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牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか (星海社新書 136)

感想・レビュー
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中将(予備役)
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牟田口廉也の評伝。中央勤務の長かった将校が皇道派に近いため中国に飛ばされ、日中戦争開始の当事者となり、変にその責任を感じて無茶な積極攻勢を繰り返したという見方で「愚将」を生んだ組織を考察していた。組織が害を及ぼす人間をちゃんと淘汰することは重要だと感じた。
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Humbaba
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作戦を成功させるためには精神面も重要であるというのは間違っていない。ただし、精神で補える範囲には限りがある。ある範囲で成功したからと言って、それが次にも成功する保証はないし、まして別の範囲に広がればまた別の結果が得られる。過去の経験を援用することは必ずしも間違いという訳ではないし、必要なことでもあるがそこに共通するものが何かを見ないでただ援用するだけでは結果として大きな誤りとなる。
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Go Extreme
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エリート参謀からの転落; 佐賀と海軍 陸大教育の功罪 皇道派と統制派の対立 日中戦争―盧溝橋事件: 豊台事件 新たな国防方針確立 華北情勢の悪化 牟田口の不可解な命令 停戦協定と日本軍の増派 常勝将軍の誕生―シンガポール島攻略作戦: 叶わなかった陸軍中央復帰 シンガポール島陥落 インパール作戦―敗戦責任: ビルマルートの遮断 暴走する牟田口・許した河邊 絶望的な補給問題 牟田口の自信 致命的な戦力不足・作戦開始遅れ 中止を求めた柳田師団長 佐藤師団長の独断行動 牟田口と河邊の更迭 インパール作戦の呪縛
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ごはんたべたい
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確かに陸軍、海軍どちらも文化的なもので人員や現実的な戦略を描けなかったことがインパール作戦での大敗を招いた最大の原因であり、それを牟田口氏一人の責任ではないというのはその通りかもとも思う。ただ、牟田口氏自身の敵味方双方に向けた人命軽視を大前提とした作戦立案を立てる癖や、インテリジェンスを重要視しなかったこともまた事実であって、やはり彼に責任が大きかったのではとも思える。
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Lieu
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師団長を三人も更迭して無謀なインパール作戦を強引に推し進めた、というところだけ切り取ると酷い「愚将」であるが、もし彼の軍歴がシンガポール攻略戦で終わっていたら、エリート街道からの転落と盧溝橋事件の失敗を苦労して挽回した人物という評価になっていたのかもしれない。なまじい山あり谷ありの経験をしたプライドの高い人が、部下の意見を聞けない典型例である。ただし牟田口の場合、ブレーキになりえたはずの上司がいた。だがその上司が最後まで役目を果たすことを怠った。
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akanishi
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著者なり当著なりが導きたい通りの感想になってしまうが、個人だけではなく組織の問題がありますねー、と
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香菜子(かなこ・Kanako)
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牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか。広中 一成先生の著書。インパール作戦を失敗に導いたことで知られる牟田口廉也陸軍司令官。終戦記念日の時期になると毎年のように牟田口廉也陸軍司令官の名前が出てくる。牟田口廉也陸軍司令官が失敗したことは事実かもしれないけれどほかのだれかが牟田口廉也陸軍司令官と同じ立場にいたら失敗を防げたかどうかはだれにもわからない。インパール作戦を失敗に導いた牟田口廉也陸軍司令官に自分可愛さあまっての無責任な言動があったとすればそれは批判されても当然のことなのかも。
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バグラチオン作戦
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インパール作戦ほどの大きな作戦の責任を一人に負わられるわけがない。 歴史上の成功、失敗も多くの人間が絡んでおり、有機的に結びついている。 組織の問題を個人に回帰させていれば学びはできない。
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Satoshi
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愚将として名高い牟田口であるが、彼の半生を記した本を初めて読んだ。インパール作戦での無策ぶりは高木俊朗の三部作にて繰り返し論じられているが、盧溝橋事件、マレー作戦から無理矢理兵を動かすところは変わらないことがよくわかった。
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石橋貴明そっくりおじさん・寺
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毎年夏になると戦争の本を1つ読む事にしている。今年チョイスのこの本は大変意義のある本だ。太平洋戦争の軍人なんて、大概の人は伝記になっていると思っていた。マニアックな人だって光人社NF文庫あたりで出ていると思っていた。しかしこの牟田口廉也さんは、愚将の悪評が過ぎる為か、本書が唯一の伝記なのだ。しかももう絶版なのだ(笑)。店頭で見たらマストバイである。本書の他には幸福の科学・大川隆法総裁の『牟田口廉也の霊言』が何故かある(笑)。辻政信みたいな評判の悪い人でさえ、伝記はおろか著作の復刻まであるのに。つづく。
石橋貴明そっくりおじさん・寺

まずは幕末の佐賀藩の話から始まる本書。牟田口廉也は佐賀の人なのだ。学歴社会だった佐賀藩特有のセコさと、『葉隠』が与えたであろう人命軽視。そして薩長土肥と言われながら、勝ち組内負け組だった佐賀と土佐。長州の天下である陸軍に入り、二・二六事件の将校同様の皇道派に属する。写真を見ると、どぶろっくの江口さんみたいな甘い顔なのだが、怒るとヒステリックだったらしい。盧溝橋、シンガポール、そしてインパール。日中戦争のきっかけは自分が作ったという責任感か自負かよくわからないものを抱きながら失敗する戦歴。1966年没とは。

08/10 20:00
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Satsuki
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牟田口廉也の評伝だが、関連する戦史まで扱う。焦点は盧溝橋事件、シンガポール島攻略作戦、インパール作戦の3つ。盧溝橋事件とインパール作戦に際し著者が指摘するのは、「不適材不適所」の派閥人事。2.26事件後、皇道派の牟田口は実戦経験が乏しいのに支那派遣軍に「左遷」される。これがなかったら盧溝橋事件の拡大は抑えられたのか、考えてしまう。同時に著者は牟田口個人だけの責任とはしない。両件で上司だった河邊はじめ上位組織が支持や承認したことも指摘。そして、人事と合わせ、日本軍の組織としての不合理性が原因としている。
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さるまる
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単なる「愚将」なだけでなく恐らく世界史史上でも屈指の「愚将」牟田口廉也の評伝。 陸軍内部にも当然問題はあり周りにも問題は山積しているのだがインパール作戦の起点はであることを鑑みると責任は計り知れないほど大きい。そしてさらに悪質であるのは何の責任を負うこともなく戦後を迎え、さらには反省の色もなく作戦失敗をのうのうと部下の責任と言い切っているところにある。およそ、常識で考えられる人間性のかけらを一片も持ち合わせていない。同じ人間という生物とは思えない腐れた人間であるということはいかな評伝を読んでも変わらない。
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ゲオルギオ・ハーン
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大日本帝国陸軍の愚将の代名詞ともなってしまった牟田口将軍の評伝。読んでみると、彼が愚将と評されることになったのは当時の陸軍の体質的な問題のようにも読めた。派閥闘争は人事にも強い影響を与え、感情的で冷静さを欠く人物が前線の師団長として起用され、問題が起きても適性より派閥についての配慮が加わる。作戦展開についても参謀本部や方面司令部、彼を監督する司令官さえも責任逃れのために牟田口将軍の好きにさせ、失敗すれば全て彼の責任にさせた。現代日本でも十分ありえる話のように読める。
ゲオルギオ・ハーン

妙な方向に責任感を発揮したり、感情の起伏が激しい他はそれほど変人でもないし、優秀な点もあるように読めた。事実、参謀本部立案のそれこそインパール作戦並みのとんでも作戦である二十一号作戦を補給や地理の観点から反対しているし、速攻戦術で博打的な戦術とはいえ成功して「常勝将軍」なんて呼ばれていた時期もある。それだけに戦争にあっても責任逃れの動きをする陸軍のトップや参謀本部、方面司令部は本当にあの日清戦争や日露戦争の大日本帝国陸軍と同じ組織なのかと疑ってしまう。

08/05 21:46
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keint
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牟田口廉也の皇道派としての活動を知りたかったため、1章のみ読んだ。所属としては木曜会→一夕会→桜会となっており、桜会時代に対立した佐藤幸徳を左遷させるなど、牟田口は陸軍中央にいる立場を利用して皇道派の勢力拡大と統制派の追い落としに直接関係していたことを知る。また、同郷の真崎甚三郎と度々面談している記録もあるため、真崎を通じて皇道派となったのだろうか。二・二六事件後には牟田口は皇道派青年将校との関係はなかったが、皇道派よりだったため支那駐屯歩兵隊長へ左遷され、これが運命を変えることになる。
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ぼやきのユースフ
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旧陸軍屈指の愚将、牟田口廉也の評伝。当人の性格をうかがい知るような、軍隊を離れたエピソードなどが少なく、物足りなさは感じる。 牟田口自身は上司に逆らってまで作戦を実行するような蛮勇さはなく、上司が適切に導けばインパール作戦が実施されることもなかった。川辺中将の罪は牟田口よりも重い。 滅私奉公を是とする空気を事実上強要するくせに、肝心なところで私情を優先させる日本社会の悪癖がここでもみられる。 劣悪な条件でも奮闘してしまう日本人の強さ、そして、その奮闘を正しい方向に使えない上層部の無能さは今も残る。
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竹
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3回借りたうえで読了。様々な文献を元にまとめたもので、それだけに読みづらかったが、後半、インパール作戦以降の部分は読み応えあり。作戦失敗から戦犯裁判を生きぬいたが故に、悪役を一手に引き受ける形になった側面もあったろう。集団主義の元、まじめにやっていたことが悲劇を生むことがあるのだということを教えられた。最後の「組織の人事が能力に応じたものでなく、人間関係によって左右されることは現代社会でもたびたび起こりうる。その行く末が人々にいかなる運命をもたらすかは、牟田口がたどった人生が暗示していよう」は響いた。
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ワンモアニードユー
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言わずと知れた日本史上の嫌われ者でも三本の指に入りそうな人。本人は驚くほどエキセントリックでとんでもない人格だが、その結果に導いた責任は牟田口だけにあるのではない。人事が正常に作用しないということはこんなに怖いことなのだということを立証した本。周囲の人間も酷すぎるが、事態の渦中にいれば逃れられないのかな。今の会社組織でも十分あることです。
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kiyochi
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軍人精神に頼って無謀な戦いを繰り返したことを考えると、その遠因に、この幼年学校の精神教育があったと言える。 長州出身者は成績が芳しくなくても落第することなく陸大を卒業した。 事変とは、戦争と異なり、宣戦布告のない局地的紛争のことを言う。 生きることよりも死ぬことを是とする、葉隠れ思想の現れである。 シンガポール華僑粛清事件は、アジア太平洋戦争中に日本軍が犯した組織的戦争犯罪として明記されるべきであろう。 仮に佐藤が起訴処分となっていたら、その責任はさらに上司の牟田口に及んでいたであろう。
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しんこい
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鬼畜だの愚将だのよばれるが、インパール以前のことは知らなかった。日中戦争だのシンガポール攻略だの歴史の節目に顔を出していたのだな。本人は陸軍純粋培養の失敗できない人という感じだし、それを許した官僚体制というか風土なくしてインパールもなかった、シンガポールの時は機動性も物量も充実している感じで日本軍のイメージに合わないが、手を広げる前だったからか。
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tom
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プライド、忖度、応用がきかない、総合的な評価でなく、何かしら理由があれば良い、年功序列、組織を守るための方便、約束を守らない、大戦略の欠如、責任の所在、説明責任がなく黙る…。これらの要素が全くない組織はないと思うが、重なるほど重症。
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onepei
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変な責任感が強すぎる
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Admiral2009
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責任の全うの仕方を誤った牟田口、無責任なビルマ方面軍・南方軍・参謀本部・陸軍大臣も「愚将」の集まりだった。 陸軍幹部教育・陸軍組織が「愚将製造マシーン」なんだからしょうがない。
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morelemon
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インパール作戦での失敗により「愚将」のイメージがすっかり定着している彼ですが、その失敗に至る過程を軍歴を追いながら丁寧に書いています。結局くだらない派閥争いにより本人の適性からは不適格な場所に配属されたのが不幸だったのでしょう。ただ、それで片付けるにはあまりにも大きな犠牲でしたが。
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skunk_c
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この軍人の評伝というのがまず珍しい。ある意味この男ほど「愚将」の名をほしいままにしている人はいないから、まぁ良く書かれることはないだろうなと。東条英機にも同様な評価があるが、とにかく真面目だったようだ。感情的になると手が付けられないとか、強気一辺倒とか、この男の評価によく出る話も登場。しかし著者の立場は、この男を「愚将」に仕立て上げたものを明らかにすること。上官の河邊しかり、東条然り。しかし本書が暗に示しているのは、日本陸軍のあり方が牟田口を生み出したということではないか。組織、派閥争い、情実人事等。
曲月斎

牟田口廉也を生み出したものは、個人の資質ではなく、組織であることを実感します。日本陸軍のあり方は今でも相似形であちこちに残っている気がします。

12/06 16:59
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Tak
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ネタバレ日本陸軍愚将3傑に入る牟多口廉也のは評本になります。(個人的に後の2人は冨永、寺内です)大日本帝国陸軍のシステムもたしかに悪いとは思いますがやはり無駄なプライドと学習能力の無さが全てではないかと思います。 軍人は戦場で死ぬのは本望かも知れませんが大体の兵士は一般人が徴兵されただけです。その人たちを無理な作戦で死に追いやったにも関わらず自分は腹の一つも切ること無く責任転嫁をしながら畳の上で死んだと言うのはやはり見苦しくみっともないと思います。
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nickjaguar
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書評。飛ばし読み。
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島の人Part2
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ネタバレ牟田口の「オフショット」はよく「掘った」印象。陸軍「佐賀閥」と帝国陸軍の構造とか触れてる(知識ある人は物足りないかも)「牟田口だけが悪いわけじゃないみんな(陸軍)悪い」との流れだったとの私感。さっきのように知識ある人は「ワンパン不足」か
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oooともろー
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インパール作戦の「愚将」牟田口廉也の評伝。牟田口という「愚将」を生んでしまった陸軍組織の問題。「不適材不適所」。彼の「言い訳」はどこかの首相と共通する部分が多々あるような…
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PRAGUE
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タイトル通り牟田口がインパール作戦の失敗に辿り着くまでの過程が丹念に描き出されている。作戦決定の経緯に見られる「たつての希望だから何とかやらせてくれ」といったような合理性ではなく「情」で物事を決定していくことは危険であると痛感した。全体に冷静な筆致で牟田口を「愚将」と決めつけてかからないのは好感がもてるが、戦後になって失敗した「作戦を誤謬であるかどうかもう一度確かめるまでは」と言っている彼は愚将であると言わざるを得ない。
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みなみ
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マレー半島での成功体験が対英戦恐るに足らずになったらしい。でも別の本も読むとビルマ戦線でもイギリスは当初よりも圧倒的な装備で日本軍を迎え撃ったという。自分にとっての強烈な成功体験が、現状の分析を妨げている一例。高度経済成長の家族モデル、働き方のモデルに囚われていつまでも停滞している今の日本と、牟田口の思考形態は被っていると思う。しかし、鵯越えをやろう!とか、気合だ!とか、そういうバカなことを言う人がプライドだけは高くて人の意見を聞かないというのはもう、手のつけられない無能ぶりですね…
みなみ

牟田口だけが悪いのではなく、日本は牟田口のような非合理的な意見が通ってしまう国なのだろう。プレミアムフライデーも馬鹿そのものなのに成功している!とか途中まで言ってたわけだ。人の話を聞かない、反対意見を言われたら人事で報復する、現状認識能力が弱く、時々歴史ネタを振りかざす。安倍総理と牟田口にはこんな共通項がある。日本は無能なトップの言うなりに国を自壊させることを何度も繰り返すのだろう。あと牟田口の描き方として、家族には優しい別の一面がみたいなのがあったが、DV夫は外面がいいとかあるし、表層的な情報に思えた。

09/11 07:12
みなみ

(過剰に馬鹿馬鹿言ってるけど馬鹿の四乗というアレからワザとやってます)評伝のためか写真が多い。牟田口の写真が何枚も。最初に紹介された一枚しか知らなかったのでこんなにあるんだーと思った。盧溝橋とインパールしか知られていない牟田口の、太平洋戦争初期の動向が知れたりしてよかった。

09/11 07:34
3件のコメントを全て見る
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舞蹴忍者
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20世紀以降の歴史は詳しくないが、強いオススメを見たので購入。あまりに無謀なインパール作戦の愚将として名高い牟田口順也に軍歴や手記などから彼の本質に迫ろうとしている。彼が何故前線に立ったのか、何故無謀な作戦は採用されたのか、責任は彼一人に帰るものなのか。決して昔の話と笑えない希望的観測での意思決定、まるで他人事のように振舞う無責任な人々、彼の気質に問題があるのは変わらないが、ただの愚将ではなく愚将を生み出す社会の輪郭を感じることができた。
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秋津
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悪名高いインパール作戦の責任者である牟田口廉也の評伝。 本書においては同作戦以前の経歴、盧溝橋事件やシンガポール攻略戦などの軍歴からの考察に力点が置かれ、同作戦の言わば前史から丁寧に彼と彼が属した組織を考察している印象の著書でした。 インパール作戦という悲惨な経験を「牟田口個人の愚行」と単純に断じてしまうのは、真の責任の所在や反省を曖昧にすることにほかならないなと。 「おわりに」の「不適材不適所」、本書表題における「カッコつきの愚将」といった表現は本書におけるキーワード。
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いちじく
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本書は牟田口の評伝とのことであったが、インパール作戦以前の軍歴に多くの紙面を割いており、インパール作戦に至るまでの牟田口の人格形成について知ることができた。軍閥争いから左遷され盧溝橋事件に関わり、自分のせいで開戦となってしまったと思い込み勝手に責任を感じて功を焦る、思い込みの激しい真面目なタイプの人間だったようだ。それでも上司の河邉がしっかりコントロールしていればビルマ方面の戦局もそこまで泥沼化しなかったのでは。まさに不適材不適所。
0255文字
タキ
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☆☆☆
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どら猫さとっち
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インパール作戦の失敗を招き、愚将と呼ばれた牟田口廉也の実像に迫った評伝。数多くの死亡者が出た、この作戦がなぜ最悪な結末に終わったのか。その大きな原因に牟田口は、なぜこの作戦で見誤りを生じたのか。そして、牟田口だけに原因はあったのか。追求すると、昭和陸軍の組織的問題に行き当たった。牟田口が置かれた状況は、今の総理の組織に似ているようで、ぞっとしてしまう。これも「失敗の本質」と共に読むべきだ。
0255文字
ぽん教授(非実在系)
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インパール作戦に師団長として参戦しインパール近郊のコヒマを一時的に占領したものの独断退却を決意した佐藤幸徳中将は、第十五軍司令官牟田口だけでなくその上司ビルマ方面軍司令官河辺正三大将、南方総軍司令官寺内寿一元帥、大本営のトップ東条英機首相の四人を指して馬鹿の四乗と痛烈に批判した。その通り、上層部たちがそれぞれの政治的・責任回避的思惑から牟田口の暴走を後押ししたことを本書は指摘している。河辺は盧溝橋でも牟田口を止められず、そもそも牟田口が派閥抗争で前線に左遷されたのが間違いだったと評する。
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電羊齋
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常に強気であろうする真面目でプライドの高い「葉隠武士」牟田口が、不可解で非合理的な決断をしていく様子を見ると、人の命を預かる指揮官としては明らかに不適格。だが、その「不適材不適所」を生み出したのは昭和陸軍の派閥、人事、人間関係の問題であったことを本書は明らかにしている。特に盧溝橋事件とインパール作戦の双方で彼の上官となった河邊など、本来牟田口の暴走を止めるべき立場にある者たちが黙認、忖度という態度に終始しているあたりにそれを感じた。重い教訓だと思う。
電羊齋

本書で読書メーターちょうど300冊目。

08/10 00:09
0255文字
AKa
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牟田口=インパール作戦であるが、それに至るまでにかなりの紙幅を割いている。それは、これまで同氏について言及する場合、インパールに偏り過ぎていた(というかほぼそれだけ)が故であろう。盧溝橋事件やシンガポール占領に関わっていたことは知っていたが、元々は実戦経験はほぼ無く、中央勤務でそれなりに出世をしていたこと、そして派閥争い(226事件)のとばっちりを受けて「現場」へと放逐されてしまったことなど、そういった戦前の有り様がとても興味深かった。
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曲月斎
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インパール作戦、牟田口廉也、愚将__。こう繋げると話は解決したように見える。しかし、筆者は背景こそ肝要な原因、と見立てる。長州閥の強い陸軍内で佐賀出身。人脈として皇道派に近い位置にいた故に二二六事件の後、北支の左遷。盧溝橋事件の引き金を引く。積極策こそ評価を得る道と思い定めるを得ない環境なのは見逃せまい。独走を容認するのが度量みたいな勘違いを示す上司の川邊正三。その川邊も東條英樹の意向を忖度する。人脈優先の人事の無策が生むドミノ現象、今も日本でも構図は変わらない。安易な晒し者作りは思考停止に他ならない。
曲月斎

前著「通州事件」同様、こと此処に至る背景を描く筆者の筆運びに好感。レッテル貼りで思考停止してはいけない。ただ数多くの兵が斃れた一方、牟田口は1966年まで生き、畳の上で死んだという事実は忘れてはなるまい。

08/04 11:26
0255文字
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牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか (星海社新書 136)評価93感想・レビュー49