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捏造と欺瞞の世界史 上:創作された「歴史」をめぐる30の物語

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subabai
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歴史は勝者の歴史とはよく言ったもので、時の支配者はこれだけ凄かったんだぞと権威づけるために今で言う“盛った”話を書いている。そして書かれた時期は書いている内容よりも後になるため、設定をミスる、史実とズレる等が発生し、信用をなくす。 それでも当時の市民への権威付けとしては十分なものであっただろう。 世界史をあまり知らないので、事実とここが違うを列挙されるだけのように感じあまり楽しめなかった。日本の天皇に対する信仰についてと最後の福音書はある程度楽しめた。多分下は読まない。
0255文字
金吾
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時代が時代ですので、そもそも伝えられている話が事実と思う人はあまりいないとおもいますので捏造と欺瞞は言い過ぎかなと感じます。「ローマ皇帝の神格化」「日本の天皇崇拝」「伝説のローマ建国」「救世主の物語」は面白かったです。
0255文字
佐倉
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語られる歴史が偽物であるからといって、それが影響を持たないことを意味しない。今日において考古学的な証拠とは相容れなかったり、描かれた時点で物語だったりするものが国家や人々の支配やアイデンティティに大きく関わるケースは多くある。そうした『力の物語』と科学的な証拠を付き合わせた時、むしろ事実を上回る物語の力強さに畏怖すら感じる。上巻では先史に存在した物語の原型と、歴史時代以降に物語がいかに醸成されていくかを検証する。例えばギルガメシュ王は実在しなかったかも知れないがレバノン杉の伐採は大きな発展をもたらした。
佐倉

ソロモン王の神殿は実在しなかったが、ユダヤ人にとってバビロン捕囚という屈辱の時代に人々を纏めあげた理想の物語だった。ラーマ・ヤーナは物語だが東南アジアの王権に大きな影響をもたらしたし、『アエネーイス』というイリアスとオデュッセイアの二次創作はローマ人の共通の歴史 に大きな影響をもたらしている。なにより凄いのは旧約/新約両方の聖書についての記述。イスラエル王国もモーセの脱出も、イエス・キリストの存在すらも同時代の資料には全く存在しないという。聖書に書かれているだけの物語が人類に大きな影響をもたらしてきた。

04/22 23:00
佐倉

死海文書や当時の記録史料などを付き合わせた時、イエス・キリストは紀元以降には存在せず、紀元前1世紀にいたクムラン教団のメシア・義の教師の伝説が原型となって成立した物語なのではないか、という説は本当だとしたら凄すぎる。キリスト教徒でない人間の多くも「流石に奇跡とか復活はしてないだろう」とは思っても実在までは疑わない。そういう人が西暦元年以降に産まれて布教した、ということは事実だと思っている。しかしそれすら後年に成立した物語だとしたら?この物語という認知のフレームの強固さに畏怖と感嘆を覚えずにはいられない。

04/22 23:09
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