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古代中国王朝史の誕生 ――歴史はどう記述されてきたか (ちくま新書 1771)

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河イルカ
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ネタバレ中国の歴史書の嚆矢である史記や春秋左氏伝で既に完全されていた、中国の歴史にこだわる姿勢、その成立の道筋を追う本。 伝統的な伝世資料と新しい出土資料を同列に扱う様は中々スリリングだった。伝統が形づくられた時点にさかのぼるのだから当然と言えば当然なのだが。
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胡麻 伯光
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甲骨文、金文、竹簡といった出土資料から史記に至るまでの中華の歴史叙述の発展を丁寧に解説した本。 史記が孤立した天才が生み出した突然変異ではなく、博学な学者が編んだ先学の労の集大成であることが良く分かる。 事実と「歴史認識」の違いも繰り返し分かり易く解説されているので、カー「歴史とは何か」の東洋史版の役割も果たせそう。
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takao
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ふむ
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眉毛ごもら
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史記に至るまでの中国の歴史書について。春秋やら戦国策や史記真面目読みたいなぁ、という気持ちとお前そもそも論語すらガッツリ読んどらんではないかという気持ちがせめぎ合う。とりあえずちくまの史記は探してみようかな…。史記とかに記載されてるのが甲骨文字として発掘や発見されるのすごい。微妙に内容が違うのを類推したり。まだ未解読の物もたくさんあるようなので今後が楽しみであるがタイムマシン欲しいなぁ。失われた書物が現役だった時代に行って読みたいなぁというのは歴史好き(文献重視派)の永遠の夢ではなかろうかと思った次第。
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Satsuki
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古代史のサブ自体と言うより、各文献がどう作られたかや文献自体の分析が主で、自分には知識不足で消化不良だった。書籍と呼べるものの誕生は戦国時代。書籍にある過去の歴史の記述は、その著者や書かれた当時の歴史観を反映という本書著者の含意は当然そうだろう。諸子百家の著作もそうで、また『史記』では始皇帝批判にかこつけた漢武帝批判。秦の焚書坑儒は実際にはそこまででもなく、前者は平常時の書籍散逸までそのせいにされ、後者は儒者への弾圧ではなく方士の詐術への懲罰だった可能性。
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Teo
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内容自体は良かった。中国の歴史記述はいつ頃からどうやって始まったのか。春秋はどう言う方向性で書かれたのか。史記はどうだったのか。非常に興味深く、あ、これって詩経や書経読みたくなるじゃないか、買わなくちゃとまで思う内容。
Teo

そこは良い。大変良い。なのにたまに著者の余計な思想が文に混じって来る。例えばP192「暴君の存在が..政治の劣化が叫ばれる昨今の我が国の状況」など、トランプの登場による米国内対立や中国の習近平の強権やプーチンのウクライナ侵略とは比較にもならないのに引き合いにだす。

03/01 21:23
Teo

そして最後のあとがきで「諸国の民、日本の海洋を汚染するを難ずるの年、十月末日」と大事紀年の如く書いてるが発行年から言って中朝の処理水批判の事だろうが諸国の民とは全くのお笑い草だ。著者は研究以外の余計な事は書かないでよろしい。

03/01 21:23
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Decoy
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中国における「歴史の記録」の起源を殷代まで遡り、中国人の歴史認識・歴史観・歴史叙述を探る、意欲的な書。やや専門的で、基礎知識に欠ける当方にとっては「??」というところも多かったが、全体の構成と文章が巧みで、最後まで興味深く読めた。記録することへの執念はもちろんあるが、それよりも、中国人も「どう残したいか・伝えたいか」なのね…。『史記』に挑戦したくなる。
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ちり
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『戦争の中国古代史』は“外部”との接触(戦争)を通して「中国」というアイデンティティが形成されていく過程について、いわば同時代的な横の繋がりから発生したものについての本で、本作で主題となっている歴史記述というのは、自ら過去を現在と未来に向けて書く、いわば内向きに縦の関係性を意識した営為についての本、という感じだろうか。最後、元号が発生した経緯についての説明があり、そこから現代日本の年号の在り方や存在意義についての意見もたいへん腑に落ちた。
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Go Extreme
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記録のはじまり──殷代/甲骨文 卜辞 西周~春秋時代:金文 製作縁起→記録文書 史官 定型表現 正統性を示す六師 天命を受ける諸侯 受命の独占の崩壊 神話なき国の叙事詩 感生説話 農耕と定住 戦国時代:説話で 諸子 『春秋』 改変される説話 歴史から教訓・道理を読み取る 孔子・孟子・墨子・韓非の歴史観 五行相勝説 秦~前漢時代:統一帝国成立 帛書と簡牘 焚書坑儒 『史記』 経書→史書 司馬遷の構想 発憤著書 始皇帝の出生譚・遺言 大事紀年→年号へ 大事紀年→年代記 年号の誕生 年号と歴史的評価
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よっち
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現代にも通じる歴史書と評価される司馬遷『史記』の執筆には、記録され伝えられた蓄積があった。出土史料を繙きながら、記録への執念や歴史観の興りをたどる一冊。甲骨文字や記す竹簡などの記録メディア、国王の治世や暦等を根拠にした年号の成立。権力者の歴史認識と思想を汲む編者の存在も取り上げながら、西周から春秋戦国時代を同時代資料から見た金文、後代の文献としての詩経や史記、諸子百家が生まれた戦国時代の説話から語られる歴史、そして統一国家成立から焚書と紙の誕生から史記の編纂に繋がっていったのかなかなか興味深かったですね。
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曲月斎
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甲骨文、金石文、木簡・竹簡。古代の中国王朝では数々の記録が残されてきた。史記に至る史書・史料の意図を読み解いていく1冊。散逸した記録への言及も面白い。四書五経の1冊「春秋」も左氏伝・穀梁伝・公羊伝が注釈書として残るが、違い、意味するところの分析も初学の人間にも分かりやすく説く。飛ばし読みが得意ながら、読み飛ばすには惜しい本。ほぼ1カ月かけて読んだ。史記の司馬遷についても、暦を担当する太史令で太初暦の制定に関わった来歴、史記の文言の裏側が興味深い。「歴史は勝者が作る」という言葉が将に当てはまることを示す。
曲月斎

いやぁ。この一文を書くためには時間が必要な1冊でした。まとまっていない感想なのは百も承知ですが。

02/03 01:39
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電羊齋
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甲骨文、金文、竹簡など出土文献、ならびに伝世文献から探る古代中国における歴史認識と歴史観の様相が興味深い。本書では、歴史認識と歴史観の時代と立場による変化を例に挙げ、歴史と(それを記録し、解釈し、記述する)人間は常に変化し、動いているということが示されている。さらにそこから現在の政治や社会に対する問題意識から過去の事象を議論する、あるいは過去の事象から現在の問題を見出す意識の萌芽を見いだしている。このあたりは著者も引用するE・H・カー『歴史とは何か』での指摘と相通じていて、非常に面白かった。
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放伐
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古代中国史の最新の研究動向が新書で把握できるという点で卓越した仕事であると思う。あくまで「歴史観」「歴史認識」に絞って論じているので網羅的というわけではないかもしれないが、新書としては十分すぎるくらいであり、横山光輝『史記』や宮城谷昌光の小説、十八史略等で古代中国史に親しんできた人ならば驚きの連続で楽しく読めるはず。反面、まったくの初学者は伝世文献に由来する伝統的な(そして説話多めの)古代中国史像をある程度知ってから読んだ方がいいかもしれない。
放伐

補足:網羅的でないかもしれないというのは、近年発見された出土文献・史料の研究成果をこれ一冊で全てカバーできるわけではない、ということです

01/20 16:35
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へくとぱすかる
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歴史書は単にできごとを記録するだけでなく、事象をどう捉えるかという著者・編者の見方が込められる。長らく伝世資料に依存して研究されてきた古代史も、考古学の進展にともない、出土資料によって修正されていく。それが現在では、まるで写真のフィルターをかけかえるほどの感触の違いを感じる。イメージの変身である。著者は出土資料とはいえ歴史的真実ではなく、当時の歴史認識・歴史観を表すものだと指摘している。祖先が王に封建されたと言っても、当時そういう建前で国を成立させていたことを記録したということ。注意すべき点だと思う。
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