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近ごろの冬は彼の身体に厳しくあたった。彼はただ筆の先に滴(したた)るおもしろい気分に駆られた。自分に対する注意の足りない点において細君とかわるところがなかった。彼の視力を濫費して顧みなかった。細君の涙を拭いてやった彼は、その涙で自分の考えを訂正することができなかった。申し出は黙って受け取られた。そうして黙って捨てられた。・・・軽やかな筆致ですよね、
「その時細君は別に嬉しい顔もしなかった。しかしもし夫が優しい言葉に添えて、それを渡してくれたなら、きっと嬉しい顔をすることが出来たろうにと思った。健三はまたもし細君が嬉しそうにそれを受け取ってくれたら優しい声もかけられたろうにと考えた。それで物質的の要求に応ずべく工面されたこのお金は、二人の間に存在する精神上の要求を充たす方便として寧ろ失敗に帰してしまった。」
不気味さこそ、健三の幼児期、生い立ちへの負目の象徴であり、さらに健三の生存そのものが屈辱、羞恥であることを造形することに成功(圧巻)している証であると思います。
コメントありがとうございます。また時間ができたら読み返したいです。
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