形式:単行本
出版社:文藝春秋
形式:Kindle版
形式:文庫
形式:その他
出版社:Audible Studios
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「火の使用は禁止します」油画科の入試の過去問とか見ると確かにある注意書きである。かつてキャンバスを燃やす受験生がいたことはうちらの予備校でも聞く話ではあったがその実態はサッパリわからんといったところだった。炙るならわかる。準備の過程で火を使うことがあるというのもわかる、開かなくなった油絵具の蓋など。しかしそのようなものではなく本当に燃やしていたらしい。流石に試験会場でトチ狂った奴がしでかしたことなんじゃないのか…憶測の話はするけど真相は知らない。聞いたが忘れたのか、示唆されても残らなかったのか…と、
いうようなことの真相が86年の大学生のセリフから明かされる、といったようなことがたくさんある。
会田氏は画家であり文芸家ではないので、作品を文学として捉えたかと言えば多分違う故に、普段自分が読書する姿勢とは異なる読み方をしたとも思うけれど、同時代に 似た環境にあった自分には、どうしようもない程のリアリティーがあって、前提的に ひたすら懐かしい。中に、日本の明治期以来の美術の変遷を問うシーンがあったが、あれなど、正に今の自分がしている問いそのものだったりするのが又可笑しくもありつつ。 しかし自分、学生時代を想うことに、何故こんなに もの悲しい切なさが付きまとうのだろう?…悔い、の一種なのだろうか???
奎さん ありがとうございます(笑)、なんだかね、懐かしくなるのです、会田さんの筆になる文は。巧拙などに想い及ぶ以前、の処があって。。。リアルすぎるのです(笑)
クロさんは罪深いと思う。あのまま「予備校絵画」を描かせていたら受かっていたかもしれない。どれだけのコストを掛けてきたのか分からない訳ではなかろうに。クロさんは講師としては失格だと思う。
俺は本業が別にある著名人が書く小説は基本的に厳しく見ている。「小説家、舐めんなよ」と思っているから。でも、この作品は意地悪で見ている俺の目も楽しませてくれたし、ラストで自身もその事について深く考えているみたいなので、合格💮💯で良いと思った。
絵の具はめっちゃ高価い。筆もべらぼうに高価い。紙も高価い。キャンバスも高価い。資料も高価い。授業料・モデル料・画廊を借りる料金・搬送料金…生活資金と勝負ができないと美大受験は難しい。私はそれであきらめたけれど、結果的に少し近い場所にいるのは不思議なことだと思う。
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