読書メーター KADOKAWA Group

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no.ma
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ネタバレ昨年泉下の人となったポール・オースターは、とてつもない本を遺してくれていました。二段組み800ページ、異様な小説の構造。多数の登場人物とエピソードが、人の表と裏をひっくり返します。そして、この世界は現実なのか、それとも精神の投影にすぎないのか、幸福とは何か人生とは何か、自問することになります。気晴らしや娯楽を超えて、本と格闘する価値のある傑作。ポール・オースターは、比喩ではなく、視点ゼロから創造の神となりました。
no.ma

初めの一か月、ファーガソンはこのキャンプにいて自分がどれだけ幸福か一度も考えなかった。やっていることに没頭しきっていて、立ちどまって自分の気持ちをふり返ったりはしなかった。いまに浸るあまり、その向こうやうしろが見えず、カウンセラーのハーヴィーがスポーツを上手くやるコツについて遣った言葉どおり、その瞬間に生きていた。おそらくこれが幸福というものの真の定義である。自分が幸福だとも知らず、いまを生きる以外何も考えないこと。(p.97)

02/26 08:56
no.ma

あなたの本!出たのね!ハワードの描いたカバーの絵をシーリアは見下ろし、マリガンの姿の上にそっと指を滑らせ、中の謄写版ページをつかのまパラパラめくって、それから、不可解にも本をバサッと床に落とした。どうしてそんなことするんだ?あなたにキスしたいから。(p.672)

02/26 08:56
0255文字
ハルト
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ネタバレ読了:◎ 自己分裂型青春群像劇とでも云おうか。一人の人物の四つの人生が語られる。それでも最初は???となりながら読んでいて、仕掛けがわかった時の驚きは素晴らしい快感があった。主人公とその周囲の人物たちが役割を変え、主人公もまた生き方を変える。▼1960年代米国の若者らしい青春時代。文学、映画、音楽、セックスに溺れる思春期を謳歌しながらも、戦争が薄っすらと暗い影を落とす。それでもまだ米国の栄光を享受出来ていた年代で、世界は眩しい。米国の一時代を切り取った、充実の読み応えありまくりな一冊だった。
0255文字
おだまん
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鈍器本ということで心して読み始めましたがファーガソンの人生に引き込まれあれよあれよと、そして。。ファーガソンの若き日の成長譚。成功したしないに関わらず人は歳を重ねるとこの頃の分岐点について考えるものなのだろうか。オースターの人生と伴走したような体験をさせていただきました。訳者共々ありがとう。
0255文字
anotherlifetime
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ネタバレこれは。 あらすじもあとがきも読むことなく、いきなり読み始め、最初は意味がわからず一体どうなってるの?と戸惑いながら、意図するところに気付けばあとは物語に流されるだけ。 そして最終章で壮大なる伏線の回収(と言うべきか)。 人生があの時選ばなかった方に進んで行ったら、ということはだれでも考えることはあると思うが、それを同一人物の別の人生として描いてみせ、さらにはそれすらも作品の筋としてラストに吸収していく完璧な物語よ‥
0255文字
isbm
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★★★☆
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GO-FEET
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ネタバレ《私の知る限り、この形式で小説を書いた人は誰もいない。》(ポール・オースター) 《小説とは多くの場合、誰かの人生を書くものだ。そしてその誰かがどんな人であれ、人生とは一回きりだ。 (中略)  でも、誰かについてありえたかもしれない4種類の人生を全部リアルに書くことはできないか? そんな離れ業をやって見せたのが、ポール・オースターの『4321』なのだ。》(小野正嗣) ◆26字詰め✕23行✕2段組の約800頁という大部ながら、なんとも滑らかな語り口で非常に読みやすいことこの上なし。柴田先生お疲れ様でした。
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Reading Monster
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最初は戸惑いますが読んでいるうちに物語の進み方、構造が分かってきて、戸惑いは消えていきます。時間は一方向へ進みますが、多層的かもしれません。一人ひとりには歴史を変える力はなくても、人生には無限の選択肢があるのかもしれません。ふと、青春時代の分かれ道と、違った未来を想像してしまいました。 長いですが、ちょうどコロナに罹病したことで比較的短時間で読めました。
0255文字
AZレメディオス@読メ再開
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ネタバレ4つの少しずつ違った人生の青春譚。本人の選択だったり、運命の悪戯だったり。あたかも弦楽四重奏の様にハーモニーを奏でてアーチーの物語は進む。それぞれの結末だって、ちょっと何かが違えば、まだ続いたかもしれない…。読み終えるのが惜しい。またいつか、今度は4、3、2、1それぞれの人生を追って読んでみたい。
AZレメディオス@読メ再開

ペンギンパパさんありがとう!図書館本で無ければ、多分漬け物石になってたと思うわ。お正月休みを挟んでいたので、3週間貸してくれたの。でも残り半分はこの3連休缶詰めで読み切ったんだけどね〜🤣

01/13 17:33
AZレメディオス@読メ再開

オースターが昨年亡くなっていたのを知らないで読んだ。遺作にもう一冊あるらしいが、帯に集大成とある。70代での執筆らしいがなんという瑞々しさだろう。この作品で永遠の青年の命を得たのではないか…。合掌

01/13 17:47
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Taku Kawaguchi
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ポールオースターが亡くなられたことを知りませでした。この本はいつ柴田先生が訳してくださるのか、楽しみにしていました。紀伊国屋で見つけて購入、2025年から読もう!と決心して、本日ようやく読了です。 読み応えあるお話でした。
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starbro
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ポール・オースター、3作目です。 著者作家人生の総決算となる大長篇、菊版、800頁弱、88万字、二段組、完読しました。ユダヤ系ロシア・アメリカ移民の大河青春譚、遺作の一つ手前の小説です。 但し、タイトルの「4321」の意味が解らず仕舞いでした。 著者は、昨年逝去、改めて心よりご冥福をお祈りします。 https://www.shinchosha.co.jp/book/521722/
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seacalf
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ネタバレ学生時代から大好きだったオースターに哀悼の意を表すべく、年末年始の読書を全てこの本に捧げて漸く読了。分厚さに怯みながらもさすがオースター、序盤から全く飽きさせない。かつて自分が憧れ、精神を豊かにしてくれたアメリカをまるごと体現したかのような内容。圧倒的な頁数に見合った饒舌で雄弁な語り口。行きつ戻りつしながら繰り返されるアーチーの物語に何度も頭の中が「ぐじゃぐじゃ」になるが、混沌をそのまま楽しみ読み進める。お気に入りの『ムーン・パレス』の登場が嬉しく、これまでの作品を振り返りつつ、万感胸に迫る読書だった。
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mameta_vista
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★★★★★
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スイ
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予備知識なしで読んだので、途中で「あれ?…あっそういうこと?!」と新鮮に驚けて楽しかった。 これまでで一番軽快で、書いていて楽しかったんじゃないかな、と思う。 読んでいてもとても楽しかった。 おそらく経験を重ねたからこその余裕の中で、オースターがずっと探求している偶然や言葉というものがぐっと自由に泳いでいて、心地がいい。 作品としては老いての回顧録的なところ(フィクションであれどうであれ)もあるのだけども、描写は生き生きとしていて入り込めた。 もう新しい長編が読めないのが残念。
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本の蟲
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800頁2段組みの分量より、津田さん(旧樋口さん)でもまかなえない新潮社の強気な価格設定に驚いたポール・オースター晩年の傑作長編。しかしこれが滅法面白く大満足の内容だった。祖父の米国移民から主人公アーチボルト・ファーガソンの誕生。ケネディ暗殺、ベトナム戦争、学生紛争、黒人暴動といった政治的事件から、映画、文学、詩、音楽やサブカルまで。ユダヤ系中流階級に属する〝一人?”の少年の幼年期から青年期の成長を通じて、米国5、60年代の激動を丁寧に描いている。作品構成の根幹となる〝?”の意味はコメント欄にて(続
本の蟲

序盤の違和感は一家を襲った決定的な出来事で氷解する。「こういうことか!」と作品内で2度膝を打ったのは初めて。主人公はアーチボルト・ファーガソンただ一人。しかし偶然と選択で分かたれた4通りの人生が描かれている。夫婦・親族の仲。経済状況。打ち込むスポーツ。政治に関心を持つか否か。恋人や周囲の友人関係。貞操観念や倫理観まで。同一人物なのに全く別の、それでいて不思議な縁を感じる人生模様。概ね文筆業に惹かれるも詩作、作家、報道、評論とそれぞれ関わり方も様々。そしてタイトル「4321」に回帰する結末。いや傑作傑作

01/05 13:09
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Qfwfq
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ネタバレ常に“読みたい本”のリストにありながら、これまでエッセーや実話集、映画の原作短篇と、何故かちゃんとした(?)彼の作品を読んでこなかった私が年の瀬手に取ったのは、この持ち重りのする大長篇。これがまぁ面白いのなんのって。これだけの長さにもかかわらず一切の中だるみなく、ジョン・アーヴィングの新作もかくや?と思わずにはいられないページターナーっぷりにびっくり。 思春期と大人の人生の始まりのちょうど狭間の、そうでなくても不安定な年齢の主人公に突き付けられる様々な選択肢の物語。再読せずにはいられない大大大傑作!!
0255文字
fujimi243
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ネタバレ4人の同一人物の、それぞれ違う人生が綴られていく。突然生を断ち切られる人もいれば、事故で指を2本失う人もいる。どの人生もかけがえのないもの。人種暴動やベトナム反戦運動などもあり、60年代アメリカが抱えていた問題も描写されていて、生々しかった。オースターの他の作品も読んでいきたい。
0255文字
お気楽さかい
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ネタバレ★★★★★ 〈こんな本はいままで誰も書いてないし、夢見てさえいないので、どうやったらいいのか、実際にやってみることを通してやり方を学んでいくしかなかった。〉(p.666)……世界文学史上おそらく前例のない形式の小説だと思うし、新しい発明品に接しているようなワクワク感も最高でしたけれど、それより何より、これは青春小説だった(なので性関連描写はそこそこ多い)。これを集大成というのは違うと思うが、マ○○・○○○グやデ○○○○○・ジ○○○、そして中華料理の○○○・○○○が出てくるところはファン泣かせではある。
お気楽さかい

 気になった点。● p.5〈二十世紀最初の日〉が〈一九〇〇年〉となっているが、正しくは一九〇一年。これは大きなミスでは? ● p.259〈純血を奪う〉→〈純潔を奪う〉● p.528〈小さかったころにも一度も、認めた〉→〈小さかったころにも一度も、と認めた〉 最後のは自信ないけど、たぶん。

12/22 00:25
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アヴォカド
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ネタバレやー、面白かったなー!!分厚くしかも二段組で、嬉しくこの世界に浸った。注:何をどう書こうが読み進む面白さを削いでしまってはいけないので、未読の方はここから先を読まないでください。最初の1.1、1.2で、むむむ?と思いながら読んでいたのが、1.3あたりから、もしかしてこれってそういうこと?!と急に霧が晴れてきて、すごい構成だなーとぐいぐい来た。どういうことかは読んで知るのが吉。ラストも素晴らしい。余談ですが、そういえばポール・オースターはコロンビア大学なんだね。まさに『いちご白書』の渦中の人だったんだ?
アヴォカド

今年のベストはこれかな。

12/15 16:18
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marubonny
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読み切ったぞー!とにかく重いので読む姿勢に四苦八苦した。
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ヘラジカ
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最高の物語を、最高の翻訳で堪能。自分にとってポール・オースターは海外文学の入り口だったので、この最大の傑作は特別な思いを抱えながら読んだ。詳細な感想は後日。
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