読書メーター KADOKAWA Group

セロトニン (河出文庫 タ 6-5)

感想・レビュー
62

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
KN
新着
たしか仙台のヤマト屋書店で購入。近々「好きな作家は?」という質問にウエルベックを挙げていた先輩と会う機会があるので『素粒子』に続いて読んでみた。「セロトニン」というタイトルがニクい。数々の女性のエピソードとともに、恋慕やら懐古やら後悔やらのナイーブな感情が滔々と語られていくが、ひとたびそこにホルモンの次元を持ちだしたとたん、単なる分泌活動の結果に集約されてしまう。豊かな感情が単純なメカニズムに回収されるあっけなさ、しょうもなさを楽しみながら読み終えた。
0255文字
中村
新着
“特に強度のあるセックスは、個人的かつ直接に自らの身体器官を危険に晒す唯一の時間であり、愛の融合が生じるためにはセックスを通ることが欠かさず、セックス抜きには何も起こらない、残りのあらゆることは、通常はそこからゆっくりと生じるのだ”(p. 72)/“愛はある種二人で見る夢のようなもので[……]愛がぼくたちの現世での存在を耐えられるものにしてくれる、本当のことを言えば、それしか手段はないのだ”(p. 166)/これまでのように欲望のさまざまなバージョンを提示するというよりはその(愚かな)帰結を見せてくれた。
0255文字
そうだね
新着
世の中にはこんな人がいるのかと思った 面白かったです!鬱の理由がはっきりわかるのは意外だった
そうだね

人間は未来ではなく過去に殺される←了解

01/21 01:55
0255文字
たー
新着
今年も新年にふさわしくな(?)本から始めてしまった(苦笑)はっきり言って面白くないが、これがフランスなどで支持されているとすると、ヨーロッパ社会も閉塞感に満ちた雰囲気なのだろうか?
0255文字
庭の中心
新着
今まで読んだウェルベック作品の中で一番陰鬱な印象を受けた あと服従、素粒子みたいな作品と比べると全然面白くない
0255文字
ハスス
新着
ウェルベックらしいと言うか、個人的にはウェルベックの世界に対してのどん詰まり感が1番感じられる作品だった。ありえたかもしれない過去の未練を引きずって、埋め合わせるために奔走して、結局世界に対して、自分に対しての幻滅を増大させることになる。世界が向かう個人主義とウェルベックの求める愛と言うものが決して両立するものでは無いということなのだろうか?読んでて八方塞がりな感覚に囚われてげんなりする。誰しも、果たされることの無いあの時のブラウンヘアーと同じ絶望の種を持っている。
0255文字
酩酊睡眠薬
新着
めちゃめちゃ面白かったけどキツすぎて2度と読みたくない。この作家がフランス(をはじめ世界中)で読まれているというのは、なんとなく日本人が抱くヨーロッパ(海外)像とは違う世界があることを示唆していそう。今まで読んだウエルベック作品の中で初めて日本人が出てきたけど、ウエルベックは日本人に、日本にどういう印象を持ってるんでしょうね?
0255文字
黄菜
新着
『ある島の可能性』が好きだったから読んだが、ある島のと可能性と雰囲気もテーマも似すぎている。良かったけど……
0255文字
りんご
新着
生きる目標が見いだせないのはセロトニンが分泌されないだけなのか?hikikomoriが自由の名の元に生み出されていくのか?最後の「どうもそうらしい」がすごく意味深
0255文字
ふみや
新着
過去の恋人達の回想が中心の物語となりますが、特にカミーユという女性に関する描写が美しく、主人公が本当は別れた後も愛情を抱き続けていたことに向き合う場面が切なく感動的でした。「彼女と幸福な人生を送る可能性を当時は持っていたのだ」と思う主人公の姿は、カズオ・イシグロさんの『日の名残り』に似た鮮烈な印象を与えてくれました。特有の過激で挑発的な内容が散見されつつも、美しく輝く繊細な文章や、現代社会や人間の本質に迫る洞察的視点や問題提起があることが著者の作品の魅力であると、比較的静かな物語の中で再認識できました。
0255文字
ひで
新着
ネタバレとても面白かった。現実の絶望さが直に伝わってきました。正直前半部分はフランスの描写であったり農業の話が出てくるが、自身が知識を全然持っていなかったため、読解の解像度が低くなったのが勿体なかった。しかし主人公の親友が自殺した辺りから急激に面白くなって、続きが気になって堪らなかった。この世界は徹頭徹尾、競争で農業においてもそうなんだと読んでいて悲しくなった。また人は終始セックスに尽きるということを主人公が結論付けていて、大変共感すると共に虚しさも同時に訪れました。著者の他の作品も読みたすぎると思いました!
ひで

主人公がテレビで食番組が多いのを、口唇期に退化してしまったみたいなことを言っていた所も面白かった。

04/26 23:30
0255文字
し
新着
セロトニン、精神を安定させるというホルモンの名前が題。主人公は大手化学メーカーに勤めていたが向き合った世界の複雑性ゆえか人生に絶望し、蒸発者となり、精神科医に薬を処方され、いわゆる不能状態にある。解説には、フランス社会の実態を映し出した「社会学的文学」との呼び名があったが、それに相応しいと思う。また主人公の語りは、過去に関係をもった女性や友達との記憶が殆ど。記憶にしかすがることができなくなった人生を投薬によって、セロトニンを増幅させることで取り戻すことは可能なのかという問いかけともなっているように思う。
0255文字
Kom
新着
年を重ねてから読むと、なんか身につまされるものがある。
0255文字
Y田
新着
ネタバレ● 『闘争領域〜』からのテーマに対して、これは一つの結論なのかなと感じる。大きく感じるのは、これまで殆ど唯一?の"救い"だった「性的快楽」すら無くなっている事。もはや頼みにするのは「過去」。時間は止まっており、心身共に死を待つのみ。全てここに極まれり、そんな感情がぐるぐる。今回、「愛、幸福」について多く語られるのも興味深い。ここまでは「結局性的快楽でしょ!」っていうとこに収束する印象だったので。解説でも言われてるけど、この後の作品で何が語られるのか大変気になる。更なる終着点はあるのか。
Y田

◆「人を殺すのは、未来ではなく、過去なのだ、あなたを差し貫き、蝕み、しまいには殺してしまう」 もはや頼みは過去のみ😑  ◆ 「セックスがあれば、何事も解決できるが、セックスがなければ、何一つうまくいかないのだ。」 幸福に際して性的関係は避けて通れないのはわかる。はっきり言ういつもの感じ😅 ◆解説より「個人主義の行き着く先には、誰にとっても救いがないと思わされてしまうのが、ウェルベックの小説の妙だと言えるでしょう。」 それな😅っていうね。全く同感です🤔 "リア充"も存在はしてる筈だかんね!

04/09 17:39
0255文字
yt
新着
乳輪のとこクソ滑ってたな、カミーユ、カアイソウカアイソウ
0255文字
文化
新着
ウエルベックはもはや(太宰と同じく)嫌いな作家のうちの1人になってしまった 現実を前にした我々はあまりにも無力であり、人生の結論は孤独と絶望に満ちた避けられない死であることは間違いない しかし、それでも我々は現実と向き合わなければならないし、文学はその目的のために存在するのだと私は信じたい
0255文字
Saito
新着
いつもの憂鬱な中年男が主人公だが今回はより絶望的な感じなので鬱な人が読むとかなりマズい。自嘲気味に放たれるナチュラルな女性蔑視と人種差別的発言は皮肉の効いたメタジョークに見えるうちは乾いた笑いも起きるが終盤はもううわぁ…という感じに。過去の女とのあり得たかもしれない幸せという妄執に囚われて破滅という筋書きは客観的にはしょうもないことが主観的にはとんでもないどん詰まりであり、一方で世界はどんどん終わっていき、そんな人達が終焉に積極的に加担したり、消極的に加担したりするような流れに関連づけられていく。
Saito

「女性は娼婦だと捉えられるかもしれないが、でも職業人の生活はもっと著しい娼婦で、あなたには何の快楽も与えないのだ。」 こういうグルーヴで全編書かれているのでネットユーザー的には相性が良いかもしれないが皮肉を解せない人が読むと悪い方に取り込まれて終わりそう。

10/02 01:55
0255文字
おにぎり
新着
ネタバレ恋人ユズの人生に自分の不在を認めると全ての痕跡を消し立ち去ったフロラン。そこから昔の親友を訪ねたり恋人たちのことを振り返ったりしながら自分の居るべき場所を求め、いつしか過去に追い詰められていく。時代の終焉と人生がシンクロする。射精できなくなった主人公が射撃の練習を始めるのが暗示的。社会や人との繋がりが望めなくなった時、自分は存在しない、けれど抗鬱剤の作用で死なずにはいる。言うと何だけどその感覚けっこう解る。ただただ陰鬱で悲惨な話にもなりうるのにコミカルに感じるのはウエルベックの作風の切なくて好きなところ。
おにぎり

乳牛を愛でるフロランがなんだかいじらしい。

02/09 19:51
0255文字
ゆうすけ
新着
ネタバレおいおい主人公子供殺すとか正気か?とツッコミながら読んでました。そこはやめてくれと思いながらドキドキして読みました。主人公が酪農家の家に世話になる辺りからが面白かったです。あとがきにもありましたが本当に救いがない話でした。ウエルベックは刊行順に読んできましたが後は『滅ぼす』だけになりました。『闘争領域の拡大』を読んだ時の衝撃を他の作品でも味わいたくてウエルベックを読んでます。3/5
0255文字
mada
新着
去年の終わりから元旦にかけて読んだ本なのだが、終盤でプルーストとトーマス・マンに対して長めの言及があり、去年の俺はこの二人の作品にかなり時間を使っていたので、期せずして2023年の総決算の感があり良かった。 主人公のフロラインはこの二人の名前を出しながら「彼らは結局、知性などより若く可愛い女性と過ごすことが大切だと気づいたのだ(それは僕もそうだ)」ということを言うのだが、『素粒子』のブリュノなどと比べて(そういえば彼も二人に同時に言及していた)彼が愛した女性には明らかに知性が(職業的な視点から見て)ある
0255文字
あ
新着
ネタバレちょっとした共通点があり、主人公と自分を重ねつつ読んでいた。主人公は差別的・利己的で孤独な人間。元カノに会いに行ったりするべきじゃなかった。もっと他人のために生きればよかったのに。カミーユの子供に銃口を向けるシーンにはぞっとした、たしかに合理性はあるが恐ろしい発想。あと日本人女性が獣プレイ好きと思われませんように。
0255文字
Ryu
新着
孤独と老いと絶望について書いてある。どう考えても明るい内容ではないが、妙に読みやすいのは、文章が正確で丁寧だからだろう。露悪的でもなく、しっかりとフェアに書いてある。しかしだからこそ、書いてあることが沁み入ってくる。普通は元気なくなるだろう。しかし僕は元気。なぜなら今現在僕は孤独ではないからだ。深刻に孤独だったときのことを思い出しながら読んだ。また同じような時は来るから、その時また読みたい。
0255文字
豚肉
新着
「黄色いベスト運動」を予見したなどとも言われているようですが、それはそれとして、フランスのインテリ左翼の陰鬱さが見事です。 理想に囚われたり、ナチュラルに権力に反発し、でも性欲が一大関心事であり。 良くも悪くも、日本だと肌で感じにくい思考回路であって、だからこそ、こういう文学に触れることは楽しく重要なのだと思います。
0255文字
Joe
新着
“一般的に言って、男たちは生活の仕方を知らない、彼らは人生と真の親和性を持てず、真に心からくつろぐことがなく、人により多かれ少なかれ素晴らしかったり野心的だったりする様々な人生の夢を追い求め、それはだいたい水泡に帰し、ただ、よりよく生きることに集中するべきだったと結論付けるのだが、一般にその時にはもう遅すぎるのだ。"
0255文字
十文字
新着
前作『服従』ではフランスでのテロ事件が予言されていると言われ、今作でも政府に対する抗議行動(黄色いベスト運動など)が予言されたいるのではと言われているという。でも、自分が読んだ感じでは、農業に従事している引きこもりの主人公が蒸発した後の悲しい末路、というところ。ここ最近のウエルベックの作風。
0255文字
川原 健太郎
新着
2023-7/3
0255文字
渡辺 孝宏
新着
セックスは多いが不幸な男の物語はもはや著者のお家芸だが、その不動な芯があるからこそ細部に現代の様相を記録した描写が残り、新刊を読みたくなるのがこの作家の魅力。苦労を知らない日本女が誰とでも犬とでも寝る怪物のように書かれていたり、スノッブ趣味の高学歴男が小児性愛者だったことを暴く場面はグロテスクな笑いを誘うし、エリート農学生が主人公の友人と元彼女の2人出てくるが、ともに農業の現実に絶望し農技師キャリアを捨てて自分の理想の自然との関わりを追求する姿、破滅的な結末。農家に自殺者が多い理由がわかる。
0255文字
_suimin_oysm
新着
露悪的な村上春樹みたいだった。私は主人公とは全然違う属性だけど作品を包む穏やかな絶望に驚くほど親近感を感じる。
0255文字
 いんきゃ犬
新着
思想のために命をかける人間がいる。しかし、彼らは死を選ばず、幸福な立場から思想を叫ぶ。 そのために失われた農夫たちの命。彼らは思想の犠牲者であるのだ。
0255文字
ふみふみ
新着
ペシミストでニヒリストな中年男性が主人公の自滅回想録で私小説的な色合いが濃く、読んでてなんだか太宰治と村上春樹を合体させたような印象を持ちました。著者のスタイルはこの主人公キャラに時事問題、社会批判を交えて物語が進むのですが、本書は後者の部分がグローバリズムに潰されていくフランス酪農家のエピソードぐらいしかなく、感情移入できるのもその箇所のみといった具合です。翻訳は素晴らしいのですが、解説は翻訳者の思い込み、誘導が散見されるので要注意。
0255文字
ヤベ
新着
主人公の客観性と理想性を併せ持っていることが主人公をただ生きることに安住させない。名前と外見の雰囲気の不一致からそれは始まる。語る自己を独立させながら自己について客観的に語りたい本書の形そのものが矛盾に見える。恋愛は外部に客観性を内部に理想性を置く行いだったが主人公はそれを自ずと壊してしまった。その失敗録の写真を年代記的に貼り付けるのは自己の2つの要素の唯一の釣り合うところだったかも知れないと思った。
0255文字
ヤベ
新着
自己のルーツの証明がテーマと思った。自己の尊厳と愛の優先のために自殺した両親のために一度ルーツが絶たれている主人公は、各人との過去の関係の中=記録写真の中にルーツを再確立する。現代のサービス業をフル活用して用意したひきこもり部屋的なついの住処で、記録写真=主人公の全経験をそのまま壁に張り出して自己の人生とする主人公の発想は、自己に矛盾を突きつけ続けた「現代」を矛盾のまま受け入れて自己の一部にする点で自己放棄にも克己的にも見えて興味深かった。
0255文字
ナリツカ
新着
村上春樹からスノビズムを剥ぎ取って代わりに大江健三郎の露悪的な性描写と厭世感を詰め込んだみたいな小説で、去勢されきった独身中年の主人公は浮世離れした村上小説のそれよりもはるかにリアリティがあるように思える。大江は自身の時代を「遍在する自殺の機会に見張られながら生きていかざるを得ない」と形容したが、仕事・政治・性といったものが仮初めのエネルギーをもたらすことすら無くなった現代は「自殺の機会に見張られて生きることもままならない」とでも言えよう。
0255文字
cyuyo
新着
ネタバレ財産をある程度持っていて時間もある「ぼく」は現状に疲労し抗鬱剤を飲む状況に陥り、今の愛人との関係を清算し、隠遁生活に入る。その中で過去の愛人との関係を回復しようと試みるがうまくいかない。現代の中年男の孤独をよく描いていて身につまされる。貧乏で働き尽くしの方がましに思えてくる。
0255文字
ray
新着
ものすごく偏っているように感じるけど、案外これがど真ん中なのかもしれない。偏見と傲慢さと性欲と。 太宰の斜陽を思い出した。 フランス人にとって日本ってなんなんだろうな、とも。
0255文字
Anemone
新着
正直、今の時点ではやっと読み終えたーって読後感。主人公の思い描く西欧白人男性ヘテロセクシャルの理想の幸福像というのが掠りもしなかったので。セロトニンもだけれどコルチゾール値にも注意。タイトルや装丁は好み。
0255文字
YM
新着
人間と神の関係について考えさせられた
0255文字
かもすぱ
新着
ウエルベック7冊目。抑鬱状態のフランス人中年男性が、彼女に嫌気がさして仕事を辞めて家を引き払って、仮住まいのホテルを転々とする。抗鬱剤を飲みながら暮らし、元カノの記憶を反芻する。作品中の要所要所で登場人物の社会階級とかポジションを意識させていて、主人公はアッパーミドルと自称しつつかなり上流階級。ウエルベックの作品で頻出の情熱の減退がテーマだが、登場人物はかなり行き詰まっている。元カノの話より酪農を継いだ男友達のエムリックの話の方が面白いなと思ってたら、こんな結末になっちゃった。抑鬱描写に妙あり。
0255文字
植岡藍
新着
状況や心情に差はあれど、おそらく現代の日本でもこの物語に共感する人は多くいるだろうと思う。友人は少なく、恋人や夢や希望もない、ソフトな絶望と共に日々を暮らすことについて。小説ではもちろん状況は分かりやすく限定されていくがここに描かれていることは他人事ではないと感じた。積極的に死ぬほどの絶望はないけれど、積極的に生きたいという希望もない。本書の作中に救いはないけれど、ある姿を俯瞰で見られることに意義や救いがあるかもしれない。
0255文字
全62件中 1-40 件を表示
セロトニン (河出文庫 タ 6-5)評価61感想・レビュー62