書き進めているところは著者の特徴として、割り引いて捉えなければいけないところなのかもしれないですが、この本はけっこう説得力があるように思いました。書かれた本筋からは離れますが、スサノオの解釈、序破急の本来的な意味、このあたりに特別なリアリティがあったように感じました。前面からは退かされた後戸の王。国という概念が成立していない時代、古層の精霊は何故に必要とされたのか。人智を超えたものの存在を現代人こそ必要としているのかもしれないなあと思いました。
0255文字
ダージリン
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読もうと思いながら読んでいなかった一冊。中沢新一らしい論考である。金春禅竹の能における翁の捉え方を手掛かりの一つとして、人類古来からの野生の思考に思いを馳せる。昔NHKで中沢新一が折口信夫を語っていく番組があり、世阿弥の娘婿である金春禅竹と折口の共通性として、芸能の起源を精霊への信仰と結びつけたことを話しており、以来気になっていたテーマであったので、楽しんで読むことが出来た。かなり自由自在な書きっぷりも面白い。
0255文字
Choronzon
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確かに強引なこじ付けかもしれない。しかし著者の熱さに乗せられてしまいそうになる。神道周りについてはある程度知っているつもりだったが、まるで知らない領域もあると分かり刺激になった。いい意味で娯楽性の高い本で、講談社学術文庫はこういうのもアリなのかと思わされた。某同人ゲームの元ネタについても理解が深まった。
0255文字
武井 康則
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蹴鞠の上手、藤原成通が書く鞠の精=神と金春禅竹の書く翁論。この類似から、関東・諏訪で見られるシャグジ=宿神論に移っていく。柳田国男の「石神問答」に出る塞の神、道祖神は石器時代からの自然崇拝で、大和朝廷の成立とともに辺境へ、また深層に追いやられた。それらは能の翁、仏教、神道、妙見様々なものと融合し、また独自の哲学となってまだ生きている。昔読んだ柳田の民俗学を思い出し懐かしかった。
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アル
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民俗学的な研究というより、著者の思考を古代の記録を利用して語っている節がある。 それを踏まえても刺激的な考察が並んでいる。 固定的なものを揺さぶり、新しいものを生み出す力の担い手を「シャグジ=宿神」の名にまとめることでその普遍性と古さを強調する。 『明宿集』の諸神仏の翁への一元化は、ある意味一神教的汎神論に近いような印象も受けた。
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Hiromi kuro
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一回読了した2年後くらいに「桐島洋子」さんと伊豆高原のパーティー会場でお逢いした。彼女から「貴方未だお読みじゃなかったら是非お読みになってぇ!面白いわよ」と言われ、そのときこんな超有名人から声を掛けられたこと自体に感激していたら「精霊の王」を読んでいたことを失念して仕舞っており「読んでみます」と返事。此の後叉2年位間を置いて2回読み直した。荒又宏氏の本に似た本があったなぁ・・
0255文字
コオリ
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縄文時代の古い神様に会いに諏訪まで訪ねました。でも、昔はどこにでもいた神様。だから近所の神社をよく見たら、いた。木の根元に。小さな石のお社に。
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