読書メーター KADOKAWA Group

殉教者 (講談社文庫 か 5-11)

感想・レビュー
11

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
tegi
新着
1615年から15年間かけてエルサレム・ローマまで到達しながらも日本に戻って殉教した日本人キリスト教徒がいたという史実に驚く。公的な後ろ盾や資金があるわけではまったくなく、行く先々で金を集めときにはラクダ使いとして行商の一行に加わるなど自身の才覚ひとつで聖地を目指す姿は冒険小説のようだ。一人称の語りでありながら、一部、往時の日本人キリスト教徒の認識を越えた現代的な視点が入っているようにも思えやや冷めてしまうところがあるのが惜しい。老齢の作家の、信仰・人物への思いが籠もった熱気とスピード感は悪くはないのだが
0255文字
Sora
新着
キリシタン弾圧を逃れるため長崎を離れたペトロ岐部カスイは、陸路をとり、イェルサレム、ローマまで行き、叙階(神父になる事)される。その後は日本に戻り、殉教したという。小説というよりも伝記を読んでいるような読後感。彼については遠藤周作の『王国への道』で出てきたなくらいの印象だったので、本書を読む事で、より深く知る事ができました。ペトロ岐部カスイが、フェレイラを非難した話は他の文献にも記載のある話なので史実だとは思いますが、その場面を読んだ時は複雑な気持ちになりました。
0255文字
じゃぶ
新着
「天路の旅人」の読後、コメント欄でキリシタン弾圧から逃れ、ローマまで旅した人物がいると知り、この本にたどり着く。丁度、加賀氏逝去の報もあり読み始めた。ペトロ岐部カスイの信仰の強さもさることながら、加賀氏の信仰の強さを感じる一冊だった。
0255文字
marukyo
新着
以前遠藤周作の銃と十字架という本を読んでいるので、ペドロ岐部カスイの人生について少しの知識がありました。再度ペドロ岐部の人生を読みました。やっぱり素晴らしい。迫害に苦しむ日本の切支丹の人達の為に己は苦しみながらローマに行き、イエズス会の司祭になると言う志の高さ、凄すぎます。その後日本に戻り迫害されてる切支丹の人達に寄り添います。最後は殉教。究極の利他的小説です。感動しました。
0255文字
やどかり
新着
ネタバレ江戸時代初期にキリシタン弾圧のため日本を追放されたペトロ岐部カスイは、マカオなどを経て聖地エルサレムを目指し、その後ローマに辿り着く。この時代に1人で船と徒歩で5年にも渡る旅をした彼のキリスト教への強い思いを感じる。岐部の生涯には揺るぎない信仰心に基づく価値観と強さがあり、キリストのように殉教することに美しさすら感じている。遠藤周作の『沈黙』で描かれる人の弱さや、神はなぜ沈黙されているのかとの問いと相対するように感じた。遠藤氏が描くペトロ岐部を再読したくなった。
0255文字
SNagai
新着
1600年ごろの切支丹禁制の元で生きたキリスト教信者を描いたものがたり。国内にとどまらないことを選択して自力でローマまで辿り着く。辛いながらも創造的に生きた人である。
0255文字
Miyako Hongo
新着
構想三十年と帯にあったので購入。読みかけの星夜航行と時代が被る。戦国末にエルサレムまで巡礼し、ローマを回り、殉死するために日本に帰ってきた殉教者の話。史実から主人公の心理を類推するとこんな感じだったんだろう、という小説家の妄想だが、ここに至る取材の執念を思うとなるほど30年だわなと納得できる。己の意思に殉じてあえて獣道を突っ走る人間は好物。
0255文字
Francis
新着
加賀乙彦さんの本は「高山右近」についでに冊目。ペトロ岐部カスイは今日本の教会で彼の列聖を願う祈りがあるくらい有名だが、実際にはその生涯を良く知らないので読んでみた。加賀先生、よくここまでペトロの生涯に肉薄することが出来たと思う。最後の方で遠藤周作さんの「沈黙」に出てくる転びバテレンフェレイラが逃げ出す光景は痛快。遠藤さんに代わって禁教政策を取った江戸幕府を批判したのかな。
0255文字
佐々陽太朗(K.Tsubota)
新着
私が参加している月イチの読書会の課題図書として読んだ。宗教嫌いの私が本書を読んでもあまり胸に迫るものはない。むしろペトロ岐部カスイは聖地エルサレムへの旅の途中で、エスパニア人によるフィリピン諸島植民地化などを目の当たりにしながら己が信教に何らの疑いを挟むことが無かったことにいらだちを感じる。この盲信ぶりが宗教の怖ろしいところであり、キリスト教に限らずあらゆる宗教が内包する危険性だと改めて確信するのである。しかし狭量を避け、自分とは異質の考えをも見聞するという意味で良い勉強になった。
0255文字
Midori Nozawa
新着
病院の待合室で半分以上読むことができました。市の無料がん検診なのですが、約3時間かかりました。さて本書は殉教者を丹念に書いていることに感心しました。神父を送り込んだポルトガルや教皇庁のあるローマに、徳川政府のキリシタン迫害の様子が逐一文書で送られていることも驚きます。今と違って帆船での往来ですのに。ネットも電話も無い時代ですから。自分が犠牲になって十字架刑となり、信者たちの命を助けた人の遺体の中指がローマの教皇庁に届けられました。イエスの生き方を真にお手本とした人達の尊い姿を知ることができました。
0255文字
高高一
新着
ペトロ岐部カスイという貧乏百姓がマカオ、ゴア、エルサレム、ローマへの苦難の旅を実行し神父となり、弾圧激しい日本へ戻り殉教者となるまでの足跡。私は彼よりも長く生きているが、未だにふらつくように道を歩いてる。
0255文字
全11件中 1-11 件を表示
殉教者 (講談社文庫 か 5-11)評価76感想・レビュー11