読書メーター KADOKAWA Group

風の琴: 二十四の絵の物語 (文春文庫 つ 7-2)

感想・レビュー
17

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
Hiro
新着
著者の選んだ24の肖像画風景画に霊感を得て創作された24の短編集。不思議な暗合や奇想が古代、中世のヨーロッパを舞台に展開する。どれもごく短い、簡単な語りによって奥深く一筋縄ではいかない人間の情念と運命の世界が描かれている。一方で絵をネタにして付かず離れずのお話を考えるというのは大作に腕を振るった著者にすれば一種のゲーム、手すさび、肩慣らしでもあったろう。
0255文字
yama
新着
ネタバレ24枚の名画(肖像画と風景画と12枚づつ)から著者が感銘を受けそこから空想が広がり紡ぎ出された24の物語。絵画文学も根底では同じ芸術的高揚があり、制作者を表現へと駆り立てる陶酔的衝動において全く同質である、とする著者による実験的な文学。絵画から著者が受けたインスピレーションによる短編24話の一つひとつに、不徳・悪徳に翻弄されながらも、それに抗う人々の苦悩、苦闘、葛藤が描かれていて、1話読むごとに余韻が残る。
0255文字
Rosa
新着
肖像画による物語では 本当に"疑い" "謀み" "吝い" 等 が それぞれの絵に現れているように思えてくる不思議 クスッとしてしまうほどです.「狂い(ものぐるい)」「誇り」が好きかな. 風景画への旅はどれも素敵なお話.「風の琴」「貝の火」「霧の柩」が好き. 辻さんのあとがきに——絵画も音楽も文学も、その根底では同じ芸術的高揚があり、—— とあるように 架空の物語の中で高揚感に包まれたのでした. この世界の愛おしさ みたいなものを教えてくれた気がします.
0255文字
三日月
新着
12枚の絵画からイメージした24作の短編集。◇ 西洋の絵画からイメージされているので、作品の舞台は全てヨーロッパ。中世の街並みの雰囲気や暮らしぶりなどが、どの作品にも濃く表れていて、普段読むものとはずいぶん違った印象を受けた。脳内に浮かぶ景色が綺麗で、登場人物に魅力的な人が多く、幻想的な物語が多かった。個人的にはとても好みだった。
0255文字
角
新着
35年振りくらいに再読。「肖像画」「風景画」12点ずつ、その絵が呼び起こす感興を、著者が小説で再現するという趣旨の短編集。あらためて読んでみると、特に肖像画は人間のダークな面にフォーカスした話が多いことに気づく。読み終わって再度絵を見ると、その表情の下に何か隠れているようで、しばらく絵を眺めてしまう。風景画のほうは、語り手とともに長い旅をしたような読後感。
0255文字
ロマネスク
新着
美しい絵と美しい日本語
0255文字
ロバーツ
新着
合計24編の短編集。
0255文字
tsuki2b
新着
ネタバレティツィアーノ、ブリューゲル、フェルメールらが描いた24の肖像画や風景画、「絵からくる感銘の力の支えとして、私が勝手に空想した世界」とのこと。「人物の背後に隠れた人間の悪徳、弱点に作者の視線は向けられています」とあるように、愛憎のもつれや犯罪にかかわるような話が多い。美しい言葉で紡がれ、短い1話に凝縮されたストーリーはどれも味わい深いが、「氷の鏡」「幻の果」あたりが好きな話。
0255文字
あきあかね
新着
西洋の12の肖像画と12の風景画からもたらされるイメージをもとに紡がれた24の物語。  なかでも、ブリューゲルが描いた「雪の狩人」をもとにした、「氷の鏡」という物語が強く印象に残った。鈍色の空に沈み、雪に閉ざされた真冬の村。左手には狩りから帰ってきた狩人が大きく描かれ、遠景にはスケート遊びに興じる村人たち、遥かな雪山が描かれている。この絵から、次のような物語が生み出された。 ⇒
あきあかね

生きるってことはね、何から何までみんないいことなのさ。病気だって、苦しみだって、悩みだって、それはお前、この死者たちの永遠に沈黙した世界から見るとね、生きていることの証なんだよ。生きていることがどんなにいいことか、お前は、もう一度、向うの世界に戻って、心の底から味わわなくてはいけないね」

12/17 12:43
あきあかね

病気、苦しみ、悩みなどという、誰もが避けたいと願うはずのものまでも、「生きていることの証」としてよきものとして捉えることは、勇気を与えてくれる。スタジオジブリの映画「かぐや姫の物語」の主題も、きっとこのようなことだったのではないか、と思えてくる。

12/17 12:44
4件のコメントを全て見る
0255文字
Cinejazz
新着
絵画を愛でて物語を紡ぐことが出来るのは、小説家ならではの別世界への誘いですね。
0255文字
ヴェネツィア
新着
12の肖像画と、12の風景画から紡ぎ出される『千夜一夜物語』を連想させるかのような幻想物語。絵は初めて見るものもあるが、大半は既知のもの。それでも、こうしてあらためて見ると、それぞれの絵が持つ力を感じる。肖像画群はもうそれ自体が物語を内包しているかのようだ。そして、風景画群にはどこか終末的な気配が濃密に漂っている。絵も物語も、いずれも甲乙つけがたいほどに魅惑的だ。肖像画からはデューラーとベルリーニ、風景画からはロランとフェルメール。物語からは、単独の1篇ではなく、24篇の織り成すアラベスクをとるべきか。
0255文字
かさねパパ
新着
久しぶりの辻作品です。今回は、12の肖像画と12の風景画から画想を得て創作されてます。直接的な繋がりはないと、あとがきでは述べられてますが、絵の解釈の中から物語は作られていると思います。肖像画は全て人の悪徳を中心に置いて展開しています~それ故、やや暗く、教訓的な印象、風景画は幸せが語られます。どちらもしっかりした小説で、辻さんらしいと思いますが、個人的には後者の方が好きですね!やはり辻作品はどれをとっても、小説らしい小説~堅く、文章も美しく構成的で、何度読んでも心に残ります~美しい日本文のお手本と考えます
0255文字
めにい
新着
絵画を見ていて自分の心が広がっていくのは感じることがあるけれど、そこからこれだけの物語を紡ぎあげていく作家の目と心と腕に感嘆しきり。物語を読んでもう一度絵を見てしみじみとした気持ちになる。
0255文字
Maki
新着
レオナルド、レンブラント、セザンヌetc.西洋美術史を飾る名画と著者の想像力とのコラボレーション。第一部では「十二の肖像画による十二の物語」で肖像画からイメージされる人間の生をテーマにした物語が語られ、第二部では「十二の風景画への十二の旅」で、描かれた風景画の中に入り込んだような物語が語られる。その絵画が呼び起こす想いを短篇小説で再現するとどうなるか?を試みた面白い一冊。一枚の絵からここまで想像力が働いて作品が生み出されることにも驚くが、著者の人間に対する深い思いがどの作品にも表れていて興味は尽きない。
0255文字
まりこ
新着
題材となった絵を見ても、好きなのはないし、良く分からない。短編を読むと、絵と文の雰囲気に凄いなと思う。『氷の鏡』『地の装い』『幻の果』が特に好き。後半の話の方が面白かった。
0255文字
小倉あずき
新着
ネタバレ12の風景編の最初と最後の仕掛けが素晴らしい!
0255文字
冷や中
新着
著者が言うとおり、本当に上質な物語だと思った
0255文字
全17件中 1-17 件を表示
風の琴: 二十四の絵の物語 (文春文庫 つ 7-2)評価77感想・レビュー17