形式:その他
出版社:NHK出版
ジャンヌ・ダルクの「歴史」はその死とともに終わらず、アイコンとしてフランス人の記憶に刻み込まれ、諸党派が政争の具としてジャンヌを自分のものにしようと。「フランスの国家が危うくなると偉大な英雄が奇跡をもたらす」と自己を正当化したい皇帝ナポレオンによる復権。また、共和主義者にとって国王に見捨てられ教会に殺された者として、カトリック勢力にとって宗教的信念に準じた者として、王党派にとってフランス国王のため身を捧げた者として、シンボルとして担ぎ出された。1920年聖女として列聖。
あと驚いたことに、実はジャンヌの目的は「フランスを対英戦において勝利に導くこと」ではなかったらしい。”じつはジャンヌは、フランスとイギリスが和睦すれば自分は十字軍遠征に旅立ってエルサレムで死ねると夢見ていました。ポワティエで書かれたベッドフォード港に書かれたジャンヌの手紙は、(中略)あっぱれなこと(十字軍)をするのにイギリス人も協力できますよ、と書いています。(中略)つまりジャンヌは、世界週末を迎えるために聖地回復の十字軍を呼び掛けていたのであり、彼女の使命はたんなる対英戦ではなかったのです(P86)。
長くなるのであとはメモ。ジャンヌが生存している時代から聖人なみの存在としてあがめられた理由は、P92-94 に記載。「教会のインテリ聖職者」ではない者にこそ聖性を認めるメンタリティは、現代アメリカに残る「(本来的な)反知性主義」に通じるものがあると思った。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます