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老いの歌――新しく生きる時間へ (岩波新書)

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zumi
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冒頭に肉親が老いてしまったときの歌が二首 その一首   <わが父は三つの赤子になりたまひ顔くしゃくしゃにいやいやをする>(小島ゆかり) 89歳で亡くなられた作者の母上も、晩年は日常生活が覚束ないくらいだったが、ときおりの発言は哲学的であったりしたそうだ。 作者に関しては 2014年に69歳で他界しておられた。  <われに来る遠からず来るこの世から魂(たま)うき上がり離陸するとは>    小高賢
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ネギっ子gen
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【先例のない超高齢社会とは、裏返せば人類にとって未知の可能性ではないか】「私」を歌う文学である短歌にヒントを求め、「老い」という新たな生の豊かさを探った新書。2011年刊。<「老いの歌」のもっている豊饒さは短歌という詩型に新しいエネルギーを注入するのではないだろうか。短歌を楽しみ、生きがいを感じている人々だけでなく、若い歌人にも刺激を与えるのではないか>と。【老い初めしこの胸底の漠(ひろ)さをば何に喩へて子らに告ぐべき(宮柊二『獨石馬』)】<初めての経験なのだ。老いの内側はそれほど単純ではない>と―― ⇒
ネギっ子gen

【携帯電話持たず終らむ死んでからまで便利に呼び出されてたまるか(斎藤史『風翩翻』)】<斎藤の父は予備役の軍人で歌人の瀏。小学生の頃からの友人が2・26事件の中心人物として処刑された栗原安秀。父は幇助罪で禁錮5年の判決を受けた。「濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けかは知らぬ」「暴力のかくうつくしき世に住みてひねもすうたふわが子守うた」(『魚歌』)といった激しい社会との関わりを訴えた歌人としての斎藤史がいる/伝法な口調がいかにも斎藤史らしい。こうなると、ただただ「スゲエナー」と苦笑いするほかない>と。

02/11 09:35
ネギっ子gen

【ながきながき思い心に重ねつつ老年というさびしき時間(近藤芳美『岐路以後』)】<壮年期に頑強で、病気知らずの生活を送ってきた人々にも老いは訪れる。本人たちは多くを想像していなかっただけに、その孤独感や嘆きは切実である。そのひとりに、1913年生まれで、2006年に93歳で亡くなった近藤芳美がいる。いわゆる戦後短歌のリーダーで、時代や社会を歌うという基本的姿勢を貫こうとした。だから、晩年にいたるまで「老い」などは詠まないと、様々な場面で発言を繰り返していた>近藤も、このような孤独を噛みしめる作品は作ったと。

02/11 09:38
6件のコメントを全て見る
0255文字
老齢症状進行中
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読書メーターを利用されるのは多分若い方だろうからこの本自体が対象外でしょうが、コメントします。今年読んだ最良の一冊と思います。老いが様々な面から多角的に詠われています。老いとの向き合い方という意味でも参考になりました。
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あずき
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老いと短歌。定型に乗せ、自分の伝えたいことを素直に語る。短いからこそすぐに始められる。茫漠とした短歌も刺さる短歌も。
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McLean
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歌人・小高賢の言葉は一々ごもっともで、ためになった。中でも吉本隆明の『老いの流儀』の扉に載った吉本の近影に対する感想というか嘆息は本当に同感であった。その小高、もとい編集者・鷲尾賢也も後を追うように鬼籍に入ってしまったのであるが。
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カイオン
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老いというフロンティアという表現が新しいと思った。かつてない高齢化の時代と向き合うのに短歌という器は如何という統一テーマで考察が進められてて新鮮だった。戦争詠のくだりが一番印象強かった。
0255文字
なおき
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短歌のことを何も知らなかったけれど(寧ろ知らなかったから)とにもかくにも読んでいて楽しかった。
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kenitirokikuti
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斎藤茂吉『つきかげ』不可思議の面もちをしてわが孫はわが小便するをつくづくと見る▲老人による老いの短歌という意味である。近代短歌は短い命による相聞と挽歌(恋と死)の世界だったが、老いの時代となった。回想詠やユーモア、口語表現がこれまで描かれなかったものをあらわす
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neimu
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ネタバレ名だたる歌人、小説家、辞世の歌を残した武将達の殆どが、今でいう若死に、早世、人生50年前後で世を去っている。なので、現代の老人の域に達する年齢で和歌を詠むということは希有であり、現代は未だかつて無い老人層に支えられた作歌の時代だという展開になるほどとうなずいた。台湾では万葉集を愛読する高齢者がいる。下手の横好きで短歌や俳句をたしなむ輩は後を絶たない。自己表現能力が高まったといえばいいのか、定型におんぶに抱っこでツィッタ―していると取ればいいのか、熟年シニアの仲間入りをした自分としては身につまされる内容。
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Takashi Kubo
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短歌フロンティアともいえる老いの歌。気がつかなかった。筆者の小高さん、数日前に亡くなられました。とても残念でなりません。
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壱萬参仟縁
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高齢社会の研究は、マイナスですら成長という矛盾した表現で経済で語られる世界とは異界に見える。小倉康嗣先生の社会学を想起する。また小林照幸氏の文春新書は性的な話題だった。こうした本を比べて読むと日本の没落する社会を予言した森嶋通夫先生の岩波書店の本の意義精彩を放つ。他人に頼る術のない無縁、孤独、SNEPの無業ひきこもり、生活保護、年金、そして生き甲斐と、思い巡らせる世界。社会問題に潰されない余生どうつくれるか、歌の引用から考えさせられる。
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アンコ椿
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読んでよかった。老いが目前に迫りくる中、老後を考える上で大いに参考となった。「老い」も楽しみたいという心境になる。
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カミヤイン
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老いとは何かを考えた。老け込むとは何か違う。何だろうか。 老いとは関係なく、短歌関係だけを押さえたいなら第三章だけ読めば手っ取り早そうだと思った。
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mawaji
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週刊ブックレビューで俳優の篠井英介さんご推薦。夭逝した歌人の多かった近代と異なり、超高齢化を迎えた現代の短歌を読み解きながら「老い」とは何か、「老い」に対する心構えや「老い」の受け入れ態勢など指南してもらっているような気持ちで読み進みました。老け込んでいるつもりはないけれど、最近腰痛もしだしてちょっと気弱になっていたのか、短歌の素養はなくてもすんなりと受け入れられました。「よるべなき心細さよ電話してみようか。いないな乞ふな求むるな 宮英子」「往復の切符を買へば途中にて死なぬ気のすることのふしぎさ 斎藤史」
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Maiラピ
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短歌をフィルターとして“老い”への考察。これもブックレビューでのおススメの一冊に紹介されなかったら、たぶん手に取らない本。“老いるということはいったい何を人間に加え、何を人間から奪い去るのであろうか。”超高齢化社会の日本、高齢者や介護のハウツー本は巷にあふれている。でも老いていく本人の心境は如何ばかりのものか。とても興味深い内容でした。これから高齢者文学っていっぱい出てくるんだろうな。白髪や老眼等の “老い”が気になるお年頃の方におススメかも?(^_^;)
Maiラピ

人間や社会について、20世紀には三つの発見があったという。それは「無意識」「未開」「子ども」という領域である。以前はどれもまったく意識されなかったものだ。「老い」もそれらと同じように、20世紀後半から浮上してきた未知の広大な領域かもしれない。「老い」という時間をいままでに人類は経験してないからだ。

12/17 17:21
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