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チベット幻想奇譚

感想・レビュー
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三谷銀屋
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日本昔話にも通じるような民話の牧歌的な趣と、現代のチベットの社会問題や歴史に繋がる背景が共存している。日本人にとって民話的な怪談や妖怪話は過ぎ去った過去の時代を象徴するフィクションだけれど、チベットの人々にとっては民間信仰の神や妖怪の存在は、今なお日常の一部となっていることが伺える。動物の視点が語られる「羊のひとりごと」「子猫の足跡」が可愛くて好きだけど、どちらも悲しい結末。人間社会の風刺になっているのかな。都市のごみとして捨てられた赤ちゃんを通して文明化を批判する色が強い「ごみ」も印象的だった。
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笹帽子
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ペマ・ツェテン「屍鬼物語・続」(星泉訳)、ツェワン・ナムジャ「ごみ」(星泉訳)、ランダ「一脚鬼カント」(三浦順子)がよかった。
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noznoz
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ヒマールを隔てた反対側(ネパール・ムスタン)でチベット仏教には触れたことがあって、チベットは行ったことがないけどお寺とか地域とかは勝手に想像しながら読んだ。中国の手が入ってからは、ずいぶん変わってしまったのだろうけれど、閉ざされた地域では自然界の不思議な出来事はお化けの仕業になってしまうのだろうし、お化けがいても不思議ではない雰囲気もする。幻想的で楽しかった。
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文旦飴
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ネタバレなんだこれ、めちゃ面白い。まだ3篇を読んだところだが、どれも読後感がとても良い。『三代の夢』は文中でカメオ的に出てきた『百年の孤独』のまんまミニチュア版といった感じで、拡声器から流れるアジア大会のテーマソングと共に物語が掻き消える様がマコンドの終焉とそっくり。 『ごみ』「それはまるで羊の第三胃のような細かいひだをなしている」喩えられている方のものの様子をあべこべに知ることってあるよね。
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8123
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因習の裏にある合理性、生き辛さの緩和剤としての異世界話、個人糾弾を吸収するバッファとしての幽鬼譚。屁理屈こねれば色んな見方はできるけど、チベット人は日向ぼっこが好きという他愛もないエピにほっこり。屍鬼物語の説話フォーマットがユニークなので機会があったら触れてみたい。
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じょうこ
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短編13話収録。チベット人が小説表現を始めたのは1980年代以降とまえがきにある。どの話も、確かに「幻想」的であり、現代小説とは思えないほど、土と風と月、鬼と霊を感じるお話ばかりなのだ。SNSもスマホも出てこない。電気がどこにも感じられない小説ばかり。日本の現代小説とは大違い。ある意味、本書を読んでいる間は魂が落ち着き、今この時、この地から離れられる。私は「ごみ」(ツェワン・ナムジャ)がいちばんお気に入り。とても映像的、チベットの風景が見えてくる。
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おはぎとぼたもち
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土地神の残響、革命の嵐、物質経済の予感/三代の夢死者の書長編で読みたい。ごみ太陽と人間が最も近いこの街で“人間まで捨てるなら、もはや捨てられないものなんてない”赤いおくるみと愛おしそうに抱き上げる人を待ち望む男の姿が胸の小石のように痛む。
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とらやん
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たとえば魔物や怨霊等と言った物は、現実生活での見えない物を見えるようにする技術の一つかもしれない。犯罪者に対して、魔物がついたと言うことで、個人に責任を押しつけ、社会から排除するのを防いでいる。そして除霊や付きものを落とすという行為で、再生のチャンスを与え共同体のなかでの軋轢を解消させる。魔物はそんな社会的システムの一つなのかもしれない。なるほどなあ。現代チベット作家たちのアンソロジーである。
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timeturner
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土地神、ケサル王、一脚鬼などチベット人が語り継いできたお化け話や伝承民話を現代作家が語り直した幻想譚アンソロジー。ラサ郊外のゴミの山の話は観光で賑わう町の暗部をくっきり見せて恐ろしい。未知の地域なのでわからないことが多いのだが、解説がとても参考になった。
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凛風(積ん読消化中)
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チベットは、多分、馴染みのないアジア筆頭だと思う。中国との関係でニュースでは取り上げられるけれど、人々の暮らしがどんなものなのか、ピンと来ない。そんなチベットの普通の小説も読んだことがないのに、いきなりの「幻想奇談」です。想像と違って、かなり現実的な内容が多かった。「幻想」のイメージは妖しく幽かだけれど、もっとリアルで騒々しい。邪気とか悪魔とか生まれ変わりとか。貧富の差や、都会と地方の格差が激しくて、なかなかにハードな日常が描かれる。訳者が3人なので、翻訳の差も激しかったかな。
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翠埜もぐら
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「幻想奇譚」と言うことで期待していたのですが、ちょっと理不尽な小説と言う感じでスカっと肩透かしでした。あとがきに「怪談を娯楽にしてきた日本」と比べ「魔物をよりリアルに恐ろしい存在として意識しているチベット」では怪談は成立しえないとか。確かに「バーチャル」は楽しめるけど「リアル」は「楽しみ」にはならないなぁ。そんな中で「赤髪の怨霊」はリアルを逆手に取って行者をやり込めて、コメディ風味で後味さわやか。他の作品と少し違って楽しかったです。ところで10人の作家さんたちの中に一人も女性がいないのはなんでだろう?
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ayano
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ネタバレチベットのお化けの話、をテーマに現代の作家さんが書いた短い話がいくつも。それぞれ味わいがあっておもしろかった。もちろんバッドエンドのもあって「世の中甘くない」って感じ(主張)も残るが。作者なのか訳者の力なのかわからないが、なじみないチベット名などでてきててもどれも読みやすい。強いて好みをあげるなら、ゴミの話が、確かに主人公がいいやつで、ゴミの山もなんだか爽やかに描写されているが、だからこそ悲しいかな街の人々。
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sigel
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どこか民話的なものもあり、幻想より怪奇ぽいのもあり後味が悪く期待したが自分好みでは無かった。
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ねこにゃん@しばらくつぶ少なめ
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チベット現代作家の作品集。不思議な読み心地だが、期待していた内容ではなかった。怪談の様でそうでもなく、話はいつの間にやら別方向へ。現実取から非現実またはその後逆だったりする。チベットの魔物など古くからの言い伝えや信仰、仏教感、死生観がちりばめられている。「ごみ」はちょっと考えてしまう話だった。まあ、身勝手だったり欲に目が眩む人間が一番怖かったりするのですが…
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nozomu
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チベット現代作家による13編の短編集。漫画家蔵西さん装画の表紙が美しい。チベットの怨霊らが自然に生活に馴染む『赤髪の怨霊』『屍鬼物語·銃』には、人間と鬼が共存する日本昔話のような風情を感じ、復讐心の顛末が気になる『人殺し』や乳児遺棄に対する人々の無慈悲さを描いた『ごみ』には、人間の恐ろしさを感じた。『犬になった男』や『羊のひとりごと』は輪廻転生が前提にある文化ならではの作品で、強欲な者は来世で報われない。一方、閻魔大王が匙を投げるほどに腐敗した現世を描く『閻魔への訴え』には妙に共感。作品背景の解説も丁寧。
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ハルト
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読了:◎ チベット文学の怪異幻想譚。どこか民話的素朴さがある。根底にチベット仏教の帰依が見てとれたりもして、興味深い。悪く云うと説教臭さに繋がるけれど、それが味にもなっていると思う。チベット人たちがこういった物語を好むのだと、身近に思えておもしろい。掌編が多かったのが読みやすかったけれど、短編サイズの話も読んでみたいなと思った。一編一編に解説がついてる親切仕様。
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やご
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チベットの現代作家10人13作からなる短編集です。チベット文学は初めて。『幻想奇譚』という題と表紙絵のイメージから、ファンタジックな物語が中心かと思いましたが、そうでもありませんでした。本作の解説にもあるように、むしろマジック・リアリズム的な作風のお話が多いです。表現や話の展開が荒削りという感じを受けるものが多い一方で、その分骨太でちまちまとした技巧に頼らない、なんというか、ゴツゴツとした手ごたえがありました。(続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1301.htm
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ワッピー
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読み友さんの感想から。チベット自治区出身の作家のアンソロジー。幻想というタイトルには意味深なニュアンスがあるようにも感じられるが、チベットで好まれる古来からのお化け話をバックボーンに、現代生活に生きる人たちの状況を写し取っています。敵を探す男「人殺し」、ユーモラスな「カタカタカタ」、神の血筋「三代の夢」、迷信と若者「赤髪の怨霊」、古典の続編「屍鬼物語・銃」、かなり意味深な「閻魔への訴え」、金持ちの転生譚「犬になった男」、シュールな「羊のひとりごと」、新体制の下で「1987年の雨合羽」、  ⇒
ワッピー

インチキ行者「神降ろしは悪魔憑き」、チベットのネコ「子猫の足跡」、重い拾いもの「ごみ」、辺境の村々と中央体制「一脚鬼カント」を収録。「人殺し」「ごみ」「一脚鬼カント」は名編です。伝統的な生活から現代の経済に移行する中できしむ社会構造や人間関係がみごとに描かれています。そしてユーモラスな状況の中にも変容が歓迎すべきものとは限らないというささやきが秘められているようにも感じられます。

06/17 20:58
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Hide
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チベット現代作家による不思議な物語のセレクション。幻想小説、説話ベースっぽいもの、ラテンアメリカのマジックリアリズムっぽいもの、そう言う系統の作品
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モツ焼き天国
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チベット現地の文化をもっと知ってるほうがいいんだろうな、と思いながら読みました。三章に分かれた構成のうち、二章の民話寄りの語りが好みでした。
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春風
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民話伝説集のようなものではなくチベット現代作家のアンソロジー。チベットには怪奇小説の伝統はないようで、いわゆる幻想怪奇小説と思って読むと肩透かしを食らう。たわいない作品や説教臭い作品もあるけれど、仏教や伝統が現代社会と地続きになったチベット人の考え方が垣間見られてなかなか面白い。
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いすけ
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書店でふと目にした蔵西さんの美しい表紙に魅了され、チベットのお話の世界に足を踏み入れる幸運な人もいるのじゃないかと思う素敵な装丁。 幻想奇譚と銘打って入るものの、なんちゅーか非常に現実的なチベットのお話のようにわたしには思えました。古い伝統を維持してきた旧来の社会に突如として侵入してくる資本主義。グローバリゼーションの中で世界中で経験されてきた物語がチベット風味をまとって語られます。 おもしろーい!チベット社会を知るにももってこい!何通りかうがった読み方もできるし!ですが単にお話としてめっちゃ楽しめます。
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