形式:文庫
出版社:筑摩書房
形式:Kindle版
ダイソン球の元ネタということで、手にとってみた。率直に「(文量以上に)長い」と「ややこしい」が、最初に来てしまう。もう一回読み返さないと理解しきれない。でも、これを読み切れた人はセンス・オブ・ワンダーを感じることができると思う。 精神的な面だけでなく、それに至るための生命はどうなっているかというイメージも面白い。例えば、<スターメイカー>は我々のいうところの唯一神的神に相当するが、我々の考えるような神ではない。また、集合意識がどのような経緯を辿ったかを書いてあるのも面白いと思う。
本書が上梓された時代は1937年。ヨーロッパにきな臭い雰囲気が漂う頃。そんな時に文明やそこでの我々の営みを究極的にまで俯瞰、相対化して一体我々は何をやっているんだ、と観照するのが作者にとっての主題か。作者は哲学の博士号も持っているのは納得。哲学的なSFと言えばソラリスが私には思い浮かぶがそっち系だ。世界は我々が理解できる、という前提を揺るがす。翻訳の限界もあるのか、抽象的でイメージしずらいシーンが延々続き正直途中は非常に読むのにエネルギーを使った。もう一回読み返すにはしばらく充電が必要であろうなぁ。
レビューを拝読してとても興味を持ちましたが、私には難しそうだな…きのう届いたので、まず三体読みます!
英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊
面白かったがそれはそれとして、どうしても読みにくい、日本語なのに理解できない部分が多かった。特に”心霊”だったり”神霊”だったりがピンとこないのに、頻繁に出てくるから付いていけなかったりした。他星の知的生命体を"人類"、"人間"と呼んでいるのもしっくりこなかった。 もし私が英語ネイティブだったして原文にあたっても、相当読みづらいと思うのかもしれない。 これからの方は、ゆとりのある時間を確保した上で覚悟を持って読み始めるのをおすすめする。
◆世界規模の共同体,目覚め,統一的精神,高位の霊的存在,神霊の成長,善と悪の闘争,宇宙の究極は愛ではなく観照、、こういう感じのワードが本書キーワードかと思う。ホント良い悪いの話じゃなくて、ちょっと違和感もあった。宗教的というか(あとちょい左寄りか)、、海の向こうの人たちはこういう世界観がしっくりくるのかな。どうなんだろ。
宗教家の御筆先のような荒唐無稽とも思えるし、登場人類が標準的に備える、テレパシーを受信したとも思える。しかし、作品の神たる筆者が、「わたしが表現すると実情とそぐわない可能性があるから描写しない」。などメタな文章もあり、本当に体験したのかもとも、ああ、課金しても受信機が脳内に欲しい。
スターメイカー。愛と理性で究極の平安をもたらすキリスト教的神でなく、ゾロアスター的ポジティブとネガティブの永遠の争いや。ヒンズーの創造と破壊の繰り返しが世界の平常運転な、惑星知性、星系知性、星雲知性、銀河知性、全宇宙知性と原子核の知性。極大も極小も刹那も永遠も、善も悪も渾然一体。仏教的でもある。
①時間的・空間的に超スケールのでかい話で、どこか神話的・非人間的な物語である。しかし、創造主という超越的な存在を、未熟な面もあると描いているところがユニークだなと感じた。創造主は宇宙を創造する一方、被造物を創造することを通じて創造主自身も成長していく一面もあるのだ。この点、やけに創造主を人間的に描いているなと思った。この創造主と被造物の関係は、ケアラーが患者をケアすると同時に、ケアラーもまたケアという行為を通じて患者から精神的な支えのようなものを受け取っている、という話と似てると思った。
②一人称小説だが、主人公は肉体を持たない精神の存在で、文明や宇宙を俯瞰的に語るため、語り口がどこか三人称的でもある。しかし神の視点とは異なる。主人公は神(= 〈スターメイカー〉)ではない。
持ちながら、私は本書を読みすすめた。序盤の部分で、主人公が宇宙の真実を探ろうという情熱と、「妻に会いたい(泣)」みたいな人間的な感情の狭間で揺れ動くのが微笑ましく、共感を誘う。物語はコスモスの様々な世界を説明しつつ展開し、最終的にはかなり抽象的かつ難解な内容になっていく。私が当初持っていた問いに対する答えは得られたかと聞かれれば、正直わからない。360頁あたりの、被造物はスターメイカーに作られながらも、彼を育ててもいたというような内容の記述は気になる。(続く)
これが答えになるのか。私がそれを判断するには、まだ思索が足りないようである。人間を超越した存在に圧倒され、無力感に打ちひしがれながらも、目の前に広がる世界で自分がどのようにして倫理的な生を全うしうるのか、どのようにニヒリズムに飲み込まれずに生きるかという問いはこの先も考え続ける。本書を読む中で、思索をする上ではSF的な示唆というのは欠かせないな、と改めて認識した。哲学書などとともに、これからはSFにももっと触れていきたいと思っている。
スケールが大きい作品が好きで、長距離移動に快感を覚える旅行者の方がいるそうだが、それに倣えば、私は時間や空間が長く広く描写される作品を読むとき快感を覚えると言ってもいいかもしれない。
正直、読んでいる最中はよく解らなくて、退屈さすら感じていた。しかし読み終わったからじわじわと、静かな感動と衝撃が沸き上がっている。いつか必ず再読する。
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ダイソン球の元ネタということで、手にとってみた。率直に「(文量以上に)長い」と「ややこしい」が、最初に来てしまう。もう一回読み返さないと理解しきれない。でも、これを読み切れた人はセンス・オブ・ワンダーを感じることができると思う。 精神的な面だけでなく、それに至るための生命はどうなっているかというイメージも面白い。例えば、<スターメイカー>は我々のいうところの唯一神的神に相当するが、我々の考えるような神ではない。また、集合意識がどのような経緯を辿ったかを書いてあるのも面白いと思う。