分類して）、将来イヌに起こりうる変化、どれもできるだけ研究者の論を参照しながらわかりやすく論じていて面白かった。 最も良かったのは、それが単にどうなるんでしょうね〜で終わらなかったこと。 人間がいなくなることの、イヌにとってのメリットとデメリットを浮かび上がらせ、じゃあ今人間がイヌの幸福のためにどうすればいいのか、というところまで持っていったのは素晴らしい。 イヌと暮らす人、イヌが大好きな人には読んでほしい…イヌのために人間＝自分は不要、あるいは有害だと考えることは辛いけれど、絶対に必要なことだ。

ショッキングなエピソードが紹介されている。「予防的殺処分」というものだ。「もし核爆弾が落とされるとわかっていたら、そして痛みや恐怖なしにイヌの命を奪う手段があるとしたら、爆弾が落下してくる前にその命を奪い、愛するペットが苦しまないようにしてやりたい、と考えることはないだろうか。」実際に「第二次世界大戦中、敵による爆撃が避けられないと考えたイギリス政府はその事前準備として、ペットのイヌやネコを『処分場』に連れてくるよう国民に呼びかけ、何十万ものペットが事前に安楽死させられた」という。この理屈が通るなら、

自分の親兄弟、わが子も安楽死させていいのではないだろうか。動物虐待の本場イギリスは一転して動物愛護に奔ってイカれてしまったのだ。