また事例は北米のものなので、日本でも同じことが起こっていると認識したり同じやりかたで声を上げるべきと考えるのは少し違う印象を持った。ゲームにおいても、日本のゲームはストリートファイターみたいにどの国の人物も選べたり、あるいは人種を超えた(それらの要素を削ぎ落とした無国籍・無民族)人物を主人公に据えていることも多いように感じる。
ゲームボーイズの章を読みながら、親が子供をコントロールしようとしすぎることが男性性や女性性を生み出す一要因かもしれないとも思った。その点で、著者がゲームに対してのネガティブな印象だけで与えるゲームをコントロールしようとする態度から、子供の遊んでいるゲームの世界を体験した上で判断しようと一歩進めたのは、称賛できる。自分を変えるのは難しいことだから。
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因みに、ジェンダー思想以外の部分の性役割や有害な男性性の解釈はしっかりしているので、近年のトランスやジェンダーに関わる部分さえ無視すれば読んで納得する。勉強になったのが、海外の本でたまに見掛ける「マン・ボックス」の意味を初めて知った事。ホモソ的価値観の核と枠外=女々しさって事か。
でも、もし「男らしさ」について知りたい方がいらしたら、ジェンダー思想に汚染された本書より、女装家でありつつ男性スペースしか使わないと公言しているグレイソン・ペリー『男らしさの終焉』をお勧めしたい。文体が独特で本書より分かり難いのが残念だけど、安いし安心だよ