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太平天国――皇帝なき中国の挫折 (岩波新書 新赤版 1862)

感想・レビュー
91

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トクナガ
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高校の歴史だと一問一答の片隅で見かける程度でしかない事件だが実際に本書を読んでみるとあまりにも大きな出来事で驚く。客家という言葉も知らなかったし14年も清朝とは別の政治体制が広域的に中国を支配していたというのも知らなかった。良い意味でも悪い意味でも中国という国の多様さ・広大さを見せつけられた気がした。
0255文字
nobidora
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2年来の読みたい本。教科書太字で出てくる、世界史上最悪の内戦と言われている太平天国について概観する一冊。犠牲者の桁数がおっかしいんですよねぇ、スケールが違う。キリスト教の仕組みを取り入れて公有制を目指すも、結局今までの中華王朝と構造は同じで、漢人による皇帝と世襲の王ってのが、中華思想の根本は変わらんのかという感想。滅び方も結局待遇格差からの内紛でかなしいね。楊秀清とかいうキーマン。こう見てみると洪秀全ってあんま表には出てこなかったんだな。こういうの見るとお隣の国でも異民族って感じすごくある。
0255文字
バッシー
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このときすでに今の中国に通じる諸問題が現れていたとは。幕末期、明治維新の激動期にあたるためか、わが国では影が薄い事件に思っていたが、隣国を知るためにこれは読むべき本と思う。しかし犠牲者の数といい、ダイナミックさに驚くばかり。
0255文字
鴨の入れ首
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2020年刊。図書館本です。中国清末に起こった「太平天国の乱」の顛末を、洪秀全の生い立ちから太平天国滅亡まで追う中国史解説書でした。決起から天京事変を経て、宗教的な革命戦争が次第に変質していく経過は、劇的でさえあります。本書は内容的に上手く纏まっているので、太平天国研究のひとつの端緒となるのではないかと思われます。大変興味深く読みました。
0255文字
甘鯛
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読了。概要を掴むのには向いている。もう少しニッチな内容を知りたかった。別にこの本が悪い訳ではない。
0255文字
Akiro OUED
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太平天国興亡の15年間で犠牲になった2000万人。戦闘の犠牲より、大地を徘徊する穀潰し共に餓死させられた人のほうが多かった違いない。清朝、太平天国、両者罪深い。豚肉を忌避するユダヤ教に近い上帝教は、豚食ってたのかな。自分への権力集中により自己保全した洪秀全、習近平が後を追う。
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muny
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ネタバレ辛亥革命に先立つと解釈される太平天国。だが、その実像が刷り込まれた発想にキリスト教の仮面をかぶった暴力運動。現代にまで続く不寛容な体制。歴史は韻を踏むの好例。
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みなみ
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Kindle読み放題。とても勉強になった一冊。既存の社会における挫折から始まった洪秀全の太平天国が、たくさんの妻を娶り、他者に抑圧的になり、自らを最上の権力者としていく様は皮肉だ。抑圧から立ち上がったはずなのに自分も皇帝のような権力者になるのは革命あるあるなのか。キリスト教の受容もきわめて異端的なので、書物による受容には限界があるのか。にしても太平天国に中国版シビル・ウォーを期待して裏切られたヨーロッパが「太平天国は独立した主権国家の概念を理解していない」とかなんとかいうとおま言うすぎて笑う。
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Porco
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太平天国をつくった洪秀全が始めた上帝教とはどういうものだったのか、その国家(?)体制はどういうものだったのかをはじめ、知らないことだらけで勉強になりました。シャーマンが政権の中枢にいたことや、天京事変なる大事件があったことなども、まったく知りませんでした。
0255文字
ひまつぶ市民。
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ネタバレkindle unlimitedにて読了。 教科書で「太平天国の乱」と載る。清政府の圧政に苦しんだ民衆の蜂起としか知らなかった。キリスト教との関係、権威・権力争い、男女隔離政策など、初めて知ったことだらけ。 平易な文章で書かれているのも良いと思う。
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いなだ豆乃助
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昔から興味があって、太平天国の硬貨を集めたりしていたぐらいに。今度は洪秀全とキリスト教についてより詳しく調べてみたい、そこに興味がある。
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じろう
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高校時代の世界史でキリストの弟と称した洪秀全をこいつ馬鹿と思ったが教義上はまあ成り立つわねえ。それにしても中国の歴史は悲惨な過ちの繰り返しから学べない。毛沢東の文化革命と太平天国の類似は明らか。ナンバーツーは粛清されるし、平等という理想を謳いながら幹部は贅沢と女色に溺れる。西洋思想(キリスト教と共産主義)の奪胎なのに根幹は中国の伝統から一歩抜けることができない。大量虐殺という伝統だけは乗り越えてほしい。
あああ

きっしょい下手クソな文章…クソつまんねーコメント…死ねよガイジ

02/21 05:35
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本命@ふまにたす
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太平天国について、その実態について解説した一冊。マクロな文脈を意識しながらも、やや細かな事柄までフォローした厚い記述が印象に残る。
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Yuichi  Saito
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★★
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ケイトKATE
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清朝後期に起きた太平天国の乱は、13年にも及び2000万人の犠牲者を出した血塗られた内戦だった。指導者の洪秀全は、キリスト教の影響を受け、神ヤハウェを「上帝」として崇め布教し、清朝の圧政に苦しむ民衆の支持を得ていった。洪秀全率いる太平天国は、皇帝を頂点とする中央集権国家を否定し、「上帝」の元で人々が平等に暮らせる国を目指し清朝打倒を旗印として反乱を起こした。清朝軍を次々と破り中国南部を支配した太平天国だったが、外部勢力への不寛容さと太平天国内部の権力闘争によって自滅する形で崩壊していった。
ケイトKATE

太平天国は、中国における民主化の好機だった。しかし、太平天国は皇帝を否定しながらも、皇帝以前の国家体制を目指した上に、キリスト教の解釈において、欧米列強からの指摘を受け入れず、支持を得られなかったことが太平天国の失敗の要因だった。太平天国の乱は、後の中国に大きな影響を与えた。外国勢力への排除や国内における激しい内部闘争が繰り返し行われ、未だに民主化から程遠いものとなって引きずっている。本書は、現在の中国の原点として太平天国の乱を知ることができる。

06/22 20:06
0255文字
Tomozuki  Kibe
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世界史上最大の内戦。人口3億の国で死者2~7000万。皇帝独裁中華を「天父の下の平等」封建制の否定、といい上その体制は、「天父の下の兄弟」という上下関係の絶対(しかも天弟が天父の代弁者≒実質の天父という矛盾)、女性は男性兵への褒賞ヨーロッパ諸王を「天帝洪秀全の弟」とした新華夷秩序で「王や皇帝は同権」が普通の彼らは絶句。つまりキリスト教原理で中国社会の変革を図りつつ、その内実は古来の社会を新解釈で残す結果に。これは読書人出身の洪秀全の限界なのだろう。
Tomozuki  Kibe

太平軍はキリスト教徒を「兄弟」視しながら159p、ヤハウェ以外に「皇帝」の称号認めず、歴代中華皇帝を否定・洪秀全は「真主」として文明の中心を標ぼう・全キリスト教国の上に立つ167p 五王制という分権は中国の階級官制を否定できず180p 東王・楊秀清は天弟ながら天王を下せる≒独占権を有す・洪秀全に挑戦できる←その専横を否定され権力奪取へ→天京事変(粛清)183p 以降の「天弟」は洪秀全絶対体制における官僚にすぎない198p

06/20 10:43
Tomozuki  Kibe

曽国藩は麾下の略奪虐殺をなじるが欲で将兵を釣ってきた自業自得 総理衙門設置の恭親王は1861にクーデター。欧米の害よりも太平軍処置を優先を発表←欧米国の鎮圧協力へ219p 唯一の神を信じるか「不寛容」⇔偶像崇拝の読書人や満州人の吸収に失敗・新王朝足りえない240p 太平天国の失敗理由である「他者を認めない不寛容さ」と「権力分割により暴走を抑えられる安定した制度≒三権分立・首長者の選挙による定期的な後退」こそがその後の中国に必要243p

06/20 10:49
5件のコメントを全て見る
0255文字
フゥドゥ
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読了 教科書には必ず載っている太平天国の乱と洪秀全 ただ、実際どんなものだったのかはイマイチなんとも キリスト教?反乱?国?平等社会?などなど細かい疑問に太平天国の興りから滅亡までの通史として説明してくれる本書 内乱といわれる意味が読み終わるとジワジワくるところが素敵ですね
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白山手賀
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社会全体でまるごと間違いに陥り、暴力が躊躇なく行使されることが、時々ある民族である。
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6ちゃん
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ネタバレ清朝滅亡直前の宗教的要素を含んだ反乱程度にしか把握していなかったが、内実を垣間見た。太平天国はキリスト教的要素はあっても中身は古代の中華思想そのもので、絶対的権力者を頂点とした国家だった。清朝に虐げられた民衆を取り込むもトップは富裕を極め、次第に争い、崩壊していく。貧民を救う事が出発点であっても、結局は利権争いに終始する姿は、実に中国史らしいとはいえ、世界史でもよく見る風景だ。こうした事件の発端は、個人で覆すことができない行き過ぎた経済格差がいつも引き金に見える。これは誰もが記憶すべき歴史の教訓だろう。
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ひつじ
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洪秀全の興した太平天国の顛末が詳細に描かれていて面白かった。 聖書を原始中国的に解釈した教理をもとに、社会の下層の人々を巻き込んで大きな集団となりつつも、他者に対しては自らの教理や原則に押し付け気味で、当時の士大夫や列強の支持を得られなかったのが分岐点。 あとがきの「社会的な弱者が声をあげようとするとき、暴力を伴う形でしか自分の意思を表現できない社会のあり方そこが問題なのだ」という言葉には耳が痛い。
0255文字
バルジ
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「史上最大の内戦」とも称された太平天国の乱をその社会的背景から興隆、滅亡までを描く。キリスト教を半ば土着化させたような「上帝会」の教義は当然、中華世界の知的伝統を濃厚に受け継いだ西洋世界のキリスト教とは別物である。洪秀全の聖書理解は「中国」を神聖視し、兄弟と呼んで憚らない西洋諸国に対し自身への臣従を求める。これは従来の中華世界観と全く異ならない。また滅亡の原因となる権威と権力の分立構造もまるで従来の帝国滅亡をそのままなぞるようである。西洋の衣を纏いながら内実は中国史を彩る帝国興亡史と大要は変わらない。
0255文字
錢知溫 qiánzhīwēn
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挫折した讀書人である洪秀全、最下層の流民出身である楊秀淸、少數民族出身の蕭朝貴、など社會のなかで志を得ない、あるいは滿足に生存することができない人々が自己の理想を求めて立ちあがったが…。  なお太平軍は官吏など淸朝關係者は容赦なく殺すが一般の農民には寬容だったり(五七~九頁)、むしろ淸軍の方が略奪等橫暴だったり、(※官軍の方が賊軍より劣惡なのは中國史上よくあること。)税制も淸のものより輕いなど、この頃の淸朝行政の腐敗を思えば太平天國が支持されたのも肯けなくはない。
錢知溫 qiánzhīwēn

いっぽうで、南方出身者を中心とする太平天國は江蘇省あたりの都市民を苛酷に扱ったり、彼らの掲げる"中國"觀念は漢民族しか含まず滿州人を敵視し虐殺するなど不寬容さも目立つ。男女の居住區を峻別するなど人情に沿わぬ政策もみえる。  立身出世の夢破れた洪秀全が、キリスト敎と中國の民閒信仰と儒敎思想をぶち込んでごちゃ混ぜにした、その妄執に人々が理想國家の哀しい志を見出してしまった悲劇であろうか。馬列主義や共産黨にも近い構圖が見いだせるかもしれぬ。

11/27 22:31
錢知溫 qiánzhīwēn

長髪賊は好みませぬが李秀成だけは哀しいですね。投降しようとする蘇州の守將たちを”好きな道を步むがよい”と言って赦したり、(二二七頁)  狂氣に陷った洪秀全に首都脱出や食料の窮狀を訴えても、「天兵が援軍に來てくださる」「甜露(マナ)を食えばよかろう」と全く聽く耳を持ってもらえなかったり。(二二八‐二三一頁)

11/27 22:33
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岬
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薄い本だけど読み応えあり。 中国の統治のあり方が、歴史的なものであることがよくわかりました。 ということは、現在のジャイアンが隣に住んでいるみたいな迷惑な状況もこれからも変わらないということか。
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Toska
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単なる「失敗した反乱」の一例として流せるものではない。宗教、ナショナリズム、異文化受容、行政システムと地域社会の動向等々、近世中国について様々な考える材料を与えてくれる歴史的事件。それから被害の大きさ!逆説的だが、あれほどの破壊と殺戮を経験してなお膨大な人口と高度な文明を維持できた中国のポテンシャルが恐ろしく感じられる。なまじ耐久力があるからこそ悲劇が繰り返されてしまうのかもしれないが…
Toska

中央集権的な伝統王朝vs分権体制の可能性を秘めた太平天国、という本書の図式には違和感を感じる。岡本隆司『李鴻章』によれば、当時の清朝は皇帝独裁とは名ばかりの分権国家で、集権化は将来の課題でしかなかった。個人的にも、こちらの見立ての方が納得できるように思う。寧ろ、宗教を基軸に新体制の構築を目指した太平天国の方が、よほど集権化に近づいていたのではないか。読み比べると色々面白いのでどちらもお勧め。

09/04 10:17
Toska

キリスト教をベースとする太平天国もマルクスから始まった共産中国も、オリジナルな思想とはかけ離れたところに着地した感がある。太平天国や現代中国を見て「責任を取れ」と言われたのでは、キリストもマルクスも泣いてしまうんじゃないでしょうか。例えばソ連なんか、現代中国に比べるとかなり真面目にマルクス主義をやろうとしていた印象(結果は見ての通りだけど)。

09/04 10:34
0255文字
ジュンジュン
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国父・孫文は第二の洪秀全を標榜し、太平天国を救国運動の先駆とみなした。果たしてそうだろうか?著者は革命のバイアスから解き放ち、歴史的位置づけを考察する。虐げられた貧民を救わんと掲げた崇高な理想、それに反して、いやそれ故に、矛盾と混沌を生み出した現実。結果、2000万人の犠牲。色々分析されていても僕には、キリスト教がブレンドされているので、近代史の始まりのように感じるが、古代から連綿と続く農民反乱の延長(或いはバージョンアップ版)にしか思えなかった。極論だろうか?
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kazumiw
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2000万人の犠牲者を生んだ19世紀最大の戦争。日本は江戸末期。復古主義とキリスト教が融合した異形の国は14年で滅ぶ。こんなに巨大で杜撰で悲惨な内戦があるだろうか。江南の国家経営に専念していれば、宗教を切り離していれば、西洋のルールや技術を取り込んでいれば、結果は大きく変わっていたのに。
0255文字
Tera
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太平天国は【破壊的側面】【中国革命の先駆け】の2つの側面があると巻末に語っていたが、中国革命の先駆けというのはやはり勝者の歴史を正統づけるために強調されている側面とみるべきでしょう。中国における太平天国は【中国革命の先駆け】的に紹介されてしまっているのが今日でしょうが、やはり破壊的側面のほうが強いとみるべきで、国家統治の手法から言っても高尚なレベルでの革命が模索されていたとは考えづらい印象。
0255文字
しんさん
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「太平天国は自分たちが上帝を戴く『文明』の中心と考えていた点で、典型的な中国王朝だった。こうした発想は主権国家として政教分離の進んだヨーロッパ人には想像のつかないことであった」「自分と異なる他者を排斥してしまう不寛容と、権力を分割してその暴走を抑える安定的な制度の欠如は、中国国内だけでなく、台湾や香港、少数民族をはじめとする周辺地域に深刻な影響を与えている」。中国を知り、粘り強く冷静に向き合うことが求められるのですね〜。ずっと。
0255文字
たか
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反乱分子であり、国家のなりそこない。序列だった五王がいて、後宮の人数が違うなど、キリスト教的なんだか中国なんだかよくわからない感じが、過渡期というか洪秀全以下の客家階級の認識を感じさせます。大したことなさそうなメンツの反乱鎮圧にどんだけ手間取っているんだか清、と思う反面、時代や制度の不備も感じました。
0255文字
BLACK無糖好き
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中国の下層移民の異議申し立てから始まった太平天国の盛衰を描く。太平天国の対外観念は「変相の華夷思想」などと呼ばれるようだ。儒教ではなくキリスト教に基づく観念ではあるものの根底には中国王朝の発想がある。興味を引いたのは洪秀全と楊秀清の関係。多くのシャーマンが神の降臨でトランス状態に陥り様々なお告げを発する中、楊秀清に乗り移った霊魂を父たる神(ヤハウエ)だと認めた洪秀全は、やがて楊秀清に太平軍の軍事、政治面での権限を持たせる。同じ理想社会の実現を目指した二人に訪れる破局。人間ドラマとしての面白さ。
0255文字
kuroma831
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ネタバレ洪秀全がキリスト教に出会ってから太平天国を建国し、崩壊させるまでの概説書。清朝で低いヒエラルキーに甘んじていた客家系知識人の鬱屈した感情がキリスト教と出会い、救いを求めてしまう気持ち。初期は理想国家を目指し、清朝末期の民衆にも支持されるが、安定した国家運営が出来なくなるとすぐに崩壊する。太平天国の五王制が洪秀全の猜疑心と王の間の相互不信で成立しなくなったことや、清朝側も既成勢力では討伐できずに曽国藩のような地場勢力に頼らざるを得なかったことのような、末期王朝での分権志向は後の軍閥割拠の走りを思わせる。
kuroma831

太平天国はキリスト教をベースにした上帝教を掲げながらも、復古主義による中華思想を捨てられなかったため、同じ神を信じる同輩として西洋諸国を見ることはできず、外交面でも失敗した。仮に外国勢力との連携を上手くすることができれば、清朝に続く王朝国家が成立し得たのか?というifは少し面白い。

08/24 01:48
0255文字
Miyoshi  Hirotaka
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異文化の受容と変容のコントロールは大きな課題。中国は、キリスト教、国民国家、マルクス主義と3度失敗。毎回、内戦により多くの犠牲者が出た。その最初が170年前の太平天国の乱。キリスト教との特異な出会いにより、独自の「拝上帝教」が成立、南京を中心に勢力を拡大した。一時は、列強各国が外交関係樹立を検討するまでになった。しかし、自分と異なる他者を排除する不寛容さと権力分散により暴走を抑える仕組みがなかったことにより、各国に見限られ、内乱により自壊した。十数年の間に約二千万人の犠牲者が出た。現代中国への伏線が多数。
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多分、器用です
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うーん。微妙
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Y.m.Kim2
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ネタバレ・朝日、読売 書評掲載『洪秀全は挫折のなかでキリスト教と出会い、中国に長く君臨してきた皇帝の称号を否定した。そして上帝のもとですべての人々が救済される大家族を創ることをめざしたが、みずからを「天下万国の真主」とする救世主信仰に固執した。「いにしえの中国の復活」や「上帝のもとでの大家族」という理想を掲げながらも、意見の異なる相手を排除する不寛容な教義を克服できなかったこと、さらには権力の分割によって生まれた厳しい緊張関係を調停する術を持たなかったことが、太平天国を失敗に導いた本当の原因だった。』
Y.m.Kim2

役割や権限の分担があいまいな組織は、いずれ重複や抜け漏れが生じてそこから対立や隙が発生する。太平天国の場合も洪秀全の独裁かと思いきや、楊秀清などの王たちもそれなりの権力を持っていて、制度として固まらないまま滅亡を迎えた。その点、現在の中国はしっかりとした官僚機構を持っており心配はないだろう。ただ「夢」を追い求めるのが中華民族の性だとしたら、いつまで「夢」を見続けさせられるのか。いつ「夢」から覚めて、そのとき何が起こるのかが次の中国の転換点になるのだろう。

08/13 10:55
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てぬぐひ
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「太平天国での王政や地方支配に見られる分権的な傾向は、郡県制の中央集権的な統治がかかえる構造的な問題を改める可能性を含んでいた」と筆者は語り、その滅亡の原因と現代につながる中国の中央集権的な政治体制との共通項を示していて、興味深い。 もともとは下層民の中央や主流階層への抵抗でできた共同体ではあろうが、内部の権力独占欲で腐敗し、排他的になるのは古今東西よくあるよな、とも感じた。最近ならISなど都合よく宗教を解釈して人命無視なところが共通してるような。 権力分割とそれらの暴走を防ぐ安定した制度の大切さよ。
0255文字
puppy
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日経?に紹介されていたので、図書館で借りた。 キリスト教を都合良く解釈して、権威付けに利用しただけ。 権力者として、他国との協調は考えない姿勢はこの国には一環している。
0255文字
kungyangyi
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漢語の固有名詞は間違って読み上げられるので聞きにくかったけど内容は面白かった。/キリスト教に影響された千年王国的運動が、結構、政権奪取の近くまで行っていたのだと驚いた。/革新的な運動ながら、伝統中国的な統治の考え方を継承しているという矛盾というか二重性が興味深かった。/実際にシャーマニズムが政治の中で力をもっている様子に驚いた。
0255文字
パット
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太平天国は「いにしえの中国の復活」「上帝のもとでの大家族」という理念を掲げながらも、意見の異なる相手を排除する不寛容な教義を克服できず、権力の分割によって生まれた緊張関係を調停するすべも持たなかった。 古典的な「文明」の論理と厳しい競争原理ゆえに分権的な政治体制を実現できない中国社会の問題は現在に続いている。
0255文字
りえぞう
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○。太平天国、結局のところあまり見るべきものもなく……白蓮教や天地会と異なるのは教理?と偶像崇拝に対する頑なさくらいなのかなあ。現代中国の異質なものを排除しようとする思想の源流のひとつに堕しているのも、なんかがっかりというか、やはりというべきか。
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太平天国――皇帝なき中国の挫折 (岩波新書 新赤版 1862)評価78感想・レビュー91