形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:方丈社
その後、火山も噴火したし、ますます…。
⇒縦(上下)方向の造山運動で横(水平)方向はなかった。そんな時、海外の学術誌で「プレートテクトニクス」に出会い目が覚める思いをした。しかし当時の日本の大学ではその言葉は禁句であった。海洋底拡大説から始まった、この理論はその後、70年代にはプレートテクトニクスとして世界中の研究者に支持されていった。日本の地質学界では地団研という団体を中心に根強い反対が続き、10年以上遅れて80年代になって受け入れられてきた。この間の経緯については泊次郎著『プレートテクトニクスの拒絶と受容』(東大出版会)という著書に詳しい。
ともかくプレート説では地震過程のエネルギー収支をきちんと説明できないが、熱移送説であれば「エネルギー保存則」にも反しない。1回の地震の発生に必要な熱量が移送されると、温度上昇→岩盤中に含まれる水の液体圧上昇→岩盤全体の体積膨張→高温体が大きく膨らむことで岩石が変形・破壊という過程が進行し、それぞれの過程でエネルギーの収支は計算可能なのだ。
学会では極めて突飛な説を唱えて浮いた存在なのか、周囲の学者からその後のデータ提供を止められているようだし、このあたり門外漢は静かに見守るしかなさそう。本書の後半はあまり目新しい話ではなかったが、特に前半のプレート説否定論は、詳しく知る機会がなかっただけに新鮮ではあった。著者らは南海トラフ地震のような超巨大地震はそう簡単には起きないだろうと言っているのであって、地震そのものを否定しているわけではない。
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その後、火山も噴火したし、ますます…。