読書メーター KADOKAWA Group

独裁者の学校 (岩波文庫 赤471-3)

感想・レビュー
29

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
Gorikell
新着
ネタバレこの作者の作品だと『飛ぶ教室』しか知らなかったが、こんな戯曲も手掛けていたとは。また、内容が皮肉に満ちている。独裁者を除くという大義名分のもと起こったクーデターや革命は、紆余曲折ののち、その大義名分が有名無実となり、君主や高官の権力濫用への道を進む。このような転帰をたどった例は、歴史を紐解けば枚挙に暇がない。最後の七号の弱弱しい怒りの声は、悲しく響く。どうして彼が抱くような潔白な大義は、やがて空しく響くだけになってしまうのだろうか。
0255文字
ののまる
新着
痛烈な皮肉。いまもどっかの国でやってそう。
0255文字
バルジ
新着
ナチ体制を生き延びたエーリヒ・ケストナーの皮肉と諷刺に満ちた戯曲。当時はナチ体制をモデルとしていたが、現在ではプーチンが最も本書の「独裁者」に近いであろう。演説は録音、歓声も録音。独裁体制に安住する一部高官と反体制派リーダーの「崇高」な精神の姿が極めて対照的。結果独裁体制の打倒は新たな独裁体制の招来に過ぎないが、この点も現在までに起きたクーデターの結末を驚く程いい当てている。文学作品として読むことも出来るが、むしろ政治学的な読みをするとより一層政治体制の「深奥」を覗くことができるであろう。
0255文字
ぜぶら
新着
ネタバレえ?え?最後がよくわからんかった…これは消さなきゃいけなかった部分が残っていたってこと??ぱっと読んだだけではよくわからない…いずれ再読しよう。ケストナーといえば、児童文学のイメージだったのだけれど、映画『ファビアン』を見て、もともと反政治(当時なので反ナチ)の人だったと知ってびっくりしたのだった。彼は、母親を見捨てることができずに、亡命はせずにドイツ国内に留まるが、その間反ナチの言質と取られるものは全て封印している。政権は疑いながらも、彼が有名作家であるために手が出せなかったのだ。この作品は戦後のもの。
ぜぶら

理解のために、積読になっている、『ケストナーの戦争日記』(岩波書店)を読まねば。

10/20 20:09
0255文字
Kano Ts
新着
戯曲とは知らず。でも面白いです。ケストナーはこの話の中に皮肉・風刺をたっぷり入れ込んだと解説に書いてありましたが。それは初見でも感じられるはずです。明らかにヒトラー・ナチスの治世を意識して書かれています。脚本として書かれているので、映像的に想像しやすいというのは、ともすれば難しく感じる外国文学において、翻訳された文章を読む側としてはメリットなのではないでしょうか。個人的には(戯曲に慣れ親しんでいないこともあり)映画のようにすら感じられました。
0255文字
馬咲
新着
替えがきく部品のように番号で呼称されながら訓練されている、故・独裁者の影武者達。本作の独裁体制は、実は独裁者すら「生きるも死ぬも国家次第」な、取り巻きの徒党が裏で操る利益分配システムとして描かれている。前書きや「悲劇は時代遅れ」等の作中の言葉通り、終始喜劇的な調子のなかで支配者達の軽薄さが際立つ。録音とラジオ放送によって作り出される、喝采と行動が表裏一体の支配者像、逆に消去される謀反人の訴え。悲劇は抜き差しならない現実を見据えながらの葛藤を必要とするが、独裁体制とその仕掛人達の世界には確かに無用の長物だ。
0255文字
a
新着
ネタバレ生きてる人が死んでいて、死んでいる人が生きてる。
0255文字
tomo6980
新着
ネタバレいきなり恩赦を口にしたり、クーデターを企てたり、外見がそっくりになるよう教育された独裁者たちの方が(まあ、本文にもあったけど「独裁者の集団」ってギャグでしかない)なかなか個性的。彼らを根本的に洗脳して、という話にならないのがケストナーの資質なのだろう。そんなことは思いもつかないか、思いついても書くことができなそう。
0255文字
アトレーユ
新着
政治がテーマの風刺戯曲。これ、舞台でみたらおもしろいだろうなぁ…! 同じ顔、同じ背丈、体重までも管理されてる替え玉養成…からのクーデター…でも…という流れからは、人間の持つ欲望も見え、利己/利他って何なんだろうなぁ…と考えさせられた。
0255文字
Tommy
新着
意外に面白かった。ここから引き出すべき教えは「公平とか正義とか言ってる政治家もどうせ同じ穴のムジナで行動しても何も変わらない」とかの冷笑ではなくて、「どんな権力も腐敗するので特定の政治家に過剰な期待をせずに淡々と政権交代を繰り返すのが良い」だ。全てを一撃でひっくり返してくれる救世主を求めるのはもう良い加減やめましょう。
0255文字
拡がる読書会@大阪
新着
ナチス時代を生き抜いたエーリヒ・ケストナーによるナチスへの皮肉となる戯曲作品。 暗殺された大統領の替え玉を養成する「独裁者の学校」。 厳格で洗脳的な教育を受ける少年たちの生活を描き、次々を独裁者を入れ替えていくことで大臣たちは彼らを使い回して権力の座に居座ろうとしますが、思わぬ政変が起き・・・ https://note.com/sharebookworld/n/n880873515fbb
0255文字
hisa
新着
ケストナー初読。『飛ぶ教室』を読んだこともないのに本書を手に取るのは、どうなんだろう。この本を読むと、独裁者はなるものではなく人為的に作られるものであり、裏で動かしている者がいるということが皮肉を込めて描かれている。ヒトラーとナチスの時代を経験しているからこそ、このような作品が書けたのだろう。読み終わった後に何とも言えない怖さを覚える作品だったが、「あの人たちがなにもかもひっくり返したって―――女がいなけりゃ、やっていけないわ!」という作中の女性の台詞に世界の真実と希望を感じた。
0255文字
やっぱ本好きだわ
新着
クーデターの技術は技術のクーデターを覚悟しなければならない。 確かに古びることはないな。
0255文字
蘭奢待
新着
飛ぶ教室のケストナーがこういう作品も描く人であったことを知った。戦中ドイツを風刺した戯曲。独裁者の影武者を養成する学校と、独裁政治を倒すことを計画する反政府勢力。登場人物の思惑が複雑に交差していく。訳は酒寄進一氏。氏による優れた解説に理解を助けられた。
蘭奢待

私もシーラッハ作品から入りました。難しいとされているドイツ語からの日本語訳において、深い知識を背景にした酒寄氏による分かりやすい翻訳はとても親しみが持てます。

05/07 12:31
mitu

蘭奢待様、ドイツ文学はあまり読んでいませんで、これからの課題ですが、シーラッハはほぼ全部既読で愉しませていただいております。

05/07 12:39
3件のコメントを全て見る
0255文字
小魚小骨
新着
ケストナーが戯曲を書いているなんて!しかもこんな政治的な…!『飛ぶ教室』始め児童書は大好きだったが、ケストナーのことを何も知らなかった。解説を読んで色々と納得。若い頃から演劇好きとのこと。替え玉達は似過ぎていていたら観客は混乱、似ていないと話が成り立たない。塩梅が難しそう。上演観てみたいな。
0255文字
小波
新着
たまたま書店に平積みになっていて購入。ものすごい面白い。…と言って良いのか?と思うくらいに独裁者への痛烈な風刺が現実の凄惨な歴史を思い起こさせる。独裁者というハリボテに操られる市民と、そのハリボテの黒幕。考えさせられる一冊。読み物としてもストーリーがハラハラして面白かったです。
0255文字
Saeko
新着
なんだよ、いまも昔も、セイジカって、同じじゃないか
0255文字
まどの一哉
新着
知らなかったが児童文学作家として有名なケストナーは劇作家としても数々の仕事をしていて、短いながらも着想が面白く予想がつかない。ヒトラーとナチズムを風刺しているのだが、直接的なパロディではないので薄っぺらなものではないし、政権逆転して民主化されるはずが裏切りにより変質してしまう展開も手がこんでいる。
まどの一哉

大統領の替え玉はみんな一般市民であり番号で呼ばれている。ラジオ放送を利用してあたかも大統領の演説と歓喜する群衆が存在するよう演出されている。また、録音されたものを使っているので反対の叫びも放送時には国民に届かないなど、発想が豊かで楽しい。笑えるコメディではないのだが親しみやすいところは、児童文学作家の持ち味かもしれない。

04/16 20:35
0255文字
特盛
新着
評価3.3/5。飛ぶ教室のE・ケストナーによる大人向け戯曲。最近岩波で出版、図書館で偶然手にとる。本作では独裁者は既に殺されており、そっくりさんが既に大統領にすげ変わっている世界。替え玉の為の養成学校が物語の中心。前書きで、いきなり作者は作品のネタバレをする。謀反人は独裁政権の場繋ぎでしかない、という独裁政権のメカニズムを描くという。典型的なクーデターのメカニズム、現代でのメディア(ラジオ)の拡散力と弱点なども。薄くてすらすら読めるが、不思議と考える事は沢山出てきた。
特盛

メディアの発達=政治家と直接相対することがない。ギリシャのポリスでの相対演説と違い、彼我の距離は遠く、断片的に加工され尽くしたた本人としか触れられない。世界は複雑になり、言葉の検証もやれず、その場その場を流し聞きにするだけになっている。我々民衆は政治家(或いは、有名人)をどう評価すればいいか。テレビに映る岸田首相を見ながら、一体この男は誰なのだ?何なのだ?この笑顔はなんなのだ?といちいち不思議、不気味な気持ちになる。

04/13 11:01
特盛

後は、話の本筋自体に最後躓いて混乱している。「7号の最後の言葉は何なのだ?」。3つの可能性。1.死んだと思われた7号は生きていて声をあげている。(監察医が7号を生かしている)→前書きで明確にクーデータは2回と書いている。7号は厳密には政権取得取っていないとすると、2回目は首都防衛司令官政権の転覆か?。2.7号は死んでいる。独裁者の演説時に声が記録され、(誤って?意図的に?)削除されずに録音が誤って再生されている。3.幽霊の声。或いは心の残響。故に首都防衛司令、少佐にも聞こえない。・・・うーむ。

04/13 11:12
0255文字
藤月はな(灯れ松明の火)
新着
ケストナーは戯曲として暴き出す。自由を掴むための革命の本質が取って代われ、独裁政治が何故、続くのかを。大統領のモデルはヒトラーだが、彼に似ている替え玉も実は少しずつ、違うのだ。最も罪深い、担ぎ上げた者達は御咎めなしなのが、歴史を振り返るとラストが余計に遣る瀬無くなってしまう。現在も続いているからこそ、変化を望まなくなった理由を示すような苦い皮肉が込められた本書にミシェル・フランコ監督の『ニューオーダー』を重ねながらも読了。
0255文字
nightowl
新着
強権政治の国において独裁者が斃されれば良い訳ではなく、取り巻く人々を何とかしなければと痛烈に批判した戯曲。しかも終始コミカルで笑えるように仕上げており、立ち止まって考えると背筋が寒くなる。暗めの手塚治虫漫画に印象が近い。演出家により雰囲気の変わる舞台でも、観客へ想像の余地を残す為最低限終盤手前辺りまでは喜劇調にすることは忘れずにいてもらいたい。
0255文字
茅野
新着
面白くて一気読み。風刺が効いていてシンプルにめちゃくちゃ面白かった! これは是非とも舞台で観たいぞ。 著者や背景を知らなくても、ヒトラーが背景・モデルとなっていることは明白だけど、残念ながら、独裁者は現代にもいるので、古さを感じず楽しめる。新訳で読み易いし、とてもよかった。
0255文字
ホームズ
新着
暗殺された大統領の替え玉を養成する「独裁者の学校」。 大臣たちは彼らを使い回して権力の座に居座ろうとするが、そこに思わぬ政変が起きる…。
0255文字
ひでお
新着
飛ぶ教室など児童文学で知られるケストナーの戯曲。はっきりとナチス批判を意識した風刺の効いた作品です。ドンデン返しも含め仕掛けが満載ですが、ナチス時代を生き抜いたケストナーの独裁者告発状でもあるのでしょう。児童文学とはまた違った信念の強さが伝わる作品でした。
0255文字
新田新一
新着
ケストナーの傑作戯曲!暗殺された大統領の替え玉を作り出す学校があるという設定が、絶妙です。しかも、その学校には何人もの替え玉がいます。よく見ると一人一人の容姿に違いがあるのですが、パッと見ただけでは分かりません。彼らは取り巻きの権力維持のために利用されます。荒唐無稽な設定に思えますが、実際のところ現代の大統領も、これと似たところがあると思います。特に某大国の大統領とか。飛び切り苦い結末が心に刺さります。ここに作者の一抹の希望が託されている、と思いたいです。
0255文字
Ise Tsuyoshi
新着
ネタバレ「血なまぐさく、道化然とした独裁者は気高い心から発する謀反によって排除される。そのあと、この謀反人も殺害され、またぞろ独裁政権が樹立される。謀反人は独裁政権にとって場つなぎでしかない」(まえがきより)。
0255文字
ジュリアン
新着
パーッと読んだだけでは著者がこの劇に、人物に何を仮託したのかわかりにくかった。独裁者とはカリスマ的な個人ではなく、それを象徴に担ぎ上げる連中こそが悪の根源ということか。要再読。
0255文字
ムーミン2号
新着
ケストナー、独裁者 とくれば描かれる対象はヒトラーか! というところだが、出版が1956年であって、その人物のみがターゲットというわけではなくなっている。独裁政権の変てこりんなメカニズムを描きだすことに重きが置かれており、それはすなわち人間の「業」でもあるようだ。国家に限らず、また大小問わず、会社組織でも起こりかねない政変の成否に、快哉を叫べないどころか臍を噛む思いをする。後味はよろしくないが、これも組織の「業」なのかも知れない。となれば、本作の価値も・・・。あー、やだやだ。
0255文字
全29件中 1-29 件を表示
独裁者の学校 (岩波文庫 赤471-3)評価70感想・レビュー29