形式:文庫
出版社:文藝春秋
私も10年前、アウシュビッツ行きました。 日本語のオーディオ説明があって助かりました。 神聖視されていますが、アンネには普通の女の子の側面もあったのだ、と分からせてくれる本だったと思います。
どんな不幸の中にも、つねに美しいものが残っているということを発見しました。それを探す気になりさえすれば、それだけ多くの美しいもの、多くの幸福が見つかり、ひとは心の調和をとりもどすでしょう。イギリスは自国と自国民のために戦っているのだ、とはだれも考えず、みんながみんな、一刻も早くオランダを救うことこそイギリスの第一責務だ、そう決めこんでいるようです。でも実際のところ、イギリスがわたしたちにどんな義理があると言うんでしょう。
孤独なとき、不幸なとき、悲しいとき、そんなときには、どうかお天気の良い日を選んで、屋根裏部屋から外を眺める努力をしてみてください。街並みだの、家々の屋根を見るのではなく、その向こうの天をながめるのです。恐れることなく天を仰ぐことができるかぎりは、自分の心が清らかであり、いつかはまた幸福を見いだせるということが信じられるでしょう。
両親が自分を大人として扱ってくれないことに怒る。自立心が強く、自分を顧みて反省する心も持つ。理想の大人像、したい仕事について情熱的に記し、将来は自立した女性になるという夢を持つ。人種によって差別されることのない世界を夢見るアンネの言葉を読むと、胸を締め付けられるような思いがする。 ホロコースによって犠牲になった多くの子どもたち一人一人に、アンネのような物語があったはず。そのことに想いをいたしてくれる、永遠の名著であると感じた。
オランダ亡命政府が戦争が終わったら人々が戦争中に書いた手記を集めて公開しようとしていたのは知らなかった。 これがきっかけでアンネは自分用と公開用の2つの日記を残していたんですね。エゴドキュメントだ。
題材と起きた現実とを加味すると、多くの読者が「面白い」という感想を抱きにくいのはわかる。終わり方もあまりにも辛く厳しい。しかし生き生きと描かれた「隠れ家」の人間模様、そしてアンネの深化する思索などが描かれた「アンネの日記」は、才能ある作家(卵ではない。作家そのもの……)によって記された、まちがいなく「面白い」作品でもある。そういう感想を自分はもった。そういう読み方をしてもいいと思う。メッセージ性はもちろんあるが、それ以外にも汲み尽くせないほどの奥深い魅力が「増補新訂版 アンネの日記」にはあるように思う。
そして、戦争終結への希望が見え始めた頃にアンネらは逮捕され、アンネの父親以外全員終戦時には亡くなってしまう。隠れ屋での生活は決して普通の生活ではないが、考えてることや日常や人間関係は今の一般的な人達と変わらないものもあり、そんな日常が急に終わり、バラバラになり亡くなってしまうこと、戦争終結直前に亡くなってしまうことなど無常さを感じる。
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私も10年前、アウシュビッツ行きました。 日本語のオーディオ説明があって助かりました。 神聖視されていますが、アンネには普通の女の子の側面もあったのだ、と分からせてくれる本だったと思います。