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夏のヴィラ (韓国女性文学シリーズ)

感想・レビュー
38

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naff1968
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決して大事件が起きるわけでもない、ただそこにある情景や、人と人とのつながりや別離を丁寧に描いていく作品集。 時間が過ぎていくことの残酷さや、美しさがうっすらと見えて、ラストの一文にため息が出ます。中でも「ブラウンシュガー・キャンディ」が素晴らしい。
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neko
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淡々と・・・ 韓国ではこのように生活に苦しいのは一般的なのか、それともその層を描いたのかはわからない
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nekomurice
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『ブラウンシュガー・キャンディ』が特に好きでした。
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rurisun
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★★★★
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フランソワーズ
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”記憶”というものが、過去の一断片が、現在の自分にとってどういうものであったのかを自問する。そのなかには国外に身を置いた疎外感や、国内(韓国)でも存在する社会的な壁といったもののなかでの閉塞感に思い悩み、生きていく女性たちの姿が描かれている。ただ救いようのない重苦しさは希薄で、もの悲しくも、しっとりとした余韻の残る作風。ハズレなしの短編群だけど、あえて挙げるとすればやっぱり『ブラウンシュガー・キャンディ』!(あとは『ひそやかな事件』)。
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azukinako
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昨年のkbooksfesで出会った初めての作家。8つの短編のすべてに胸を捕まれる一瞬があった。読み終えた後にまた目次を見てすべての一瞬を思い出す。私は「大雪」が一番心に残った。一番肝心なことは話せず、聞けない母娘。ラストで彼女(娘のほう)が出産直後に夫に堰をきったように語る母との話。説明できないけれど、身体が反応する小説だった。翻訳も素晴らしいのだが、それでも、原文を読みたくなる小説。
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perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
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韓国文学。2016-2020年に発表した短編集。 文学作品なので娯楽性は求めていない。しかしながら本作ではテーマは理解できるもののこの内容でいいのかと思う物が複数あり、これが感性の違いなのかどうかと思った。全体的に描写はいいもののテーマが弱く感じた。後、最後の作品はありきたりな内容だった。
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algon
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なんかすごい才能を目にして非常に書きにくい。…と言ってもそんな傾向の本ばかり読んでいるのだが。読後感はほぼビターテイストなのだが繊細な感覚が煌めく言葉に載って語られるストーリーはまたこれで個性的と感じた。8短編だがどれも良くて困っている。最初の「時間の軌跡」から引き込まれ、毎日1篇ずつ。「ブラウンシュガー…」「ほんのわずかの…」「アカシアの林…」「大雪」。事象に結果を求めずその折々の感性を著わしているのだが人物達の感覚や行動の余韻までナイーブな印象を失わないのは著者なりの特別な資質と思えた。良い本でした。
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平坂裕子
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「人にはそれぞれの持ち場があって、それぞれの役割がある。それに満足して暮らせば、そこが天国だ。不満を抱いた瞬間、憎しみが生まれ、暴力が生まれる。憎しみと暴力はまた別の悲しみと暴力を生む。」人と人、世界と世界の境界線を静かに感じながら読み進めていった。「ブラウンシュガー・キャンディ」の祖母がブリュニエさんと過ごした時間がとても素敵であった。
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ふろしき🍐
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ネタバレ『惨憺たる光』における関係性の終焉の描き方が好きだったが、今作でもそこは変わらず。さらに、それらを振り返って今ともにいる人に語る「大雪」、一人で想像を逞しくする「ブラウン・シュガーキャンディー」、失いかけた繋がりを細くとも続けようとする行動で終わる「夏のヴィラ」など、優しいバリエーションも多い。 「ひそやかな事件」がいちばん好き。
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kuly
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海外に住むって、一見華やかなことを想像しがちだけど、ひとりぼっちの感覚、自分と周りの人が纏う空気が違う感覚に襲われる時があるのだということを思い出した。 読んでいて苦しくなるものもあったが、ブラウンシュガーキャンディがよかった。
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ふうちゅけ
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根底に格差社会を感じる8つの短編集はどれも繊細な心情が綴られた苦い物語。フランスやドイツでの出会いと友情、恋愛、はたまた半地下ある日常、憧れの家との別れ。そして、韓国での女性の生き辛さ。暑苦しく訴えてくるわけではなく、日常に身近に潜むのだという雰囲気がかえって重さを感じさせる。「ブラウンシュガー・キャンディ」にキュンときて、「大雪」や「ほんのわずかな合間に」でゾワゾワ。飽きずに読める良い作品。(2022年3月初版)
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ジュン
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韓国は恨の気持ちが強い民族だと韓国の友人が言ってた。流行る歌や本でそうだなと感じる事がある。韓国ではフランス文学が大人気。これは以前韓国の本屋さんで実感した事。日本では日の目を見ないフランスの作家の翻訳本がずらっと並ぶし、ベストセラーにも食い込む。そんな特徴がこの作品にも現れてる印象でした。貧困や格差社会も包み隠さず描き、傷ついた心を吐露し、埋められない溝や取り返せない時間を嘆き、女性が儒教の国で生きなければならない辛さを嘆く。でもロマンチストだなぁと思う描写がチラチラ見え隠れするそんな本でした。
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Jessica
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少し暖かくなってきたこの時期にふさわしい短編集。韓国とヨーロッパ、二つの国を行き来する話が多く、韓国文学の持つ人物描写と、フランス文学の不条理の美しさの間を取ったような絶妙なバランス感に大変そそられました。「雨の質感で国の違いを感じ、故郷を恋しく思う」その感じ、自分にとってもどこか懐かしく胸が締め詰められるも、結局爽やかな気持ちで読み終えられるのは、登場人物たちの芯の強さゆえでしょうか。
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kibita
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とても良かった。修飾的な文章が私にとっては少々苦手だなと感じた「惨憺たる光」に比べると、柔らかく、文章が自然で丸みがあって読みやすかった。その時の人との繋がりや、出会いの刹那、ふとした瞬間に心にさっとよぎるものや棘、隔たり、暖かな想い。ほぼ回想という形だが、自身の様々な思い出やもう会うこともない人達を鮮やかに引っ張り出してくれた。「大雪」「ブラウンシュガー・キャンディ」のラスト、「アカシアの林、初めてのキス」などが好み。
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nightowl
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生き難さについて語ることの多い韓国現代文学の中でも、収録順に読めば比較的明るめな後味で本を閉じられる一冊。史実との重ね方が秀逸な表題作、学校のヒエラルキー「ひそやかな事件」・「アカシアの林、初めてのキス」(「黄昏のビギン」の歌詞内容とは全く異なる作品)、遺された日記から祖母のフランス暮らしを想像する「ブラウンシュガー・キャンディ」など苦さよりやわらかな表現を意識した節がある。身近な生活を描写しても砕けすぎない絶妙さについつい今後も追い掛けてしまいそう。
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blue_blue
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表題作と『時間の軌跡』『ブラウンシュガー・キャンディー』(これは既読)が特に好き。この地にいても、異国にいても、愛する人の隣にいても、いつも一人でいる気がする。どの作品も疎外感と癒えない傷と外界との隔たりを静謐な文章で丁寧に描いていて、明言化されていない“物語”を想像させる、滲みるような寂しさがとても良かった。
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葉子
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初めて読んだ韓国の本。なにかの雑誌で江國香織好きの人にオススメと書いてあったので読んでみた。8編の短編のどれも私が思っていた終わりとは違っていて、でもそれは私が物語的結末を予想していたからだとおもう。この本はどこまでもリアルな人の心を追求していて、だからこそ美しいけど少し悲しい。『時間の軌跡』と『夏のヴィラ』が好き。
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春
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とても読みやすい、流れるような文章を書かれる作家さんだと思った。どの短編もほんの冒頭部分を読んだだけで一気に物語の世界に引き込まれてしまって、あっという間に読み切ってしまった。ままならない自分自身や人生を描きつつ、そこにほんの一瞬差しはさまれる、心が痛くて名づけようのない、それでも忘れがたい、忘れてはいけない時間たちの記憶。ままならない毎日の中で登場人物たちがくだす決断や選択の末に、永続などしなくてもこれで良かったのだと、一瞬でも感じられるこれからが訪れますようにと願いながら読んだ。
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Kanako
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人と人が関わり合うとき、すれ違いや隔たりが生まれる。それが大切な相手であるとき、努めてその壁を乗り越えようとすることもあれば、反対に、自分の胸のうちに一生静かに抱える痛みとすることもある。切なく悲しい人生のいろんな瞬間を描きながら、人間に対する著者の眼差しはどこか暖かいものがあり、ままならない人間の人生を優しく受け止めようとする大地のよう。繊細で知性のある美しい文章に心を持っていかれ、今年ベストになる可能性があるくらい、胸に響いた物語でした。
紫の木

このレビュー、しみじみと感じさせるものがあります。思わずコメントさせていただきました。

10/14 06:32
Kanako

紫の木さん、ありがとうございます!人間の心の動きを繊細に描く小説はたくさんあるけれど、この小説は特別でした。切ないけれど美しく、とてもおすすめです。

10/14 07:46
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ぷく
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線香花火が胸の奥でちりちりと舞う。夏の夜に未練を残し幾許かの傷を刻んでいるかのよう。その美しさは私を追い詰め、暗闇はいつかの私をあぶり出す。線香花火の最後の球は落ちたはずなのに徐々に燃え広がり、私はただそれを眺めている。最後に燃え尽きたものが何だったのかを見極めるのに少しの勇気が要るけれど、私はその平かな光景に諦念と安堵の深いため息をつくことで自らを振り返るきっかけにできる。今まであまりにも眩しく、騒々しい場所でい過ぎたことを痛感する。大切にしたい一冊。
ぷく

ちゃちゃさん、お返事が遅くなり申し訳ありません。ちゃちゃさんのレビューに惹かれ、図書館で借りてきた一冊でした。本当に素晴らしい作品で、この出会いを与えてくださったちゃちゃさんに感謝しています♪線香花火は、この本と向き合っている時にふっと心に浮かんだイメージです。充実した読書体験、またご一緒できたこと、うれしかったです。ありがとうございました。

10/14 12:45
ぷく

紫の木さん、はじめまして。うれしいコメントありがとうございます。 韓国の女性作家とは相性がいいようで、後に控えている作品も楽しみにしているところです。

10/14 12:47
5件のコメントを全て見る
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柚木あんづ🍉
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装丁に惹かれて。夏が本格的に終わる前にと読んだが、いつ読んでも素晴らしい一冊だった。一番好きなのは『ブラウンシュガー・キャンディー』。出会いと別れ、老いていくことのすべてが寂しくてやさしい。ピアノの場面がほんっとうに美しくて、思わずメロディーに耳をすましてしまう。これは私のベストオブ短編になるかも。今だからこそ、大きな主語が隠してしまう、複雑で繊細な人の姿はずしんとくるテーマだけど、読み終えるとすっと風が吹く。あとがきの〈この世界を生き抜くうえで頼れるものは理解と愛のほかにない〉も含めて、全てが良かった。
フランソワーズ

お気に入りに選んでいただき、ありがとうございます。今後の読書の参考にしたいにしたいと思います。

06/09 21:50
柚木あんづ🍉

こちらこそ、いいね&お気に入りありがとうございます😊夏のヴィラは特に大好きな作品だったので、とても嬉しかったです。今後ともよろしくお願いいたします☆

06/09 22:32
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アヴォカド
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もう夏も終わりの今になって、滑り込みで読み終えた。ペク・スリンは初めて読んだけど、細やかでよかったな。『ブランシュガー・キャンディ』が特に◎。「アカシアの林、初めてのキス』も。
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二人娘の父
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夏の間に読み終えたかった本。今日はまだ夏でいいですよね。間に合ってるかな。
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ちゃちゃ
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繊細なレース糸で心の痛みを編み込んだような、哀切な響きを放つ短編集だ。8話に共通するのは、さまざまな“隔たり”。人と人、性別、世代、階層、文化や風土…。埋められない距離、取り戻せない時間に、途方に暮れて立ち尽くす不安や疎外感、孤独や絶望。そして癒えない心の傷と、それらを呑みこんで諦念を抱えて生きる人間への愛おしさに溢れる。透明感あふれる鋭敏な感性で捉えられたそれらは、静かに読み手の心を揺さぶり共感を呼び覚ます。それらはかつて、我が心をかすめていったあの痛みだったかもしれない、という深い気づきとともに。
アン

ちゃちゃさん、こんばんは♡素敵なレビューです✨短編でありながら、長いお話を読んだかのような印象があり、仰るように心の痛みを抱えた人々を繊細に、鋭敏な感性で捉えた魅力的な作品集でしたね。私は表題作、「ブラウン…」のラストが特に心に残っています。装幀も美しい一冊で、ご一緒出来て嬉しいです(*˘︶˘*)🌿

08/20 20:06
ちゃちゃ

アンさん、ありがとうございます♪短編集は、ともすれば一話の印象が薄れてしまう作品も多いですが、本作はひとつ一つの短編がくっきりとした輪郭をもち、仰るように長編を読んだ感がありますね。『ブラウン…』のラストは巧いですね。何よりも家族を優先して生きてきた祖母の、ただ一つの守るべきもの。誰にも侵されたくない宝物に、孫娘が気づく。甘やかな余韻の残るラストに、私も唸りましたよ!ご一緒できて、嬉しいです(^ ^)

08/20 20:28
9件のコメントを全て見る
0255文字
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新着
ネタバレひそやかな事件(静かな事件の改題?良いと思ったのに内容忘れた)、ブラウンシュガー・キャンディ(黒糖キャンディー)は既読。『時間の軌跡』から感情を持っていかれる。『まだ家には帰らない』『ほんのわずかな合間に』はややミステリーっぽい軽さのなかに潜む暗さが絶妙。著者の作品は結構な頻度で人や物事、記憶に対して必ずどこかで懐かしさを感じ、とても心地好い。著者、訳者あとがきがとにかく響く。読んだ後の余韻がすごい。一冊で豪華なフルコースを堪能したような感じ。装画の爽やかさがどこか寂しげな内容とぴったり。
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時間の軌跡、ひそやかな事件で若い文学賞(名称なんかちょっと雑よな…毎回思う)、表題作で文知文学賞、まだ家には帰らないで現代文学賞、本書自体は審査員満場一致で韓国日報文学賞受賞。韓国の賞の名前もどんな賞かも知らんけどすごすぎる。賞はなんでもすごい。プロフィールに受賞した賞がずらずら書かれている光代と夏子が思い浮かんだ

08/15 15:26
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表題作が私のなかでいちばん弱い(好きではある。かなり。全体を通して見ると地味だけど、ちりちり控えめなオーラが感じられるのでタイトル向きなのかなとも)と思った。読んできた数少ない韓国作家のなかではチェ・ウニョンの作風に少し似ている気がする。だから好きなんだと思えるし、読んでいて嫌な気分にならないからかすごく安心できる。そういう作家はかなり貴重なのでこれからも読みたいし絶対読もう

08/15 15:27
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miyumo
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韓国で人気の女性作家ということと「夏のヴィラ」という題から、爽やかで自立した女性の物語なのかと予想していたが、そうではなかった。韓国の女性の孤立感や様々な社会的抑圧に対して、ささやかな抵抗を始めた女性たちの姿が描かれていた。これは、すでに完全な近代化、民主化を遂げたと傍目からは感じられる韓国の実際の状況なのだろうと思うが、日本においても決してよそ事ではないのだろうとも感じる。その中で、「ブラウンシュガー・キャンディー」は祖母が主人公であるが、初々しさや爽やかさを感じさせてくれるお話で、一番好きでした。
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石
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とにかく文章が素晴らしい 決して綺麗事ばかりではない、嫉妬や葛藤も書いてあるのだが、それでも読んでいて心が洗われるようだ 作者の文章力も勿論だが、翻訳者の技量も並外れている 声高にでは無く静かに語られる出会いと別れは、読後に深い余韻を残す
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buchipanda3
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様々な年代、様々な立場の女性の生き方が落ち着いた目線で丁寧に描かれている。そこには性別や困窮などの差異による不自由さが垣間見えるが、安易な同情などはなく、ただその生き方を真っ直ぐに見つめている。でもそれゆえに現実的であり、より深く彼女らの日々の姿が沁み込んできた。何よりも選んだ人生の痛みに著者が共感しながらも、目の前を生きる歓び、それが微かなものでも尊いと思わせる文章がとても良かった。ある時期に同じ地点を過ごす者と心を通わせる刺激の大切さも。素直な甘さの尊さ「ブラウンシュガー・キャンディ」がお気に入り。
天の川

buchipanda3さん こんばんは。どれも良かったのですが、やはり『ブラウンシュガー・キャンディ』ですよね♪おばあさんの独白ならば、孤独も家族への思いもピアノの持ち主への感情も生々しくなってしまうところが、孫娘の記憶と日記の断片からの想像であるがゆえに余白があってとても美しいと思いました。

07/30 00:12
buchipanda3

天の川さん、同じくどれも良かったです。そしてやっぱり「ブラウンシュガー・キャンディ」は特に印象に残りました(^^)。語り手に実は想像でしたって最後に言われて、あぁそうなんだと思い、それでもきっとあの二人のやりとりはそうだといいなと素直に思える話でした。そう思わせる魅力のあるおばあさんだったのだろうなあと。代名詞二つと動詞一つの言葉もあれこれと想像してしまう余白の楽しさですね。著者の作品をもっと読みたいです。

07/30 21:55
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ハルト
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読了:◎ とてもよかった。好みだった。異国での、静けさの中にあるざわめき。しんしんとした雪が降っているかのように、どこか心沸き立てられる。人生における、孤独なやるせなさを、一瞬の輝きを、人の繊細さを掬いとり、描いてくれている。乾いた喉を潤したくなるように、またすぐに読みたくなる作品集だった。▼どれもよかったけれども、特に「ブラウンシュガー・キャンディ」がお気に入りだった。
0255文字
ぶんこ
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初めての作家さんでしたが、静かな余韻に浸っています。全体を通して、どんなに親しい人でも、心の隅っこは分からなくて、自分は一人だということ。それはどうしようもないこと。特に「ブラウンシュガー・キャンディ」のおばあさんに感情移入してしまい、切なくて寂しくて、でも言葉は通じなくても、心がちょっぴり繋がった人とのひと時を得られていたと知って、孫娘も嬉しかったでしょう。私も嬉しかったです。
0255文字
七月
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美しく繊細な短編集だった。どの話も幸せになりきれない人を主人公にして、表現するのが難しい感情を書ききっているように思えた、何となく水彩画のよう。多分翻訳の人が相当頑張って原文の雰囲気を伝えたと思う。好きな話は「ブラウンシュガー・キャンディ」知らなかった祖母の恋人をきっかけに、慣れない異国で過ごした時を改めて思い返す。強く美しかった祖母だけど完璧ではなく、家族のために苦労していたと大人になって気付く。家族の都合で来たのに家族の中でさえ孤立していた中、出会った恋人。2人の孤独な人達が出会い、心を通わせるが
七月

家族の都合で別れてしまう。でも「私のもの」な美しい思い出を持てるのは幸せだったのでは、と祖母を改めて一人の女性として思い返すようになる。「アカシアの林、初めてのキス」少女時代だけの短い友達、自分とは全く違う評判はあまりよくない女の子との思い出。妊娠して退学した「評判通り」の女の子を決して安易な不幸な状況にせず、哀れな子として書かなかったところが好き。それにしても、プライドが高いのに素直になれない臆病な人の描写が本当に上手い。あとこの本の大体の女性主人公、自分は結構他人(特に家族の男)に対してあれこれ物申し

07/15 23:52
七月

てる人が多いけど、言われている方が自分と同じ行動をしたらぶちぎれそうな所が笑えた。繊細な人のめんどくささ(色々考えるが故に他人に結構厳しい)も上手く描写できてるのが凄い。

07/15 23:55
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Christena
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図書館でなんとなくタイトルに惹かれて借りた、韓国の短編集。どの作品も心の機微が繊細に描かれていて、少し切なくて、世界観に引き込まれました。手元に置いて繰り返し読みたい本。
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アン
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ネタバレ韓国で不安定な生活を送る夫婦が親交あるドイツ人夫妻にカンボジアのヴィラに招待される表題作。格差による将来への苛立ち、心の棘とすれ違い、癒えない哀しみと祈り。レオニーの純真な願いと差し込む光が美しい。フランスで一緒に暮らした頃の祖母の勇気と音楽に導かれる記憶の旅「ブラウンシュガー・キャンディ」。差別と孤独、ピアノの音色と角砂糖の塔。孫娘の祖母への想いは切なくもかけがえのない宝物のよう。この2編が好き。人々の心情の変化を繊細に掬い上げた短編集。「この世界を生き抜くうえで頼れるものは理解と愛」(著者あとがき)
ジュン

私もブラウンシュガーが一番好きでした。夏のヴィラはこの中で好きではあるんですが、主人公の夫がドイツ人にイライラする場面がありましたよね。あそこで物凄く胸が痛んだ。私もきっと無邪気に景色が美しくって思ってしまう側の人間だろうと思うから。水上の家に住まなければならない人達の気持ちを慮る事ができるのかわからないって思ってしまう。日本人観光客は押し並べて評判は悪い。知らず知らずのうちに現地の人を傷つけてないかな…と怖くなりました。夫が出てくる前までは、素敵だなぁと思って読んでましたが。

05/08 10:02
アン

ジュンさん、こんにちは。コメントをありがとうございます♡ジュンさんが仰るように、傷ついた心の痛みや埋められない溝など、人々の心の揺れが繊細に描かれていましたね。表題作のあの場面は私もよく覚えていて、ハッとし心が揺さぶられましたし、「ブラウンシュガー…」は甘やかな余韻に包まれる印象的な作品でした。韓国の作品はあまり読んでいないので、少しずつ読んでいきたなと。ご一緒出来て嬉しいです(*˘︶˘*)🌿

05/08 11:21
8件のコメントを全て見る
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天の川
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8つの短編は繊細で、心の琴線に触れる。特に好きだったのは「ブラウンシュガー・キャンディ」。孫達の世話をするために息子のパリへの転勤に同行した老女。気品と教養ある彼女は、孫達のために自分を犠牲にした。成長した孫達に必要とされなくなった彼女が遠い異国で出会ったピアノの音色。ピアノが弾きたい…ピアノの持ち主の老人との言葉の壁のある会話、心が少しずつ通う様。彼女は家族には黙して語らない。死後に残された日記の断片からの孫娘の想像。静かな映画を観ているように感じた。他の作品も悔恨や葛藤が細やかに描かれとても良い。
天の川

アンさん 今頃になってコメント下さっているのに気付きました💦💦💦そうなんですよね。想像だからこそ、静謐な美しい映像が眼前に浮かび上がってくる気がしました。来週あたりで仕事が落ち着いたら、色々な本を読みたいと思ってます!よろしくお願いします😊

07/04 15:48
アン

天の川さん、いえいえ、私も気がつかず遅くなってしまうことあるので、気になさらないでくださいね♡天の川さんとは翻訳本の共読が多く、お話できることが嬉しいので、こちらこそよろしくお願いします(*ˊ˘ˋ*)🍒

07/04 17:46
7件のコメントを全て見る
0255文字
みつ
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驚くべき作家との出会い。8つの短編を収める。いずれも主人公は、フランスやアメリカ等の異国を旅し、あるいは韓国内であっても明らかに住人の「階層」の違う地域に移り住み、「異世界」に対峙しながら成長してゆく。短編とはいえ、ある時点を切り取るという形式ではなく、長い時間の経過を辿り、重なり合う記憶を解きほぐしながら、新たな世界で出会った人たちとの関係がいかに変わっていったかが、静かに、しかし強い痛みを伴って綴られる。「ああ、こんなにも時が経っているのに、記憶はどうしてこれほどまでに生々しいのだろう。」(p157)
0255文字
星落秋風五丈原
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「時間の軌跡」 フランスの語学学校に通う私は、クラスにもう一人韓国人女性がいるのは知っていたが「韓国人とばかり付き合うのなら、わざわざ三十手前で会社を辞めてパリに来る必要などない」という思いから、敢えて声をかけなかった。ところが授業でシャンソンを聞いた日、オンニ(お姉さん)に声をかけられて親しくなる。異国で同国人に出会えば、家族や歴史観など共通点が多く、他の人達より親しくなるパターンが殆どだが、二人は出会って境遇を話し合った時が、最も心を打ち明け合ったピークになった。
0255文字
ヘラジカ
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一つ一つの作品が愛おしく感じる。収録作の全てにここまで心動かされた短篇集には、久しく出会えていなかったように思う。過ぎし日の思い出は、まるで自分自身が持っている遠い記憶のようだ。柔らかで繊細なのに優しさだけではなく僅かに刺すような痛みも覚える傑作ばかり。”選択すべきことがあると、その代価として未来を捧げなければならないとは知らなかった時代”に思いを馳せてしまった。どれも今年の短篇10選に入れたいくらいだが「時間の軌跡」「大雪」「ブラウンシュガー・キャンディ」、そして勿論「夏のヴィラ」が特に素晴らしかった。
ヘラジカ

2022年4月の新刊。あまり買わないシリーズだが気まぐれで購入して大正解だった。むしろこの本に出会えなかったかもしれないことを思うと恐ろしい。間違いなく今年のベスト本候補。

04/14 17:35
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夏のヴィラ (韓国女性文学シリーズ)評価100感想・レビュー38