えば、本はわかりやすい例です。蔵書がたくさんある家庭で育った子どもは、学級文庫や図書室に対して違和感を覚えることはないでしょう。家庭と学校に境目がないわけです。 反対に、本がほとんどない家庭で育った子どもにとって、家庭と学校は異世界なわけです。この階層的な差を自覚して言語的に説明できる子はおそらくいません。漠然と学校との親和性を感じないわけです。中流家庭の子は、大人から「なんで?」のような説明を求められることが多いと報告されています。学校で問われることも同じですよね。理由付けや自分の考えを表現することが高
く評価されます。一方、社会経済的に恵まれない家庭では、親から「これ、食べなさい」「早く寝なさい」「お風呂に入りなさい」という指示が比較的多く、子どもが何をどう考えているのか言語化して説明することを求めない傾向にあります。日常的な訓練ができていないので、大卒の教師から「なんでそう思うの?」と聞かれてもうまく答えることができないわけです。自分の親と教師に求められる会話が異なることに混乱しながらうまく返答できない負の経験を積み重ねていけば、学校への適応感や自己効力感が失われても不思議ではありません。
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