形式:文庫
出版社:岩波書店
スノーボールはトロツキーか!なるほどなるほど
印象に残ったシーン、豚が二本足で歩くところと条文が改竄されるところについて解説で触れられてて嬉しかった。「大げさな物言い」が一種の婉曲法というのは新しい発見!確かに言葉の芯が見えなくなるもんね
オーウェルは4つの出版社から断られ、危惧するのは情報省や政府筋の干渉ではなく世論を恐れている事、知識人の臆病心である。変節した自由主義、民主主義を防御するには全体主義的な方法によるしかない主張が蔓延している、民主主義を愛するならばいかなる手段をもってでもその敵を叩き潰す、は私たちに差し迫った問題かもしれない。付録1出版の自由。付録2ウクライナ語版のための序文。訳者解説ではディストピアのおとぎばなしはオーウェルが言うほどには「多国語に簡単に翻訳できる」わけではなかったと。
社会主義の美名の裏にある虚妄を暴いた小説ではあるが、最後の記述は、資本主義の方も同様に虚妄であると読めないか。この最後の数行で、この本が単なる旧ソ連やスターリンを批判するだけでなく、人間の歴史の中で繰り返される支配と服従における欺瞞を暴いた、より射程の広いさらに普遍的な小説となったのではないだろうか。
粛清される側に立ってしまうと、いくら甘言をろうされても、そりゃあもう絶対反対でありましょう。渦中にいると、正常な判断もできなくなったりもするだろう。
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