形式:単行本
出版社:作品社
レンタルビデオ店は、「毎日のように習慣的に覗く公共空間のひとつ」で、我々はそこで初めて映画を主体的に消費することができるようになった。つまり、映画をショッピングするという行為・経験を通じて、「映画が個人化」されていったのだ。店員は、客の好みに応じて品揃えを調整し、知識のハブとしての役割を果たし、気軽なやりとりからビデオストアを文化的なパフォーマンスの場に変えていく。ブルデューの差異論など社会学的分析も加えられていくのだが、いまいち実感として納得感が薄いのは、アメリカでのレンタル体験がないからだろう。
漫画『水曜日のシネマ』もレンタルビデオ店が舞台になっているけど、客が店員と親しく映画談義に花を咲かせている場面など遭遇した経験がないなぁ。アメリカではタランティーノのような博識の映画オタクが客と蘊蓄を交わしそうだけど、日本ではどうなんだろうか。ただ、間違いなく日本でも、レンタルビデオ店が無くなることで失われるものはありそうなんだけど、それが何なのかうまく言語化できないな。あと、日本では、レンタルCDやレンタルコミック、ゲーム販売などが店内でいっしょに事業化されているけど、アメリカではないのかしら?
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