形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:岩波書店
著者による認知的視点では「意味」は心の中の無意識の領域に位置付けられる。「同義の文が共に結びついている"意味"とは何か明示的に述べることは容易でない」確かに。ただし著者は「意味」の意識に関与する側面も「ハンドル」(取っ手)という概念できちんと説明している。ちなみに哲学でよくある「命題」という答えについては、混乱を招く専門用語として批判されている。
個人的には(当然ながら)どういう意味概念が理論的に有益かはその理論に何を期待するか次第だし、「意味の本質」に関する存在論的?論争は時間の無駄だと思います。例えば文の意味に関しては、サールの志向性理論の中での「充足条件」とか、ミリカンの一般記号理論の中での「意味論的写像関数」とか、それぞれに有益な答えです。ジャッケンドフの認知的視点からの「意味の無意識仮説」も同様で、(例えばクオリアみたいなものは当面無視して)言語も含む人間の能力構造そのものに焦点を合わせる観点という印象です。
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