形式:文庫
出版社:岩波書店
形式:その他
出版社:情報なし
理解のために、積読になっている、『ケストナーの戦争日記』(岩波書店)を読まねば。
私もシーラッハ作品から入りました。難しいとされているドイツ語からの日本語訳において、深い知識を背景にした酒寄氏による分かりやすい翻訳はとても親しみが持てます。
蘭奢待様、ドイツ文学はあまり読んでいませんで、これからの課題ですが、シーラッハはほぼ全部既読で愉しませていただいております。
大統領の替え玉はみんな一般市民であり番号で呼ばれている。ラジオ放送を利用してあたかも大統領の演説と歓喜する群衆が存在するよう演出されている。また、録音されたものを使っているので反対の叫びも放送時には国民に届かないなど、発想が豊かで楽しい。笑えるコメディではないのだが親しみやすいところは、児童文学作家の持ち味かもしれない。
メディアの発達=政治家と直接相対することがない。ギリシャのポリスでの相対演説と違い、彼我の距離は遠く、断片的に加工され尽くしたた本人としか触れられない。世界は複雑になり、言葉の検証もやれず、その場その場を流し聞きにするだけになっている。我々民衆は政治家(或いは、有名人)をどう評価すればいいか。テレビに映る岸田首相を見ながら、一体この男は誰なのだ?何なのだ?この笑顔はなんなのだ?といちいち不思議、不気味な気持ちになる。
後は、話の本筋自体に最後躓いて混乱している。「7号の最後の言葉は何なのだ?」。3つの可能性。1.死んだと思われた7号は生きていて声をあげている。(監察医が7号を生かしている)→前書きで明確にクーデータは2回と書いている。7号は厳密には政権取得取っていないとすると、2回目は首都防衛司令官政権の転覆か?。2.7号は死んでいる。独裁者の演説時に声が記録され、(誤って?意図的に?)削除されずに録音が誤って再生されている。3.幽霊の声。或いは心の残響。故に首都防衛司令、少佐にも聞こえない。・・・うーむ。
少し長めなのはこちら・・・https://www.honzuki.jp/book/322589/review/301667/
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます