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王朝序曲 (下) 誰か言う「千家花ならぬはなし」と――藤原冬嗣の生涯 (朝日文庫)

感想・レビュー
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NORI
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永井路子・平安王朝三部作の一。下巻。 誰を担ぎ上げるのか。担ぎ上げた方がどれだけの権勢を振るうのか。藤原の南家・式家に主導権を握られていた当時、冬嗣が、時の運も味方にして紙一重の権力闘争を勝ち抜く。 平安時代の出世頭の花形"蔵人頭"成立の物語など興味深いエピソードを交えながら、これがやがて道長へと通じる藤原氏北家時代の幕開けの序曲だと思うと胸熱。 クライマックスでもある嵯峨vs平城(いわゆる薬子の変)が思いの外あっさり片付いてしまったのが若干残念だが、濃厚なストーリーを丁寧な人物描写と併せて楽しめた。
0255文字
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
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上巻から続いてやっと冬嗣の役割が。もともと賀美能〈嵯峨〉について良かったな。御殿〈平城〉はだめだな。薬子を離したはずなのに太上天皇だからって口をだしすぎたな。本当に二人は愛だったのだろうか。〈薬子の変〉で真夏が動いたらちがったのうだろうか。蔵人頭で官職のイメージが変わったな。
0255文字
本のロマンス
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桓武・平城帝以前の、ライバルを誅殺して権力を掌握する、そんな強権独裁から決別し、文治主義なる平安朝の基礎を築く・・かかる嵯峨天皇と藤原冬嗣の功績が描かれ、興味深くかつ共感大でした。そんな中、人間と社会の本質に迫る台詞が多出し、作品に深みも感じました。例えば、✰真剣な苦悩のないところに、真の宗教的な探究は生れない。✰温裕、弘雅は、その下に、白刃以上のすさまじさを秘める。✰事件というものは人の心を裸にする。✰どんなことでも、その気になれば人を陥れる道具にはなる。✰死に臨んだ人間にはある凄さのようなものがある。
本のロマンス

冬嗣の漢詩の「一県千家花ならぬはなし 」との句は、穏やかな世の到来の象徴するものに思えます。やがて生まれる、中宮定子や彰子の文化サロンは、その最も華やかな花なのでしょう。その花と平穏が、民衆の津々浦々にまで拡がることを望みたいものです。

11/27 12:55
本のロマンス

主役の嵯峨天皇・藤原冬嗣のほか、脇役陣も桓武・平城帝に藤原薬子、坂上田村麻呂に、遣唐大使の藤原葛野麻呂、さらには最澄・空海・・・など個性派の大者ぞろいで、その言動や心情が生き生きと活写されており、大河ドラマを観るかのような興趣と興奮を感じましたよ。

11/27 12:55
0255文字
がらくたどん
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世は大王桓武から父を超えたいガムシャラ平城帝へと世代を移し本拠地も長岡だ京都だいやいやまたしても奈良か?と畿内をフラフラ、天皇も都も彷徨う平安の初期。長い部屋住みを終え官僚として政治の面白さに目覚めた冬嗣は仕える先を政務の中心に居る父さえも「目はないぞ」と評する平城帝の弟賀美能に決める。天性のお人好しで関心は歌舞音曲と綺麗なオネエサンのみ。このシンボルの神髄みたいな皇子と「他人の輝きの照りかえしで金色に輝いても意味がない」が身上の天才能吏の化学結合が「強き王」が牽引してきた律令国家を想わぬ形に変えていく。
こり

桓武天皇のフラフラ振り…あれっ!でしたよね。歴史に詳しいがらくたどんさんの解釈はさすが。冬嗣と道長の異なる点にも、ふむふむです。リベンジが成ってのご感想もお待ちしています。

10/17 11:44
がらくたどん

こりさんのお陰でここまではかなり楽しく読めました♪ほんとにありがとうございます。それにしても、あの強気の桓武帝があそこまで崩れた豆腐みたいになるとはね(´Д`)天変地異まで自分の責任って重すぎますね。今風の作家さんに慣れてしまったので「女性にもっとスポットライトを!」とどうしても感じてしまうなかでの熟女パワー炸裂の「薬子」の突出具合が印象的でした♪次は北家のアイドル三郎ちゃんを年上のお姉さまファンが推しまくる話ですよね(笑)歳を経た今なら楽しめるかも?リベンジ頑張ります!

10/17 12:15
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0255文字
こり
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[2-2] 下巻は嵯峨天皇のあれこれ。政治より文化に功績があったことや、大勢になり過ぎた子女が源氏のルーツだったことなど。そして冬嗣は左大臣となり、息子・良房が臣籍に下った皇女を妻にするなど繁栄の兆しが。他に遣唐使としての葛野麻呂、最澄・空海も。 著者の付記では『王朝序曲』のきっかけや、長岡京の新解釈などが興味深いです。 とはいえ登場人物が複雑で歴史に詳しい人向け。特に終盤は『この世をば』にはあまり影響がなさそうなので読み飛ばすことに。なかなか疲れました。
がらくたどん

読みました~♪政治の駆け引きが楽しくって楽しくっての天性の政務官僚冬嗣君の爆走人生でしたね( *´艸`)「付記」は確かにちょっと面白さがヒトを選ぶかも。私はそんなに長岡京周辺を歩いた事がないので「へ~♪」程度の浅い驚きしか得られず残念でした。それにしても冬嗣はともかく小野石子とか、史料の隙間からよく見つけられますよね。作家さんの取材力ってほんとに凄いな~と思いました。ご一緒できて嬉しかったです♪

10/16 13:01
0255文字
coldsurgeon
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桓武平城嵯峨天皇の三代にわたり、下級官吏から最高位の官僚に上り詰め、その後の藤原氏の栄華の基礎を気づいた藤原冬嗣の一代記。政策を自ら考案実行へと行動した桓武平城の2代と嵯峨天皇の政治姿勢が、対極にあり面白い。権威と権力が分割されながらも密着していく政治形態は、この時代に生まれ、冬嗣が生み出していく。冬嗣は、嵯峨天皇を実質的な政治から遊離させ、令外官としての蔵人所を創設し、律令社会を換骨奪胎しながら、国家の経済的基盤の改革を進めた。その後の平安朝は、独裁的な王権ではなく、貴族らの能吏たちの時代だった。
0255文字
源義
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徳政相論、桓武崩御、そして薬子の変。物語はクライマックスを迎える。徳政相論の裏に桓武と緒嗣の暗黙の約束を読み、内侍の薬子が平城京に行ってしまった人員不足を逆手にとって利用したのが蔵人頭と位置付ける解釈はさすがの一言。父内麻呂やライバル緒嗣の意志も語って欲しいと思う傍ら、あくまでも冬嗣の目から見た「何考えてるのかよくわからない両者」と括ることで、真夏と冬嗣という2人が際立つ。言葉の裏を読み合う男達、さり気なく現実的に社会を変えていく冬嗣。若き日にこの本から受けた影響は計り知れない。少し当時を思い出した。
0255文字
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王朝序曲 (下) 誰か言う「千家花ならぬはなし」と――藤原冬嗣の生涯 (朝日文庫)評価82感想・レビュー7