形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:早川書房
孫たちはそれでも古い記録を調べ何が起きたのかを知ろうとする。ジャーナリストも偶然この殺人事件に関する参考文献を見つけ、事件を調べ始め、気になっている疑問を解決し、捜査局の隙間を埋めたいと思い、2012年に彼の地を訪れたという。その結果本になり、映画になり多くの人に知ってもらうきっかけになるというのは本当にすごいこと。
映画もなかなかでしたよ〜。そうそう、家畜並みの扱いでしたよね。
と、何重にも見下した観点から設けられた「後見人制度」なるもの。映画ではいまひとつ判らなかったこの制度が大いに問題を生み出す。やがて、本書の舞台では「白人がオセージの後見人になる」⇒「毒殺・銃殺などの方法で殺す」⇒「土地の権利を手に入れる」という「インディアン謀殺産業」のようなシステムが自走し始める。映画版では首謀者二人に焦点が絞られていたが、ここでは、加担した人間は計り知れない数、関連した死者も3桁に及ぶという推測がなされている。善人の登場する余地のない、なにか人智を超えた呪いにも似た恐怖を感じるという⇒
ことでは、ずっと昔に読んだ『心臓を貫かれて』(マイケル・ギルモア著/村上春樹・訳)に近い衝撃を受けた。映画とは真逆の構成で、そっちは犯罪者側から描いているため、人間的な葛藤が感じられ、それを超える邪悪な意志になかなか想いが至らなかったのだけど、こっちは鳥の眼・神の視点で物語られるので、ゴシック・ホラーなムードが漂い、怖い(特にパート1は)。「アメリカ開拓者(白人)の罪」という観点は映画の方が強烈だった。殊に終盤のラジオ・ドラマの件では。
衝撃的なノンフィクションを書いたデイヴィッド・グランは、執筆のため数多くの資料を集め、関係者に取材をしている。本書には、多くの写真が掲載されており、知られていない事件を理解するのに大いに役立った。著者の取材力や文章が優秀であるのは間違いないが、ノンフィクションには写真が必須である。
この事件、僕も興味を持って、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン: オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生 』(ハヤカワ文庫NF)を購入しました。この本なら今の不調から抜け出せるかも。
土曜日狩ってきた文庫本も映画と同タイトルに…こっちのがよかったのに、なんで変えちゃったんだよぅ(´・ω・`)
だりあんさん、そうみたいですね。映画公開にあわせて文庫版も映画タイトルと統一したときいて残念な気持ちになりました。花殺し月の殺人の方が断然好みなのに(映画は見るけど)
映画版ではディカプリオがアーネスト・バークハースト、デニーロがウィル・ヘイルを演じる。
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