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増補 日本霊異記の世界 (角川ソフィア文庫)

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にしの
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ネタバレ日本霊異記に対して全く無知な状態から通読することができた。仏教の道徳観・生死観を教える説話の広がりと律令制度の確立、民衆間での経済的格差など、八世紀の日本において生まれた様々な要素を元に、霊異記が成立していることがわかる。現代の感覚でもグロテスクな話だったりショッキングな話があり、当時の農村生活に紛れもなくあっただろう人々の醜悪さや負の面を思い浮かべた。勧善懲悪という論理の不毛さを感じつつ読む。行基のエピソードに垣間見られるような、当時の仏教の「危険な新興宗教的側面」ももっと知りたかった。
0255文字
禿童子
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『古事記』の三浦先生が『霊異記』も講じるのを楽しく読ませて頂いた。連載が元になっているということもあって、現代の世相にも近いものが奈良朝の庶民にも感じられて新鮮な読みごこち。日本に伝来した仏教が一般に広がる過程で、因果応報や殺生禁止などの「心優しい日本人」の原型になるものが形成されたと強調されている。また律令制の導入により母系社会が父系社会に変わることによって母子関係の断絶が生じた説話は他人事とも思えない切実さを感じた。下ネタ(吉祥天女感応の話)にかなり紙幅を割いているのは読者サービス?お茶目な先生(笑)
0255文字
Ohe Hiroyuki
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9世紀前半に、正式名「日本国現報善悪霊異記」という本が編纂された。タイトルに「~の世界」とあるように、本書は、「日本霊異記」を用いて、著者が語りたいことを語られているのであり、「日本霊異記」の中身を事細かく触れるものではない。▼もっとも、「一寸法師」や「浦島太郎」など誰もが知っているおとぎ話の原点が本書にあるということを知るだけでも、本書に触れる価値はあるであろう。
0255文字
さとうしん
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記紀神話と『今昔物語集』など中世説話をつなぐ存在として『日本霊異記』を読み解く。一連の動物報恩譚から、動物の恩返しを語る説話が日本人の心の優しさを示すというような言説を否定し、そういったものが現れてくるのは仏教の伝来や流布によるものであると再三にわたって論じている。また、討債鬼説話など、中国の説話の影響を受けたものも結構存在するようだ。『今昔物語集』なんかと比べると影が薄い文献だが、手軽な形での訳本が読みたくなってくる。
さとうしん

実のところこの人の神話本は首を捻りながら読むことが多かったのだが、これに関してはおおむね首肯できる議論が展開されていた。

09/07 21:31
0255文字
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