形式:単行本
出版社:新評論
なるのは、1日12時間超の稼動と献身、一個人ではなく人種や性別や見た目といった属性で個性を丸められる日々。成功者の甘い蜜を吸える一方で雇用契約書すら結ばれない社会的なヒエラルキー… この一方的過ぎないアンビバレントな搾取は富豪の自らに対する正当性(恵まれない人を雇ってあげている自分は素晴らしいといった具合)を強めていそう。 そもそもこの現代で、自分を支配するのが自分ではない時点で疑問に思うべきだった。別にWin-Winなんじゃ?と甘い考えで読み始めたが自分に人権についての素養がないことを痛感。面白かった。
使用人は富豪の私的な部分と強固に結びつき、富豪から「家族」と甘い言葉を囁かれながらも、富豪と一緒のテーブルで食事をすることはなく、衣服は地味なものに制限され、中には富豪の女主人から女装を強制され、加えてトイレに行くことを禁止されてオムツ着用を義務付けられた奴隷のような例も紹介されていた。労働契約が無いので年中24時間戦えますか状態に置かれ、富豪の税務申告の控除ネタにも使われてしまう。一生面倒を見ると言われるが、いつ気まぐれに解雇されるかもしれない、安定した「不安定さ」の上に使用人たちはいる。
翻って、わが日本。レジ打ち、介護現場の労働力に外国人を雇ってサービスの不足を補っている。著者は「生活に不可欠な作業から逃れて、貧者、移民、女性にそれを押し付けることを目指す社会とは、いかなる意味を持つのか。」と問い、「家事やケア労働を行う人々を犠牲にすることなく、需要がサービスへと移行する社会の条件を考えなければならない。」としている。一方でそうなると「家庭の意味合い」もシビアに問われそうで、一度とことん議論したら良いのかもしれないが、課題を分解するばかりの西欧的な価値観の限界を見たようにも思った。
くさてるさんのレビューがきっかけで本書を読みました。華やかな世界との落差が激しくてびっくりしました。読んで良かったです。ありがとうございました😊
ほんとに衝撃的な内容でしたよね。わたしも読んでよかったと思っている本なので、読書のきっかけとなったと知れて嬉しいです、ありがとうございました😊
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